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地方公共団体関係資料

川崎市人権施策推進基本計画
情報の種類 地方公共団体関係資料
タイトル 川崎市人権施策推進基本計画
時期 2007/02/01
主体名 川崎市
【 内容 】

川崎市人権施策推進基本計画
-人権を尊重し、共に生きる社会をめざして-
川 崎 市
は じ め に
人権について、普段はあまり考える機会はないかもしれませんが、人権とは、人間の生
命や自由・平等を保障し、私たち一人ひとりの日常生活を根本から支えている大切な権利
であり、わが国の憲法において「基本的人権は侵すことのできない永久の権利」と定めら
れていることは、皆様よく御存知のことと思います。人間としての尊厳が守られ、すべて
の人間の人権が尊重されるには、異なる価値観や互いの違いを認め合い、相手の立場に立
って考えることが求められます。
ところで、21世紀こそは人権が守られる世紀にしたいという願いを込めて、「21世紀
は人権の世紀」といわれています。しかし、21世紀になった現在でも「民族紛争」や「地
域紛争」は続き、さらに環境破壊など、人類の安全や生命を脅かす問題も生じています。
国内においても、子どもや高齢者への虐待、ドメスティック・バイオレンスなどの痛ま
しい事件が後を絶たず、人権にかかわる取組の重要性は、ますます高まっています。
川崎市では、市民本位の自治のまちづくりを進めることを基本に、川崎市新総合計画「川
崎再生フロンティアプラン」を策定し、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市
民都市かわさき」を基本目標とした「人権を尊重し共に生きるまちづくり」をめざしてい
ます。
また、国連のアナン前事務総長が、企業・団体などに対して人権、労働、環境、腐敗防
止の4分野に率先して取り組むことを提唱した「グローバル・コンパクト」に本市は、昨
年、日本の自治体として初めて参加しました。今後さらに、国際的な視点に立って国連が
掲げる社会的責任を遵守し、持続可能なまちづくりに取り組んでまいりたいと考えていま
す。
本基本計画は、人権施策を総合的に推進するための基本方向を示す「川崎市人権施策推
進指針」策定から6年が経過し、この間、分野別に様々な取組みが進展していること、ま
た、情報化などの社会経済状況の変化により、新たな課題も生じていることなどから、新
たに策定したものです。
本基本計画の策定にあたり、貴重な御意見、御提言をいただきました市民の皆様や関係
の方々に心から感謝申し上げますとともに、今後も本基本計画の推進に対しまして、御理
解と御協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。
2007(平成19)年2月
川崎市長 阿部 孝夫
目 次
第1部 基本的な考え方
Ⅰ 策定にあたって………………………………………………………………………
Ⅱ 川崎市における人権を取りまく状況………………………………………………
1 国際的な取組………………………………………………………………………
2 国内の動き…………………………………………………………………………
3 川崎市におけるこれまでの取組と課題……………………………………………
(1) これまでの取組…………………………………………………………………
(2) 今後の課題………………………………………………………………………
Ⅲ 基本計画の位置づけ…………………………………………………………………
Ⅳ 計画期間……………………………………………………………………………
Ⅴ 基本理念……………………………………………………………………………
1 国際的な視点に立った人権意識の形成……………………………………………4
(1) 「人権の世紀」21世紀への貢献………………………………………………
(2) 多文化共生のまちづくりの推進…………………………………………………
(3) 人権尊重教育の推進……………………………………………………………
(4) 人権意識の形成とその普及啓発…………………………………………………
2 あらゆる差別の撤廃と人権侵害の防止……………………………………………
(1) 人権擁護の推進…………………………………………………………………
(2) 人権施策の推進体制の充実……………………………………………………三手
3 連携・協働による人権施策の推進…………………………………………………
(1) 市民の参加による人権施策の推進………………………………………………
(2) 市民との協働による人権施策の推進……………………………………………
(3) 事業者等との連携・協働の推進…………………………………………………
Ⅵ 基本目標…………………………………………………………………………………
1 市民一人ひとりが尊重され、いきいきと心豊かに暮らせるまちづくり…………
2 差別や偏見のない、優しさにあふれたまちづくり………………………………
3 互いの歴史や文化を理解し、共に生きるまちづくり……………………………ds
4 市民、事業者、市が共に取り組む人権尊重のまちづくり…………………………d
第2部 4つの柱及び施策の方向、主な取組
Ⅰ 4つの柱……………………………………………………………………………
Ⅱ 施策の方向…………………………………………………………………………
1 人権教育の推進…………………………………………………………………
施策の方向1 幼児・学校教育における人権教育の推進
(1) 人権尊重教育の推進………………………………………………………………
(2) 多文化共生教育の推進…………………………………………………………
(3) 教職員の豊かな人権感覚の育成……………………………………………………
(4) 相談・救済にかかわる校内体制の整備…………………………………………
施策の方向2 生涯学習における人権教育の推進
(5) 人権尊重教育の推進………………………………………………………………
(6) 意見表明・参加がしにくい人への支援…………………………………………
(7) 市民の主体的な人権学習への支援………………………………………………


























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2 人権啓発の推進……………………………………………………………………
施策の方向3 啓発活動の推進
(8) 市民への啓発活動の推進…………………………………………………………
(9) 事業者、団体等への啓発の推進…………………………………………………
施策の方向4 事業者、団体等の啓発活動への支援
(10) 事業者、団体等による人権学習・研修への支援…………………………………
3 相談・救済体制、自立支援の充実………………………………………………
施策の方向5 相談・救済体制の充実
(11) 相談窓口や救済機関の周知と活用………………………………………………
(12) 相談・救済体制の強化……………………………………………………………
施策の方向6 相談・救済、自立支援を行う団体等との連携強化
(13) 関係団体、関係機関との連携……………………………………………………
4 連携・協働による推進……………………………………………………………
施策の方向7 市民、事業者の参加の促進
(14) 市民の参加の促進…………………………………………………………………
(15) 事業者の参加の促進………………………………………………………………
施策の方向8 関係団体、関係機関との連携・協働の推進
(16) 市民活動への人権の視点の醸成…………………………………………………
(17) 関係団体、関係機関とのネットワークの強化……………………………………
(18) 関係団体への支援…………………………………………………………………
施策の方向9 人権尊重のまちづくりを担う職員の育成
(19) 体系的な人権研修プログラムによる職員の育成…………………………………
(20) 専門分野の従事者への研修の推進…………………………………………………
第3部 分野別施策
1 子どもの人権の尊重と権利保障の推進…………………………………………28
2 男女共同参画社会の形成と女性の人権尊重……………………………………
3 高齢社会を支え合う地域福祉社会づくり………………………………………
4 障害者の自立と共に生きるまちづくり…………………………………………
5 同和問題の取組……………………………………………………………………
6 外国人市民の人権施策の充実……………………………………………………
7 安心して受けられる人権に配慮した医療の推進………………………………
8 ホームレス(野宿生活者)の人権の擁護と自立支援…………………………
9 様々な市民の権利の尊重と差別の撤廃………………………………………
第4部 計画の推進
1 推進体制の充実……………………………………………………………………
2 進行管理……………………………………………………………………………
3 弾力的運用…………………………………………………………………………
体系図……………………………………………………………………………

川崎市は、関東大震災の翌年、1 9 2 4 (大正13)年7 月1 日に市政が施行され、
その後、隣接町村を編入し1 9 3 0 年代に現在の市域が形成されました。震災の
復興の後、京浜工業地帯の中核都市として、日本の近代化や経済発展を先導する
とともに、戦災からの復興や公害の克服など様々な役割を果たしてきました。
なかでも、市の南部・臨海地域は、戦前より大企業とその関連企業で働くため、
日本各地やさらに朝鮮半島をはじめとする海外から多くの人が移り住み、地域に
根づいて多様な文化が交流する「多文化のまち」へと発展してきました。
1990 年代以降、経済活動のグローバル化が進展する中で、J R 南武線沿い
には世界的なI T 関連企業や研究開発施設等が数多く立地するとともに、再開発
が進み、また、北西部の多摩丘陵部等での宅地開発が進んだことにより、2004
(平成16)年には人口が1 3 0 万人を超えました。その中で、様々な国から在留資
格も多様な人々が来日し、地域で生活する外国人市民も増えています。
川崎市は、すべての市民が等しく人間として尊重されることをあらゆる施策の
基本として、2 0 0 0 (平成12)年に「川崎市人権施策推進指針」を策定し、「市
民参加」や「市民との協働」による人権施策の総合的な推進を図ってきました。
「川崎市人権施策推進指針」の策定以降、「川崎市子どもの権利に関する条例」
( 2000 年)、「男女平等かわさき条例」( 2001 年)、「川崎市人権オンブズパーソン
条例」( 2001 年) の制定、「川崎市多文化共生社会推進指針」( 2005 年) の策定等
により、各分野での取組が進展してきています。また、高度情報化社会の進行に
より新たな人権課題も生じていることから、市民・事業者との連携・協働を一層
視野に入れた取組が必要となってきています。
一方で、少子高齢化の進行や経済活動のグローバル化の進展をはじめとした社
会経済環境の変化は、今後の市政運営を根本から見直すことが求められました。
こうした変化に的確に対応するため、川崎市は2 0 0 5( 平成17)年、川崎市
新総合計画「川崎再生フロンティアプラン」( 以下「新総合計画」という。) を策定
し、これからのまちづくりの基本目標として、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせ
る持続可能な市民都市かわさき」を掲げました。政策体系には7 つの基本政策を
掲げ、その一つに「人を育て心を育むまちづくり」があり、政策の基本方向とし
て「人権を尊重し共に生きる社会をつくる」を明らかにしました。
このような背景を踏まえ、また、「新総合計画」に掲げられたまちづくりをめざ
して、人権施策を総合的・計画的に推進するため新たに「川崎市人権施策推進基
本計画」を策定するものです。
Ⅰ 策定にあたって
第1部 基本的な考え方
2
1 国際的な取組
第二次世界大戦後間もない1 9 4 8 (昭和23)年に「すべての人間は、生まれ
ながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、
理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければな
らない。」の条文で始まる「世界人権宣言」が、国連総会において採択されまし
た。
その後、「国際人権規約」(*1)、「女性差別撤廃条約」(*2)、「子どもの権利
条約」(*3)、「人種差別撤廃条約」(* 4)、「拷問等禁止条約」(*5)など多くの
人権条約が採択されるとともに、人権に関する各種宣言や国際年などの国際的
な取組が行われています。
さらに、障害者の権利を保障する「障害者権利条約」が2 0 0 6 (平成18)年
1 2 月に採択され、発効に向けて準備が進められています。
また、1 9 9 4 (平成6)年の国連総会において1 9 9 5 (平成7)年から
2 0 0 4 (平成16)年までを「人権教育のための国連1 0 年」とすることが決議
され、世界各国の人権教育の普及等の取組として「人権教育のための国連1 0
年行動計画」が採択されました。
「人権教育のための国連1 0 年」の終了後における取組をさらに進めるため
に、2 0 0 4 (平成16)年に国連総会において「人権教育のための世界プログ
ラム」が決議されました。
しかし、世界各地で起きている無差別テロや紛争及び内戦による飢餓、難民
問題など、人権を脅かす問題が後を絶ちません。このような世界的状況のなか
で、今後も、様々な差別や人権侵害の克服に向けて、自治体も含め国や国際的
な組織が連携して取り組んでいく必要があります。
* 1 国際人権規約:「経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約」(1966 年採択、1979
年批准)「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(1966 年採択、1979 年批准)
* 2 女性差別撤廃条約:「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」( 1979 年
採択、1985 年批准)
* 3 子どもの権利条約:「児童の権利に関する条約」(1989 年採択、1994 年批准)
* 4 人種差別撤廃条約:「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(1965 年採択、
1995 年加入)
* 5 拷問等禁止条約:「拷問及び他の残虐な非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰
に関する条約」( 1984 年採択、1999 年加入)
2 国内の動き
国は、「国際人権規約」をはじめ重要な国際人権条約を批准するとともに、
Ⅱ 川崎市における人権をとりまく状況
3
1 9 9 6 (平成8)年には、人権の擁護に関する施策の推進について国の責務を
明らかにした「人権擁護施策推進法」(5 年の時限立法)を制定し、1 9 9 7
(平成9)年には「人権教育のための国連1 0 年に関する国内行動計画」を策定
しました。
また、同年、多文化社会をめざすため「アイヌ文化振興法」( * 6) を制定し
ました。
2 0 0 0 (平成12)年には「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が制
定され、地方公共団体の責務として国と連携を図りつつ、地域の実情を踏まえ、
人権教育及び人権啓発に関する施策を策定、実施することが明記されました。
同法の規定に基づき、2 0 0 2 (平成14)年に「人権教育・啓発に関する基本
計画」が策定されました。分野別の人権施策についても、それぞれ個別法や計
画の整備が進められています。
* 6 アイヌ文化振興法:「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び
啓発に関する法律」
3 川崎市におけるこれまでの取組と課題
( 1 ) これまでの取組
川崎市は、国際人権条約の規準に沿った人権保障を見据えながら、
2 0 0 0 (平成12)年に「川崎市人権施策推進指針」を策定し、人権施策を総
合的に推進してきました。また、「川崎市外国人市民代表者会議条例」(1996
年)、「川崎市子どもの権利に関する条例」(2000 年)、「男女平等かわさき条
例」(2001 年)を制定し、条例の趣旨に沿って具体的・計画的に実施するため、
「川崎市男女平等推進行動計画」(2004 年)、「川崎市子どもの権利に関する
行動計画」(2005 年)を、多文化共生社会の構築をめざして「川崎市多文化共
生社会推進指針」(2005 年)を策定しました。
さらに、子どもや男女平等に関する人権侵害について相談・救済を行うた
め「川崎市人権オンブズパーソン条例」(2001 年)を制定するなど、着実に人
権施策を推進してきています。
人権施策は、環境施策、都市施策、福祉施策、平和施策、教育施策などの
行政分野と密接な関係をもっていることから、副市長を会長とし、全局・区
(室)長を構成員とする「川崎市人権・男女共同参画推進連絡会議」において
全庁的な調整を図りつつ総合的に推進しています。
(2) 今後の課題
経済のグローバル化等が急速に進展し、社会経済システムが大きく変化す
るとともに、地域における連携・連帯が希薄化してきていることから、市民
の生活や地域の安全が脅かされ、一人ひとりの人権が守られにくい状況も生
4
まれています。例えば、地域社会のなかで連携をとれず、不安感を増すこと
が「自己防御」の強く働く要因となります。また、そのような風潮がホーム
レス(野宿生活者)差別、外国人排斥、児童虐待等の人権侵害等を引き起こす
遠因にもなっているという指摘もされています。
また、災害発生時等には、子ども、高齢者、障害者、外国人等の市民が、
より災害弱者となることが懸念されます。
すべての市民の身近な安全・安心な暮らしを守ることは人権施策上からも
大きな課題となっています。
さらに、外国人でありかつ女性である場合、障害者でありかつ高齢者であ
る場合など当事者が差別を複合的に抱えることもあります。また、人権施策
は福祉、教育など様々な分野の施策と密接なかかわりがあり、それぞれの分
野に人権の視点を踏まえて、今後も一層、庁内推進体制を強化し、総合的に
施策を推進していくことが求められています。
長期的には、国などの動向を踏まえながら、人権施策を市民と共に総合的
に推進するため、新たな仕組についても、検討していく必要があります。
本計画は、2 0 0 5(平成17)年に策定された「新総合計画」が掲げる「人権の
尊重と平和への貢献」を根本理念とした「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持
続可能な市民都市かわさき」をめざした基本施策である「人権・共生施策の推進」
「男女共同参画社会の形成に向けた施策の推進」等の人権にかかわる施策を体系化
したものです。
したがって、本計画は、分野別に個々に策定されている指針や計画の上位計画
として位置づけられるものとなっています。
2007 (平成19)年4 月から2 0 1 5 (平成27)年3 月までを計画期間とします。
1 国際的な視点に立った人権意識の形成
(1) 「人権の世紀」21世紀への貢献
20世紀は、二度の世界大戦や各地の地域紛争の続発により「戦争の世紀」
といわれました。人間の生存と自由を確保し、すべての人々の人権を等しく尊
Ⅳ 計画期間
Ⅲ 基本計画の位置づけ
Ⅴ 基本理念
5
重し、幸福を追求する権利を保障するためには、国際社会が平和であることが
基本となります。
川崎市は、1 9 8 2 (昭和57)年に都道府県・政令指定都市に先駆けて「核兵
器廃絶平和都市宣言」を行うなど、平和施策を推進しています。
今後は、「川崎市自治基本条例」(2 0 0 5 年4 月施行)前文で明記された「人
類共通の願いである恒久平和と持続可能な社会が広く世界に築かれることを希
求し、川崎市民としての誇りを持ち、一人ひとりの人権が尊重される『活力と
うるおいのある市民都市・川崎』の創造を目指し」、民主主義のもとでの人権の
尊重と平和への貢献を施策の根本として取り組み、2 1 世紀を真の「人権の世
紀」とするために、国際社会の一員としてその役割を積極的に果たしていきま
す。
また、川崎市は、国連の「グローバル・コンパクト」(*7)に参加したことか
ら、人権施策においても、普遍的な原則や国際的なルールの遵守等を行いなが
ら、持続可能なまちづくりに向けて取り組んでいきます。
* 7 グローバル・コンパクト(Global Compact) : 人権の擁護の尊重と人権侵害に加担し
ないという人権の保護を基本としながら、労働条件の改善、環境問題、2 0 0 4 (平成16)
年には腐敗防止を追加し、4 つの分野における1 0 原則を掲げているプログラムです。
4 つの分野: 人権・労働・環境・腐敗防止 10 原則: ① 人権の擁護の尊重 ② 人権侵害に
加担しない ③ 組合結成の自由と団体交渉の権利 ④ あらゆる形態の強制労働の排除 ⑤ 児
童労働の実効的廃止 ⑥ 雇用と職業に関する差別の撤廃 ⑦ 環境問題への予防的アプロー
チの支持 ⑧ 環境に関して一層の責任を担うためのイニシアチブ ⑨ 環境にやさしい技術
の開発と普及の促進 ⑩ 強要や賄賂を含むあらゆる形態の腐敗防止
(2) 多文化共生のまちづくりの推進
川崎市の「新総合計画」においては、まちづくりの基本目標として「誰もが
いきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」を掲げており、そ
の実現に向けて多文化共生施策を推進していきます。
本市では、外国人市民は共にまちづくりを担うかけがえのない一員であると
の視点から、「川崎市外国人市民代表者会議」を条例で設置し、外国人市民の声
を市政に反映させています。また「川崎市多文化共生社会推進指針」を策定し、
市民、事業者、団体等と協働して、国籍や民族、文化の違いを豊かさとして活
かし、すべての人が互いに認め合い、人権が尊重され、自立した市民として共
に暮らすことができる「多文化共生社会」をめざしていきます。
(3) 人権尊重教育の推進
国は、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」を制定し、人権という普
遍的文化の構築のために学校や社会における人権教育及び特定職業従事者( *
6
8 ) に対する人権教育を推進しています。
川崎市では人権尊重教育を教育の根幹をなす重要な柱として捉え、1 9 8 6
(昭和61)年には「川崎市外国人教育基本方針」(1998 年改定)を制定するととも
に市民館を中心とした生涯学習の場においても、人権教育を着実に推進してい
ます。今後も、いかなる差別や偏見も許さず、職員自らが人権侵害を見抜く眼
をもつとともに、違いを認め尊重しあう意識の醸成をめざして、指導、育成を
図るとともに、学校、地域等のあらゆる機会、あらゆる場を捉えて人権教育を
積極的に推進します。
さらに、「川崎市子どもの権利に関する条例」に基づき、権利学習の充実を図
ります。
* 8 特定職業従事者: 公務員、教員・社会教育関係職員、福祉関係職員、矯正施設・更
生保護関係職員、医療関係者等
(4) 人権意識の形成とその普及啓発
川崎市では、人権侵害を受けた当事者をはじめとする市民の意見を真摯に受
け止めることによって、人権施策を前進させてきた歴史があります。
人権意識の形成と普及啓発を実効あるものとするために、人権の歴史や差別
的な行為に至った背景及び社会的構造の認識に留まらず、他者の痛みを感じ取
る力を養うことができるように、当事者を含めた市民や関係団体等と一体にな
った啓発活動に取り組みます。
また、川崎市では2 0 0 6 (平成18)年、国連が2 0 0 0 (平成12)年に発表し
た「グローバル・コンパクト」 に全国の自治体として初めて参加しました。こ
れは、経済のグローバル化の中で、事業者の社会的責任として取り組むべき原
則を示したもので、川崎市が国際的な視点に立って、国連が掲げる社会的責任
を守り進めることを意味します。今後は、市内の事業者にも参加を働きかけな
がら、共に責任を果たしていくことをめざします。
2 あらゆる差別の撤廃と人権侵害の防止
(1) 人権擁護の推進
川崎市は、各区役所において国と協力し、人権擁護委員による人権相談を実
施するほか、子ども、女性、高齢者、障害者などの各分野において、様々な相
談事業を実施しています。2 0 0 2 (平成14)年には、人権オンブズパーソンを
設置し、子どもや男女平等にかかわる人権侵害等について相談・救済を行って
います。
子ども、高齢者、障害者などに対する虐待やいじめ、D V (ドメスティック・
バイオレンス)(*9)、ストーカー行為(* 10)、職場や学校等でのセクシュアル・
7
ハラスメント(* 11)、パワー・ハラスメント(* 12)などについて、関係団体、
関係機関と連携して救済・保護を実施していますが、人権の侵害を受けた人が、
その事実や問題の解決に立ち向かう力をもてるように支援することも必要です。
また、人権課題には、権利を主張する者どうしの衝突や、自らの行為が気づか
ぬうちに他者の人権を侵害してしまうようなことも考えられます。権利の擁護
を進めていくには、相手の心の痛みや自らの行為の責任を十分に認識できるよ
うな取組がなければ、より一層深刻な人権侵害を生み出すこととなります。
また、被害者が問題を解決し自立して社会生活を営むことができるように環
境を整備するなど、自立支援を強化していくことが求められています。そのた
めに、関係団体、関係機関との連携、協働による取組をさらに進めます。
* 9 D V (ドメスティック・バイオレンス): Domestic Violence の頭文字。夫や恋人、パー
トナーなどから受ける暴力
* 10 ストーカー行為: 同一の人に対し「つきまとい等」を繰り返して行うこと。
* 11 セクシュアル・ハラスメント(Sexual Harassment): 異性に対する性的ないやがらせ
* 12 パワー・ハラスメント: 職務権限を背景にした職場等でのいやがらせ
(2) 人権施策の推進体制の充実
人権施策を総合的に推進するためには、各部局間の調整が必要であり、全庁
的推進組織として副市長を会長に全局・区( 室) 長で組織する「川崎市人権・
男女共同参画推進連絡会議」を設置しています。今後さらに、その機能を充実
させ、各部局間の連携・調整を迅速、円滑に行い、人権施策をより一層効果的
に推進します。
199 9 (平成11)年に設置された「かわさき人権啓発推進協議会」では、学
識者、関係団体や公募市民により、人権施策の推進を図るために必要な事項に
ついて検討協議を行っています。今後も、川崎市の人権施策の推進に向け意見
を求めていきます。
3 連携・協働による人権施策の推進
(1) 市民の参加による人権施策の推進
川崎市は、「川崎市自治基本条例」の中で、市民はすべて人として尊重され、
平和で良好な環境の中で自ら生命、自由及び幸福を追求し、自己実現を図るこ
とができると定めるとともに、自治運営について「情報共有の原則」、「参加の
原則」、「協働の原則」を掲げています。人権施策についても当然この原則を踏
まえて推進していきます。
1988 (昭和6 3 )には、様々な差別や偏見などを受けてきた市民からの声
を受けとめ、外国人と日本人との交流施設として「川崎市ふれあい館」を設置
8
しました。また、1 9 9 6 ( 平成8 ) 年に条例により設置した「川崎市外国人
市民代表者会議」において、外国人市民の代表者が自らにかかわる課題につい
て調査審議し、その結果は市長に報告され、市政に反映されています。
同様に子どもの施策においても、2 0 0 1 (平成13)年に条例により設置した
「川崎市子ども会議」において、子どもが市政等について意見を表明する機会
をつくるなど、子どもを含めた市民参加の場を広げています。
今後、人権施策の企画立案、実施、評価のあらゆる段階への市民の参加を一
層進めていきます。
* 13 N P O (Non Profit Organization の頭文字): 民間非営利組織 営利を目的としない
民間団体の総称、民間の市民活動団体
(2) 市民との協働による人権施策の推進
川崎市では、市民館等で実施している「平和・人権学習」や「男女平等推進
学習」など、公募による市民企画委員方式を取り入れたり、学校で多文化共生
教育を行う際に地域で暮らす外国人市民を「民族文化講師」として招いていま
す。また、N P O が行う子どもへの「暴力防止プログラム」を取り入れるなど、
市民との協働による事業が確実に根づいています。さらに、子どもの人権保障
を担うN P O やD V 等の被害女性を守るためにシェルターを運営するN P O 等
との連携・協働による取組も広がりをみせています。
今後も、市民、N P O 等と協働して人権施策を推進していきます。
(3) 事業者等との連携・協働の推進
川崎市は、一人ひとりの人権が尊重される社会の実現に努めています。
取組をより効果的かつ実行性あるものにするためには、人権教育及び人権啓
発の取組を間断なく実施していくことが重要です。また、人権尊重をより広が
りをもった取組に発展させていくためには、事業者等との連携・協働の推進が
求められます。
これまでも川崎市は、事業者や関係団体と連携・協働して、雇用や就労など
における差別の解消、男女共同参画社会への取組、障害者雇用の推進等に向け
て協議を行い、実績を積み上げてきました。
今後も、事業者等との連携を強化し、主体的に人権尊重の取組を行うことが
できるよう支援の充実に努めていきます。
9
1 市民一人ひとりが尊重され、いきいきと心豊かに暮らせるまちづくり
市民一人ひとりが人間として尊重されることが、「誰もがいきいきと心豊かに暮
らせる」まちづくりの大前提であることから、人権の尊重をあらゆる施策の基本
としています。
すべての市民が様々な違いを越えて、対等な人間関係を築ける人権感覚豊かな
地域社会づくりが重要であり、そのためには、市の企画する事業や地域での催し
などの様々な機会を通じ、人権意識の普及を行うことが必要と考えます。
人権の大切さを市民の共通の意識として形成し、市民一人ひとりの個性や人格
を互いに尊重し、共に支えあう社会をめざします。
2 差別や偏見のない、優しさにあふれたまちづくり
少子・高齢化の進行、国際化の進展、情報の高度化等に伴い、インターネット
による差別的な書込みや、個人情報が本人の知らないうちに社会に流出するなど
新たな人権侵害や差別、偏見が発生しています。
人権の問題を一人ひとりの心の中で抱え込むのではなく、社会の問題として捉
え、傍観者から当事者への感覚を持たなければなりません。
人権を侵害する側と侵害される側といった、固定化された観念で考えるのでは
なく、人権侵害の芽は誰の心の中にもあることを自覚し、いかなる差別や偏見も
許さない、相手の痛みを感じることのできる「優しさにあふれたまちづくり」を
めざします。
3 互いの歴史や文化を理解し、共に生きるまちづくり
2006 (平成18)年6 月末現在、川崎市には約2 万8 千人、市人口の2 % を超
える外国人市民が暮らしています。戦前からの歴史的経緯により特別永住資格を
有する在日韓国・朝鮮人が全体の約1 / 4 を占める一方、1 9 8 0 年代後半以降
の地球規模での社会経済構造の変化によって、1 1 0 以上の国・地域から来日し
た人が、市内全域に居住するようになってきました。また、国際結婚により生ま
れた人や海外からの帰国者など、日本国籍であっても外国文化を背景にもつ人々
も増えています。
多様な文化的背景を持つ市民が共に生活することにより地域社会が豊かになる
一方、文化の違いから摩擦が生じる場合もあります。また、偏見や差別意識がな
くなっていないという現実もあります。今後も、国籍や民族、文化の違いを豊か
Ⅵ 基本目標
10
さとして活かし、すべての人が互いに認め合い、人権が尊重され、自立した市民
として共に暮らすことができる「多文化共生社会」をめざします。
4 市民、事業者、市が共に取り組む人権尊重のまちづくり
子どもや女性、高齢者などへの虐待事件が相次いで起きています。被害者の発
見や保護については、学校や相談機関、人権擁護委員、民生委員、児童委員、人
権の擁護を行うN P O 、N G O ( * 14) 等の協力により進めていますが、地域的
かつ広域的な連携や協力の充実がさらに必要です。
また、他の自治体で生活しながらも、市内の事業所で働く勤労市民を対象とし
た、就労差別、職場でのセクシュアル・ハラスメント等の問題も、市の人権施策
推進のための重要な課題といえます。
市民の人権に関する問題は、国や自治体はもとより地域、学校、企業、団体、
N P O 、N G O などとの連携を通じて解決していくことが必要であり、自治体と
市民が相互に支援し合うことが重要です。市民、事業者等とともに連携し、なお
一層「人権尊重のまちづくり」に取り組みます。
* 14 N G O (Non Governmental Organization の頭文字): 非政府組織 国連のような政府
間組織・政府に対する民間団体の呼称
11
Ⅰ 4つの柱
分野別の人権施策はそれぞれの人権課題に応じて、個別法、個別条例等
を踏まえて実施しています。これらの課題に対する共通の取組として、
①人権教育を推進すること、②人権啓発を推進すること、③人権相談・救済、
自立支援のための施策を充実すること、④それらを推進する上で市民、事業者、
市が連携・協働する体制を整備すること、を4つの柱に、本市の人権施策を総
合的に推進してまいります。
1 人権教育の推進
幼児・学校教育の中で、子どもの権利に基づき、子どもたちの自尊感情を育み、
違いを認め合い、尊重し合う意識や態度の育成をめざして、発達段階に応じた人
権教育を実施します。また、生涯学習として人権を尊重し、共に生きる社会をつ
くるため人権教育を推進するとともに、市民による学習・研修等を支援します。
2 人権啓発の推進
市民一人ひとりが尊重され、差別や偏見のない社会を実現するため、人権課題
に対する正しい知識の普及や広報をはじめとした啓発活動に努め、また、市民、
事業者が人権の意義や価値についての理解を深めるための学習・研修の場を提供
するとともに、市民、事業者の主体的な啓発活動を支援します。
3 相談・救済体制、自立支援の充実
人権侵害を受けている、または受けるおそれのある市民が安心して気軽に相談
でき、問題を解決することができるように支援するとともに、関係団体、関係機
関と連携し、迅速、的確に救済や自立支援ができるように体制の充実に努めます。
4 連携・協働による推進
人権施策を推進するには、市民、事業者の参画が必要であり、また、NPO等
の関係団体や国・県及び近隣自治体との連携が不可欠です。人権教育・啓発、相
談・救済の取組を市民、事業者等と連携・協働しながら推進します。
第2部 4つの柱及び施策の方向、主な取組
12
Ⅱ 施策の方向
1 人権教育の推進
施策の方向1 幼児・学校教育における人権教育の推進
幼児・児童・生徒は、一人ひとりがかけがえのない価値と尊厳を持っていま
す。個性や他者との違いを認め合い、生きる力を育むことができるように人権
教育を推進します。
(1) 人権尊重教育の推進
子どもが自尊感情を育み、互いの違いを認め合える人権尊重教育を推進します。
主 な 内 容 局 名
・児童を対象に男女平等教育参考資料を作成、配布し、男女平等教育を推
進する。
市民局
教育委員会
・子どもたちが自分の存在を肯定し、自尊感情や自信を持って生きるとと
もに、他者を尊重する姿勢を育てるため「子どもの権利学習資料」等を作
成し、児童・生徒の発達段階に即した人権尊重教育を推進する。
・一人ひとりが違いを認め合い、互いの人権を尊重し合えるような人権尊
重教育を推進するため、「川崎市人権尊重教育推進会議」を開催し各校種に
「川崎市子どもの権利に関する条例」の趣旨の徹底を図る。
・様々な教育活動の中で、子どもが自分らしく生き、社会に参加しながら
成長できるよう、「子どもの権利学習派遣事業」をはじめ子どもの権利学習
を推進する。
・「川崎市子ども会議」及び「学校教育推進会議」などにおいて、子どもが
意見表明をしやすい環境をつくり、出された意見などに適切に対応できる
ように努める。
・人権尊重教育研究推進校・実践校等の人権研究・人権研修への協力を行
い、その成果を各学校で生かしていく。
教育委員会
13
(2) 多文化共生教育の推進
「川崎市外国人教育基本方針」を踏まえ、外国人市民や異なる文化的背景をもつ
子どもがアイデンティティを確立し、自分の文化を誇りに思うことができるように、
また、すべての子どもが様々な文化を尊重し、理解を深めるための教育を推進しま
す。
また、海外帰国児童生徒等への相談体制を充実させるとともに、学校生活への適
応や個性の伸長等を支援します。
主 な 内 容 局 名
・外国籍の母子が日本人母子と同様にサービスが受けられ、安心して育児
ができるように、外国籍親子育児教室、外国語版母子健康手帳の配布、通
訳ボランティアの派遣を実施し、子育て支援サービスの充実を図る。
健康福祉局
・学校教育・社会教育等の幅広い分野で多文化共生の社会をめざし、「川崎
市外国人教育基本方針」の具体的な展開を図るために「外国人教育推進連絡
協議会」を開催し取組を推進する。
・外国人市民や異なる文化的背景の中で育った子どもたちが自分の文化に
対する自尊感情を育むと同時に、すべての子どもたちが様々な文化を理解
し、尊重することで、共に生きる豊かな社会を築いていこうとする意識と
態度を育むため「民族文化講師ふれあい事業」などに取り組む。
・海外帰国・外国人児童生徒等の日本語指導及び心のケアを図るために総
合教育センターの教育相談で実態を把握し、日本語指導等協力者を派遣す
るとともに、学力保障については関係機関等と連携しながら支援を実施す
る。
・多言語による就学案内・健康診断案内及び就学ハンドブックの作成に取
り組む。
・区役所等と連携した就学相談や児童生徒・保護者のニーズに応じた日本
語を母語としない外国人生徒への公立高校進学説明会を開催するなど、情
報提供の充実を図る。
教育委員会
14
(3) 教職員の豊かな人権感覚の育成
子どもの権利が保障されるように、教職員に豊かな人権感覚や専門技術等を身に
つける研修等を充実します。
主 な 内 容 局 名
・教職員向けの研修において人権尊重教育に関わる研修の充実を図る。
・体罰・セクハラ等の人権侵害を防止するため、教職員の年次研修や管理
職研修実施および人権関係資料・冊子配布などの啓発活動や、学校・家庭・
地域及び専門家等との連携や相談機能の充実を図る。
・いじめ・不登校等への対応及び子どもの権利保障を推進するため、学級
経営能力や児童生徒指導、教育相談に関する力量の向上にむけ教職員への
各種研修の充実を図る。
・人権尊重教育及び子どもの権利学習の推進のため各学校の人権尊重教育
推進担当者研修会の開催や資料の収集・教材の開発などに取り組む。
教育委員会
(4) 相談・救済にかかわる校内体制の整備
いじめ、虐待、スクール・セクシュアル・ハラスメント、不登校等について迅速・
的確に相談・救済することができるように教職員への研修を充実し、体制の整備を
図ります。
主 な 内 容 局 名
・様々な子どもの悩みに対応するために、学校・家庭・地域が連携して、
早期発見・早期対応の体制整備を図る。
・いじめや不登校等への対応の充実を図るため、スクールカウンセラーの
有効な活用、相談カード「ひとりで悩まないで」の配付など、子どもたち
自身が利用できる相談・支援体制を充実する。
・不登校児童生徒等に対する指導を行うため、子どもたちへの多様な教育
機会の提供や相談機能の充実を図る適応指導教室の充実、児童相談所やN
PO法人などの関係機関等と児童生徒の在籍校との連携を強化する。
・学校と家庭の間での情報共有を促進するとともに、子育てや教育に関す
る保護者からの相談の機会を充実させる。
教育委員会
15
施策の方向2 生涯学習における人権教育の推進
市民一人ひとりが、人権について正しい知識を得、理解を深めていくことが
求められていることから、子どもから大人まで継続的に人権教育を推進します。
また、市民の主体的な人権学習を支援します。
(5) 人権尊重教育の推進
誰もがいきいきと生活することができる社会を形成するため、関係団体、関係機
関と連携しながら人権学習等の人権尊重教育を推進します。
主 な 内 容 局 名
・教育文化会館、各市民館で実施している平和・人権学習、男女平等推進
学習、ボランティア研修等の社会教育事業において、関係団体、関係機関
と連携し学習を推進する。
教育委員会
(6) 意見表明・参加がしにくい人への支援
子どもをはじめとしたすべての人は、社会を構成する一員として、意見を表明し、
参加する権利があります。すべての人が、意見を表明し参加することができるよう
に条件の整備を推進します。
主 な 内 容 局 名
・外国人市民が、意見を表明し参加することができるよう、多言語情報の
促進、日本語学習への支援の充実を図る。
市民局
教育委員会
・障害者の当事者団体やその家族団体に対する組織の支援を図るとともに、
講演会、シンポジウム等の企画を通じ意見表明の機会づくりに努める。
・育児不安や孤立化、児童虐待など子育てをめぐる多くの深刻な課題を解
消するため、子どもの権利の視点に立った健診・訪問・相談などの充実を
図る。
健康福祉局
・子どもの意見表明・参加については「川崎市子ども会議」「行政区・中学
校区子ども会議」「夢パーク事業」「青少年の家事業」等の機会で、実践し
充実を図る。
・障害のある人、外国人市民等が意見を表明し参加することができるよう、
教育文化会館、各市民館において社会教育事業を実施し、充実を図る。
教育委員会
16
(7) 市民の主体的な人権学習への支援
市民が、主体的に人権学習を行うことができるように情報や場の提供等について
支援します。
主 な 内 容 局 名
・市民及び市民団体の活動支援のため、男女共同参画センターのフリース
ペースの有効活用を図る。
市民局
・平和・人権学習、男女平等推進学習、市民自主学級等の充実を図り、よ
り効果的に推進するため情報や場の提供について支援を強化する。
教育委員会
2 人権啓発の推進
施策の方向3 啓発活動の推進
人権の重要性や人権の考え方、人権侵害の歴史と構造、その救済や問題の解
決等について、市民や事業者等を対象に幅広く啓発を推進します。
(8) 市民への啓発活動の推進
様々な人権課題に対する正しい知識の普及に努めるとともに、市民一人ひとりが、
互いの人権を尊重できるように効果的な広報や啓発活動を充実します。また、市民
の参加や人権に関する教材の有効利用等の効果的な手法について検討します。
主 な 内 容 局 名
・(財)川崎市国際交流協会が、川崎市国際交流センター、川崎区役所及び
麻生区役所において行っている外国人相談事業について、「市のホームペー
ジ」や「かわさき生活ガイド」、「市政だより」等を活用した普及啓発の充
実を図る。
総務局
・消費者の権利を尊重し、自立を支援するために、消費生活に関する知識
の普及、情報の提供その他の啓発活動を推進する。
・「子どもの権利条例ホームページ」を活用した啓発広報の充実を図る。
市民局
・障害者週間(12月3日~9日)に、障害者の完全参加と平和の理念の
普及啓発を図る事業として開催する「川崎市民のつどい」の充実を図る。
・市民を対象とした精神保健福祉に関する講演会の実施やメンタルヘルス
に関する冊子・パンフレット等を作成し、広報活動の充実を図る。
・高齢者虐待の防止に向けたリーフレットを作成し、普及啓発の充実を図
る。
健康福祉局
17
(9) 事業者、団体等への啓発の推進
事業者、団体等が、社会的責任として人権を尊重し、様々な人権課題に取り組め
るように情報や資料の提供等を行います。また、国連の「グローバル・コンパクト」
について周知を図り、参加を促進します。
主 な 内 容 局 名
・勤労者及び事業主向け啓発情報誌「かわさき労働情報」に人権に関する
情報を掲載し啓発に努める。また、公正な採用や均等な待遇及び高齢者や
障害のある人の雇用を促進するための啓発用パンフレットを作成し配布す
る。
・市民、事業者、市が互いに連携・協働して男女平等推進のための情報交
換をする場として設置した「かわさき男女共同参画ネットワーク」の充実
を図り、男女平等の普及啓発を進めていく。また、市民、事業者向けのパ
ンフレットによる啓発を実施する。
・企業の人事担当者等を対象に、人権に関する課題や情報の提供を目的と
して開催する「企業研修会」の充実を図り、参加を促進する。
市民局
・当事者団体及び関連機関と連携して行うアルコールセミナー、アディク
ションセミナーの開催のための情報を提供し、参加の促進を図る。
健康福祉局
施策の方向4 事業者、団体等の啓発活動への支援
事業者、団体等が主体的に人権学習・研修に取り組むように働きかけを行う
とともに、事業者、団体等の啓発活動を支援します。
(10) 事業者、団体等による人権学習・研修への支援
事業者、団体等が主体的に人権学習・研修を効果的に行うことができるように人
材の派遣や情報の提供、器材の貸出等を実施します。
主 な 内 容 局 名
・事業者、団体等の自主的な人権学習や研修会を支援するため、職員の派
遣、ビデオ・書籍等の貸出を推進する。
・職員の派遣、ビデオ・書籍等の貸出等を支援するための広報活動の充実
を図る。
市民局
18
3 相談・救済体制、自立支援の充実
施策の方向5 相談・救済体制の充実
各種相談窓口、救済機関、公的支援制度、NPO等が行っている支援等の様々
な情報を効果的に広報・提供します。また、市民が人権侵害を受けている、ま
たは受けるおそれのあるとき、問題を解決し、自立や社会参加等をすることが
できるように相談・救済、支援体制の充実に努めます。
(11) 相談窓口や救済機関の周知と活用
市民に相談窓口や救済機関の周知を図るとともに、気軽に安心して相談できる仕
組を検討し拡充します。
主 な 内 容 局 名
・(財)川崎市国際交流協会が川崎市国際交流センターで実施している6
か国語による相談業務や川崎区役所及び麻生区役所で実施している3か
国語による相談業務を周知し、充実を図る。
総務局
・勤労者及び事業主向け啓発情報誌「かわさき労働情報」に人権に関する
情報を掲載し、相談窓口や救済機関の周知を図る。
・相談窓口一覧等を盛り込んだ啓発誌の整備、充実を図り、区役所等市民
が利用する窓口に配布する。
・外国人市民が生活する上で必要な窓口や問合せ先をまとめた多言語での
情報提供の充実を図る。
・女性総合相談事業(川崎市男女共同参画センター)については、パンフ
レット、ポスター、市のホームページ等により広報を実施し、相談体制の
充実を図る。
市民局
・ホームレス等の起居する場所を巡回し面接を行い、日常生活に関する相
談等を行うとともに、関係機関との連携を図り必要な支援を行う。
・障害のある人を対象とした障害者の人権や生活等の相談や、必要に応じ
て、専門相談員(弁護士等)が助言、指導を行うなど事業の周知を図る。
・こころの電話相談の実施については、市ホームページ、パンフレット等
による広報に努めるとともに関係機関への周知を図る。
・ヤングテレホン相談事業、思春期保健電話相談事業について市ホームペ
ージ、各種案内等による広報を行うとともに、相談内容に適したアドバイ
スができるよう、他の相談業務との連携を図る。
健康福祉局
19
・児童虐待防止対策として、コンビニエンスストアを活用した啓発広報活
動、市民向け講演会の開催、学校等への出張研修等により、早期発見・早
期対応・発生防止に努める。
健康福祉局
・区保健福祉センターに配置した女性相談員による人権侵害等の相談業務
の周知を図る。
・区保健福祉センターを、虐待を受けた人が届け出る窓口と、虐待を受け
ている人を見つけた場合に通報する窓口とし、高齢者虐待防止に向けた対
応を図る。
健康福祉局
各区役所
・民間賃貸住宅の入居制約を受けている人に対する相談や連帯保証人が見
つからない人に対する支援(川崎市居住支援制度)体制の周知を図る。
まちづくり

・専門委員(人権擁護委員)の区民相談は、内容に応じ適宜、専門委員や
支援・救済機関を案内し、問題の解決や自立ができるよう努める。 各区役所
・人権オンブズパーソン制度の周知を図るため、子ども相談カードや男女
平等相談カードの配布、市ホームページの利用等の充実に努める。また、
小中学校での人権オンブズパーソン子ども教室等の啓発の拡充を図る。
市民オンブ
ズマン事務

(12) 相談・救済体制の強化
人権にかかわる相談窓口を整備し、効果的な相談体制の充実に努めます。また、
関係団体、関係機関と連携を図りながら、迅速、的確に救済や支援をすることがで
きるように体制の充実に努めます。
主 な 内 容 局 名
・市内2箇所(本庁、中原区)に設置している人権にかかわる労働相談受
付窓口の充実を図る。
・ニート、フリーター等、若年者の就業に関する相談窓口の充実を図り、
カウンセリング等の手法により就業を支援する。
・「川崎市人権・男女共同参画推進連絡会議」及び関係団体、関係機関と
連携を図りながら、犯罪被害者の支援のため窓口を整備し、体制の充実を
図る。
・DV被害者救済のために、川崎市男女共同参画センターの相談事業を充
実させ、また、「川崎市女性への暴力相談等関係機関連絡会」(関係団体、
関係機関、市)の強化を図り、迅速、的確に救済、支援するための取組を
進める。
市民局
20
・児童虐待ケース、ホームレス、生保受給者等の複雑な問題を抱える対応
については、区保健福祉センター、児童相談所等と連携し、面接面談業務
の充実を図る。
・精神的な病気による入院患者について、川崎市精神保健医療審査会にお
いて、人権擁護の観点から適正な入院処遇が図られるよう審査する。
・「こども家庭センター」により、専門的総合支援機能や子育てを支える家
庭支援機能を強化し、電話相談機能の充実を図る。
健康福祉局
・DVにかかわる問題等、迅速な対応が必要とされる相談内容については、
各区保健福祉センターに設置した女性相談員と、関係団体・関係機関とが
連携を図り救済・支援する
健康福祉局
各区役所
・民間賃貸住宅の入居制約を受けている人に対する相談や連帯保証人が見
つからない人に対する支援(川崎市居住支援制度)窓口の充実を図る。
まちづくり

・「地域包括支援センター」や「社会福祉協議会」と連携し、高齢者の権利
擁護についての施策の充実を図る。
各区役所
・市民オンブズパーソン制度の活用の推進を図るため、地域での相談の担
い手である民生・児童委員等の関係機関、関係団体との連携・強化に努め
る。
市民オンブ
ズマン事務

施策の方向6 相談・救済、自立支援を行う団体等との連携強化
当事者が、問題の本質を理解し、主体的に問題を解決し、自立して社会参加
等を実現するためには、様々な支援を必要とします。また、自ら人権を守るこ
とが困難な状況にある市民には、個別の必要に応じた支援が求められます。関
係団体、関係機関との連携を強化することで、当事者が回復し、自立できるよ
うに救済、支援策を充実します。
(13) 関係団体、関係機関との連携
人権相談・救済に関係する団体、機関が情報交換等を円滑に行い、当事者に必要
な回復・自立に向けての支援を行うために、各自治体間の協力を踏まえながら連携
の強化を図ります。
21
主 な 内 容 局 名
・DV被害者に対して、「川崎市配偶者等からの暴力対策関係機関等連絡会
議」を開催し、情報交換を行うなど円滑な連携により対応の強化を図る。
・横浜地方法務局川崎支局や「川崎人権擁護委員協議会」等との情報交換
を行い、連携強化を図る。
市民局
・全国の精神保健福祉センター及び地域ブロックによる研究協議会に参加
し、随時、人権問題や救済に関する情報交換を行うことで、当事者に必要
な支援を提供できるよう連携の強化を図る。
・女性相談業務について市内民間団体・県内民間団体との定期的な情報交
換等を行い、連携強化を図る。
・要保護児童の早期発見や適切な保護を図るため、関係機関が要保護児童
等に関する情報等を共有し、適切な連携による対応を目的として設置した
「川崎市要保護児童対策地域協議会」で、施策等を検討し、救済・支援策
の充実を図る。
健康福祉局
4 連携・協働による推進
施策の方向7 市民、事業者の参加の促進
市民、事業者が「人権を尊重し共に生きる社会」づくりに参加できる機会を
拡大するとともに、人権擁護に取り組みやすい環境の整備を行い、市民、事業
者、市によるまちづくりを推進します。
(14) 市民の参加の促進
人権施策の企画立案、実施、評価のあらゆる段階への市民の参加が促進される
ように条件の整備に努めます。
主 な 内 容 局 名
・人権施策の総合的な推進を図るため、「かわさき人権啓発推進協議会」へ
の市民委員の参加を促進する。
・各審議会等へ外国人市民の登用を促進する。
・「川崎市男女平等推進審議会」や「川崎市男女共同参画センター運営委員
会」等の市民委員参加を促進する。
・人権施策の総合的な推進を図るための基礎資料とするため、「人権に関す
る市民意識調査」を実施する。
・「川崎市子どもの権利委員会」の検証過程や「かわさき子どもの権利の日
事業」において市民の参加を促進する。
市民局
22
・教育文化会館、各市民館で実施している平和人権学習、男女平等推進学
習において、企画委員会を設け市民と行政が協働で事業の企画立案、実施、
評価できる体制の充実を図り、市民の参加を促進する。
教育委員会
(15) 事業者の参加の促進
人権が尊重され共に生きる社会をつくるには、事業者の協力が必要です。事業者
に社会的責任として人権尊重の理解を求めるとともに、その取組について働きかけ
を行い支援します。
主 な 内 容 局 名
・企業研修により、企業の人事担当者等に人権尊重の意識啓発を図る。
・男女共同参画社会の推進に向けた取組として設置した「かわさき男女共
同参画ネットワーク」による、人権・男女平等に関する研修会、講演会等
を行い啓発を進める。
市民局
・高齢者・障害者への支援サービスを提供する事業者に対し、人権を尊重
して事業を行うように研修等で啓発を進める。
健康福祉局
施策の方向8 関係団体、関係機関との連携・協働の推進
関係団体、関係機関とネットワークを強化し、互いの役割等について相互に
理解を深めながら「人権を尊重し共に生きる社会」の形成に努めます。
(16) 市民活動への人権の視点の醸成
市民活動のグループが、人権の視点を持ち、人権に配慮した活動を行うことがで
きるように、学習機会の提供等の支援を行い、連携・協働の推進に努めます。
主 な 内 容 局 名
・人権学校、人権フォーラム等の周知を図り、市民の参加を促進し、人権
の視点の醸成に努める。
・市民活動グループ等への活動を支援するため、川崎市男女共同参画セン
ターにおける男女平等に関する事業(講座、講師派遣、センターの貸館等)
を推進する。
市民局
・障害のある人に対する人権への理解を広めるため、精神保健ボランティ
ア講座等を開催し、市民活動の支援を促進する。
健康福祉局
・市民活動グループ等に対して、人権の視点を取り入れるよう学習機会の
提供等の支援をする。
教育委員会
23
(17) 関係団体、関係機関とのネットワークの強化
分野別に関係団体、関係機関とネットワークを強化し、連携・協働して人権教育、
啓発、人権救済を効果的に推進します。また、人権擁護活動は広域的に連携して行
うことが必要であることから、市外の関係団体、関係機関との連携・協働の強化を
図ります。
主 な 内 容 局 名
・川崎人権啓発活動地域ネットワーク協議会(横浜地方法務局川崎支局、
川崎人権擁護委員協議会、川崎市)の充実を図り、啓発活動を効果的に推
進する。
・「拉致問題に関する地方自治体ネットワーク」「神奈川県・横浜市・川崎
市拉致被害者等支援連絡会議」による情報の提供・共有を図り、支援のた
めの連携を図る。
・DV被害者救済のために、「川崎市女性への暴力相談等関係機関連絡会」
及び「川崎市配偶者等からの暴力対策関係機関等連絡会議」を開催し、県、
市、関係団体との連携を強化し、緊急の際に迅速かつ的確な対応を図るた
めの意見交換及び情報提供を行う。
・「かわさき子どもの権利の日事業」の充実を図り、子どもにかかわる団体
や関係機関との連携の強化に努める。
市民局
・障害者福祉に関する市内関係団体、関係機関を対象としたセミナー、講
演会を通じて、人権教育を推進するとともにネットワークを強化する。
・女性相談業務について市内及び市外関係団体との定期的な情報交換を行
い、連携強化を図る。
・こども家庭センター、こども支援担当部署、中央及び南部児童相談所と
連携し、児童相談事業の強化を図る。
また、関係機関との連携を図るため設置した「川崎市要保護児童対策地
域協議会」により、地域全体での児童相談体制の強化を図る。
健康福祉局
・地域において子どもを支援している団体や関係機関と情報、場及び機会
の共有化等を図るため、ネットワークづくりを推進する。
各区役所
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(18) 関係団体への支援
人権擁護のため活動している民間団体等に対し、情報の共有化とともに様々な支
援をします。
主 な 内 容 局 名
・「神奈川人権センター」、「横浜国際人権センター」と連携し、情報の共有
化とともに人権啓発に努める。
・DV被害者支援団体との連携を図り、活動支援を充実させる。
市民局
・ホームレス自立支援を行う個人又は民間団体との連携を図り、活動支援
を充実させる。
・女性相談業務について市内及び県内関係団体(県・市、団体との協働シ
ェルター)との定期的な情報交換等により、連携強化するとともに財政支
援を行う。
健康福祉局
・子ども関連ネットワーク等と情報の共有化を図るとともに、市のホーム
ページやガイドブックなどにより、広く関係者に情報を提供する。
各区役所
施策の方向9 人権尊重のまちづくりを担う職員の育成
人権尊重のまちづくりを担う職員を育成するため、計画的に効果的な人権研
修を実施します。また、保健・福祉、教育関係等に従事する職員に対しては、
専門性や人権意識をより高めるための研修を継続的に実施します。
(19) 体系的な人権研修プログラムによる職員の育成
職員が高い人権意識を持ち、市民対応やまちづくりを行うことができるように体
系的な人権研修プログラムを作成し、研修を実施します。
主 な 内 容 局 名
・市職員の人権意識の醸成と、互いの違いを認め人権を尊重し合う「共生
のまちづくり」の実現を図るため、職員研修における各階層別研修の中で
人権に関する研修を実施し、また、すべての職員を対象とした「人権研修」
を特別研修として実施する。
総務局
・市職員の人権意識の醸成と、互いの違いを認め人権を尊重し合う「共生
のまちづくり」の実現を図るため、「人権学校」をはじめ市民向け啓発事業
等に市職員の参加を進める。
市民局
25
(20) 専門分野の従事者への研修の推進
保健・福祉、青少年育成、教育等に従事する職員に対しては、専門知識や技術の
習得のための研修を推進します。さらに人権研修や「協働」に関する研修を継続的
に実施し、専門性を発揮しながら市民と連携・協働して、職務に従事することがで
きる職員を育成します。
主 な 内 容 局 名
・各局(区)室が各々の人材育成計画に基づき行う人材育成や職場集合研
修等に対して、講師紹介や教材・資料の提供、研修実施経費の助成等、必
要な支援を行う。
総務局
市民局
・こども文化センター及びわくわくプラザスタッフの資質向上を図るため、
指定管理者が指導員資格の取得研修等を行い、青少年の健全育成に関し、
専門性を高めるよう指導に努める。
市民局
・障害者福祉に従事する医療、保健、福祉関係職員を対象とした講演会、
研修等を通じ、専門知識や技術の向上を図るとともに、市民と連携・協働
して職務に従事できる職員の育成を図る。
・児童相談所が市民のニーズに応え、適切な対応を行うためには、職員の
意識改革による組織づくりが必要であることから、所内外の研修に積極的
に参加するとともに、講師として専門知識や技術の習得に努める。
健康福祉局
・学校教職員及び社会教育職員研修において「人権研修」「協働」に関する
研修を実施する。
教育委員会
26
川崎市は、子どもの権利を保障するため、教育や子育てにかかわる分野で、
様々な施策を推進していますが、1 9 8 9 (平成元)年に国連総会において採
択された「児童の権利に関する条約」の「子どもは権利の主体である」とい
う理念に基づき、全国に先駆け2 0 0 1 (平成13)年に「川崎市子どもの権
利に関する条例」を施行しました。
この条例の理念、趣旨のもと、子どもの市政参加の場である「川崎市子ど
も会議」、学校運営等への意見表明の場である「学校教育推進会議」、子ども
の居場所と活動拠点となる「川崎市子ども夢パーク事業」、子どもの権利へ
の理解を深める「子どもの権利学習」や「かわさき子どもの権利の日事業」
等、子どもの権利保障を推進する取組を行っています。
また、本条例を受けて、2 0 0 2 (平成14)年に人権オンブズパーソンが
設置され、いじめや体罰、虐待など、子どもの権利の侵害について相談及び
救済を行っています。
さらに、2 0 0 5 (平成17)年には、子どもにかかわるあらゆる市の施策
に子どもの権利の視点を組み入れ、子どもの権利の保障を総合的かつ計画的
に推進することを目的に、「川崎市子どもの権利に関する行動計画」を策定
しました。
子どもは権利の主体であり、大人とともに社会を構成するパートナーです。
子どもの権利保障を進め、子どもの人権が尊重される社会づくりに向けて、
今後も積極的に取り組みます。
( 1) 子どもの権利に関する意識の向上
啓発・広報を充実させるとともに、子ども自らが子どもの権利について学ぶこ
とや、子どもを支える大人が子どもの権利について理解を深めることなど、子ど
もの権利に関する意識の向上に努めます。
【主な取組】
◎ 子どもの権利に関する啓発・広報の充実
◎ 子どもによる啓発・広報の支援の推進
◎ 子どもの権利学習の充実
◎ 市民活動の支援の推進
第3部分野別施策
1 子どもの人権の尊重と権利保障の推進
27
( 2) 子どもの権利保障の推進
子どもが一人の人間として、安心して自分らしく生き、社会に参加しながら成
長していくことができるように支援します。また、子どもが育ち・学び・生活し
ていく上で、大切な権利を保障するための環境整備と支援に努めます。
【主な取組】
◎ 家庭における子どもの権利保障の支援
◎ 育ち・学ぶ施設( 学校、福祉施設、保育園等) における子どもの権利保
障の推進
◎ 地域における子どもの権利保障の支援
( 3) 子どもの意見表明・参加の促進
子どもの意見表明・参加の権利を保障するため、市が実施する子どもにかかわ
る様々な施策や事業に、意見表明・参加の視点を組み入れるための仕組みづくり
や条件整備を行います。
【主な取組】
◎ 子どもの意見表明・参加を図るための機会の保障の推進
◎ 子どもの自主的・自発的な活動を支援するための条件整備の推進
◎ 意見表明・参加しにくい子どもへの個別の必要に応じた支援の充実
( 4) 子どもに対する権利侵害の救済と回復
子どもを支える教職員・施設職員等の専門性及び意識の向上を図り、いじめ、
虐待、体罰等の早期発見・予防、また、不登校の子どもへの理解と支援に努め、
関係機関等との連携・協力体制を強化するなど、子どもに対する権利侵害の救済
と回復を図ります。
【主な取組】
◎ いじめ、虐待、スクール・セクシュアル・ハラスメント、体罰等への相
談と救済・回復体制の充実
◎ 不登校の子どもへの理解と支援
◎ 教職員・福祉関係職員等への研修の充実
◎ 児童養護施設等における研修等の取組への支援
◎ 関係団体・関係機関との連携体制の整備
28
◎ 児童相談所等の相談機能の充実
◎ 人権オンブズパーソン制度の周知と活用
国は、男女共同参画社会の実現を2 1 世紀の最重要課題として位置づけ、
1 9 9 9 (平成11)年に「男女共同参画社会基本法」を制定するとともに、雇用
分野においては、「雇用機会均等法」、「育児・介護休業法」等、女性への暴力
防止に向けた取組として「ストーカー行為等の規制等に関する法律」、「配偶
者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」等の制度の整備を推進
しています。
川崎市は、1 9 8 5 (昭和60)年に「川崎市男女共同社会をめざす計画」
を、1 9 9 5 (平成7)年には「かわさき男女平等推進プラン」を策定し、積
極的に男女平等施策を推進してきました。
2 0 0 1 (平成13)年には、「男女平等かわさき条例」を制定し、「男女平等
のまち・かわさき」の実現をめざし、男女共同参画社会の理念とその推進体
制を明確にするとともに、2 0 0 4 (平成16)年には「川崎市男女平等推進行
動計画」を策定し、計画的に取組を推進しています。
1 9 9 9 (平成11)年に、男女平等施策を推進する拠点施設として開設し
た川崎市男女共同参画センターでは、関係機関や市民グループなどと連携し
ながら、相談、情報収集・提供、調査研究、学習・研修、市民の学習交流活
動支援等の事業を実施しています。
また、2 0 0 1 (平成13)年には「川崎市人権オンブズパーソン条例」を
制定し、D V 、セクシュアル・ハラスメントなど男女平等に関する人権侵害
について人権オンブズパーソンが相談・救済を行っています。
しかしながら、依然としてセクシュアル・ハラスメント、D V 、性犯罪等
の女性に対する暴力は後を絶たず、また、その背景にある男女の社会的地位、
経済力の格差、固定的な役割分担意識などの問題も残っています。
川崎市では、今後も、女性も男性もお互いの人権を尊重し、責任を分かち
合い、快適に生きていくことができる「男女平等のまち・かわさき」の実現
に向けた取組を積極的に推進していきます。
( 1) 男女平等社会実現に向けてのあらゆる場での連携の促進
市民一人ひとりが、個人として人権が保障され、性別によって差別されるこ
となく、個性や能力を発揮するためには、家庭、学校、職場、地域において男
2 男女共同参画社会の形成と女性の人権尊重
29
女平等を推進することが重要であり、そのために、市民、事業者との連携・協
働に努めます。
【主な取組】
◎ 市民、事業者、市が男女平等推進のための意見交換ができる場の設置
◎ 政策・方針決定過程における女性の参画の推進
( 2) 女性の人権尊重への取組
性的虐待、D V 、セクシュアル・ハラスメント等の人権侵害をなくすために、
関係団体、関係機関と連携し、女性に対する人権侵害防止・救済・自立支援を推
進します。
【主な取組】
◎ D V など女性に対する人権侵害に関する相談・救済体制の整備
◎ D V など女性への暴力をなくすための取組みの実施
◎ 援助を必要とする女性及び支援団体等への支援
◎ 人権オンブズパーソン制度の周知と活用
◎ 性と生殖に関する健康と権利を守るための取組みの実施
( 3) 男女平等推進のための人権意識の啓発
男女平等意識の醸成のため、様々な場であらゆる人に学習や研修の機会を提
供・支援し、効果的な啓発活動を推進します。
【主な取組】
◎ 教育、学習・研修のための環境整備の推進
◎ 地域に根ざした意識啓発や広報活動の実施
◎ 市役所における男女平等意識の醸成
( 4) 快適な生活優先型社会の実現に向けた男女平等の推進
仕事と家庭の両立を図るため、男女が共に家事、子育て、介護にかかわること
ができるように、多様な働き方の実現と地域全体での子育てを支える環境づくり
を推進します。
30
【主な取組】
◎ 仕事と家庭を両立できる職場への取組の推進
◎ 地域での子育ての支援体制の整備
川崎市は、2 0 1 5 (平成27)年には高齢化率( 2 0 0 3 ( 平成1 5 ) 年
9 月末 川崎市将来人口推計) が2 1 .8 % 、2 0 3 0 ( 平成42) 年には、
2 8 .4 % と急速な高齢化の進行が予測されており、高齢者を地域社会の中
で支えるシステムやセーフティーネットを確立し、自助・共助・公助のバラ
ンスの取れた地域社会を実現していくことが求められています。
2 0 0 5 (平成17)年度に「第3 期介護保険事業計画・高齢者保健福祉計
画」を策定しました。本計画に基づき、2 0 0 6 (平成18)年度からの3 年
間の高齢者施策については、新しい介護保険制度( 2 0 0 6 (平成18)年4
月改正介護保険法) に対応した「介護予防の推進」、認知症や高齢者虐待へ
の対応等の権利擁護に向けた「自己決定の支援」、シニア世代など高齢者の
能力を地域で活かすための「生涯現役の推進」などを柱に、高齢者の人権に
配慮した施策の構築に取り組んでいきます。
とりわけ高齢者の権利擁護については、認知症や知的障害などで判断能力
が不十分な人の財産管理等を後見人が代理する「成年後見制度」や地域福祉
権利擁護事業の活用、高齢者が抱えている虐待等の問題に対する相談・支援
体制の確立などを図り、高齢者が安心して生活できる地域づくりをめざして
いきます。
(1 ) 地域住民の支え合いを基本とする「福祉文化」の創造
地域の中で安心して暮らせるための環境整備と高齢者自身の自己決定権を尊重
し、参加と交流を推進します。
【主な取組】
◎ 地域社会での参加と交流の場の整備
◎ 知識や技能の社会還元の推進
◎ 自己実現ための労働や学習の機会の提供
◎ 学校での高齢者との交流の促進と人権尊重教育の推進
3 高齢社会を支え合う地域福祉社会づくり
31
(2 ) 利用者本位の福祉サービスの提供と権利擁護の推進
利用者自身の選択に応じた福祉サービスの提供を行うとともに、人権に配慮し
た権利擁護を推進します。
【主な取組】
◎ 一人暮らしの高齢者が安心して在宅生活できる環境の整備
◎ 施設入所への意思の尊重と施設入所者の人権の尊重
◎ 施設の民主的運営と情報公開の推進
◎ 高齢者の虐待防止の推進
◎ 認知症高齢者への成年後見制度や地域福祉権利擁護事業への取組
◎ 総合的な住宅相談と居住支援制度などの充実
川崎市は、障害者への支援の体系化や専門サービスの充実、社会参加、障
害者問題への市民の理解促進のため、1 9 9 7 (平成9)年に「かわさきノーマ
ライゼーションプラン( 障害者保健福祉計画)」を策定しました。
その後、社会福祉法の改正、障害者支援費制度の施行等、わが国の社会福
祉の基礎構造を大きく変える改革が次々に行われたことや、国の障害者プラ
ンの改定、国際的な障害者概念の変化などを踏まえ、2 0 0 4 (平成16)年
に計画の見直しを行い、「新・かわさきノーマライゼーションプラン」を策
定しました。
さらに、2 0 0 6 (平成18)年には、障害者自立支援法が施行されました。
この法律は、障害種別によって分けられていた施策を一元化しながら、地
域で生活するための支援や就労に向けた支援を強化するため、サービス体系
を再編することを目的としています。あわせて、サービス利用に際して、支
給決定プロセスの透明化、明確化を図るために障害程度区分を導入し、財政
基盤を強化するために利用者負担を見直すことにより、障害福祉サービスの
安定的な提供を図り、障害のある人が地域で安心して暮らすことができる支
援体制の確立をめざしています。また、これらのサービスを計画的に整備す
るため、障害福祉計画を新たに策定し、本市において、障害のある人だけで
なく、様々な社会的に支援が必要な人が暮らしやすい社会づくりを推進しま
す。
(1 ) 地域における自立・社会参加への支援
障害者が自立して生活し、自己実現が可能となるように、地域におけるサービ
ス基盤を整備し、社会参加を促進するための環境の整備に努めます。
4 障害者の自立と共に生きるまちづくり
32
【主な取組】
◎ 地域生活を支える総合的な支援の推進
◎ 就労の支援
◎ 社会参加活動の推進
(2 ) 利用者主体(自己選択、自己決定)の支援
障害によって自らの意思や要求が十分に伝えられなかったり、自立への自己決
定が制限されたり、ないがしろにされないように障害者の自己選択、自己決定を
原則として、障害者にかかわる施策への自身の参画と意見の反映を推進します。
【主な取組】
◎ 施設、作業所等での障害者の権利の擁護
◎ サービスの質の向上に向けた取組の推進
(3 ) やさしいまちづくりの支援
一人ひとりの人権を尊重した社会環境づくりとして、ユニバーサルデザインの
理念の実現をめざし、「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能なまちづく
り」を推進します。
【主な取組】
◎ 障害者の参画と相互交流の推進
◎ 国際交流の推進
◎ 障害についての正しい理解に向けた福祉教育の推進
◎ 総合的な住宅相談と居住支援制度等の充実
(4 ) 障害のある子どもたちへの教育の推進
学習障害(L D )(* 1)、注意欠陥・多動性障害(A D H D )(* 2)、高機能自閉症
等を含めて障害のある児童生徒一人ひとりの必要とすることを把握し、教育的支
援を推進します。
【主な取組】
◎ 小・中学校での児童生徒一人ひとりの必要に応じた教育や学習環境の充実
◎ 聾・養護学校を中心とした地域における支援のためのネットワークづくり
◎ 聾・養護学校や重複障害児学級の必要に応じた適正な配置の検討
33
* 1 L D ( Learning D i s a b i l i t y の略): 日本では一般に「学習障害」と訳されます。基本的
には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く・話す・読む・書く・計算する又は推論す
る能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態。
* 2 ADHD( A t t e n t i on- Def i c i t Hyperac t i v i ty Disorde r の略):日本では一般に「注意欠陥・
多動性障害」と訳されます。不注意及び多動性・衝動性を主要な症状とする行動の障害
で、社会生活や学校生活を営む上で支障が認められるもの。
日本固有の人権問題である同和問題は、1 9 6 5 (昭和40)年の「同和対
策審議会答申」において、その早急な解決は国の責務であり、国民的課題で
あるとされました。
川崎市は、1 9 7 8 (昭和53)年に同和対策事業担当を、1 9 8 3 (昭和58)
年には、教育委員会に同和・人権教育担当を設置し人権尊重をめざす多くの
人々とともに、この問題の解決に向けて努力してきました。
こうした中で、市民の人権意識の向上とともに、人権擁護に取り組むN G
O 、N P O などの組織の活動も進展するなど、同和問題をとりまく環境も変
化しています。
しかしながら、心理的差別は、依然としてなくなっておらず、また、イン
ターネットを利用した差別情報などの新たな問題も起こっています。今後は、
人権啓発・人権教育の取組がより重要となっています。
国においては、2 0 0 0 (平成12)年に、「人権教育及び人権啓発の推進に
関する法律」を制定し、人権の尊重に向けて国をはじめ地方公共団体及び国
民の責務を示すとともに、2 0 0 2 (平成14)年には「人権教育・啓発に関
する基本計画」を策定しています。
川崎市は、関係者の個別のニーズに応じて一般施策を実施するとともに、
同和問題への正しい理解を図るために、人権教育・啓発を行い、市民や人権
にかかわる団体等と連携し協力し合いながら、問題の解決に向けて取り組み
ます。
(1 ) 教育・啓発の充実
同和問題は歴史的な経過の中で形成された問題であり、基本的人権の侵害の問
題です。同和問題に関する偏見や差別意識を解消し、早期解決を目指して、人権
尊重思想の普及高揚を図るための人権教育や啓発事業等を充実させます。
5 同和問題の取組
34
【主な取組】
◎ 市民、事業者への啓発の実施
◎ 学校や地域における人権教育の実施
◎ 職員の人権意識の向上に向けた取組
◎ 公正採用に向けた周知の促進
◎ えせ同和行為の排除
(2 ) 研修の充実
同和問題について、正しい理解と認識を深め、差別や偏見がない地域社会を実
現するため、総合的・計画的で効果的な研修の実施に努めます。
【主な取組】
◎ 市職員や事業者への差別解消と人権意識高揚に向けた研修の充実
◎ 一人ひとりが考える参加型研修の充実
(3 ) 関係団体、関係機関との連携の促進
同和問題の解消に向けて取り組んでいる関係機関・関係団体との情報の交換・
共有化を通じて、各種講演会、研修会等を実施してまいります。
同和問題に係る人権問題( インターネット上の差別書き込みや差別文書など)
の解消を図るため、関係機関・関係団体との連携・協働に努めます。
【主な取組】
◎ 情報の提供・交換の推進
◎ 講演会、研修会などあらゆる機会の場の提供や参加の促進
川崎市には、歴史的経緯により特別永住資格を有する在日韓国・朝鮮人が市
の南部地域を中心に多く暮らしています。また、1 9 8 0 年代後半以降の地球
規模での社会経済構造の変化等によって多くの人々が様々な国・地域から様々
な目的をもって来日し、市内全域にわたって居住するようになるなど、外国人
の増加、定住化の傾向は顕著なものがあります。また、国際結婚により生まれ
た人や海外からの帰国者、日本国籍取得者など、日本国籍であっても外国文化
6 外国人市民の人権施策の充実
35
を背景にもつ人々が増えています。
川崎市は、1 9 7 0 年代から、外国人市民が国籍や文化、言語の違いなどに
よって社会的な不利益を受けないよう本市の実情を踏まえながら制度の改善
を図るとともに、併せて教育・啓発等の取組を進めてきました。
さらに、外国人市民は地域社会を構成するかけがえのない一員であるとの
認識のもと、外国人市民の声を市政に反映するため1 9 9 6 (平成8 )年に
「川崎市外国人市民代表者会議」を条例で設置するなど、共生の地域社会づ
くりを進めてきました。代表者会議から出された提言は設置後9 年間で2 7
項目に及び、「川崎市住宅基本条例」への意見の反映や「外国人市民情報コ
ーナー」の設置など外国人市民施策の推進に結実しています。
しかし、多様な文化を持つ市民が共に生活することにより地域社会が豊か
になる一方、文化の違いから摩擦が生じる場合もあります。また、偏見や差
別意識がなくなっていないという現実もあります。
さらに、長年地域社会で生活していても、国籍の違いで不利益を被ったり、
日本語が不自由であるなどの理由で個人の持つ能力を発揮することが難し
い状況におかれている市民も見受けられます。
そこで、国籍や民族、文化の違いを豊かさとして生かし、すべての人が互
いに認め合い、人権が尊重され、自立した市民として共に暮らすことができ
る多文化共生社会の実現に向け、施策推進の基本的な考え方と具体的推進内
容を示す「川崎市多文化共生社会推進指針」を2 0 0 5 (平成17)年に策定
しました。今後も、多文化共生社会の実現に向け、市民、事業者、ボランテ
ィア団体等と連携・協力して外国人市民に関わる施策等を総合的かつ計画的
に推進していきます。
(1 ) 行政サービスの充実
外国人市民が健康で安心して安全に生活するために、必要な情報や行政サービ
スを受けられるように施策の充実や環境整備に努めます。
【主な取組】
◎ 情報提供、相談体制の充実
◎ 言語や生活習慣等の違いに配慮した行政サービス情報の提供方法の改善
◎ 安定した居住の確保に向けたシステムの推進
(2 ) 多文化共生教育の推進
すべての子どもの学習権を保障し、社会における少数の立場の人(マイノリテ
ィ)の文化を尊重するとともに、自立と相互理解が図られる教育を推進します。
36
【主な取組】
◎ 就学の権利の保障と学習環境の整備
◎ 生活に必要な日常語や学習に必要な言語の習得の支援
◎ 日本人と外国人が互いに認め合い尊重し合える多文化共生教育の推進
(3 ) 社会参加の促進
外国人市民が主体的に市政に参加できる環境の整備に努めるとともに、地域社
会の構成員として自己の能力を十分に発揮しながら、様々な活動に参加できるよ
うに施策を推進します。
【主な取組】
◎ 外国人市民代表者会議の充実と外国人市民の意見の施策への反映
◎ 市の審議会等の委員への参加の促進
◎ 外国人市民グループや支援グループ等が活動しやすい環境の整備
(4 ) 多文化共生意識の形成
すべての市民が国籍・民族・文化の違いを認め合い、共に生きる社会をつくる
ため、意識啓発を進めるとともに、開かれた地域社会づくりを推進します。
【主な取組】
◎ 市民に対する多文化共生の考え方についての広報・啓発の充実
◎ 市職員・教職員への人権意識や多文化共生意識の啓発に向けた研修の充実
◎ 事業者に対する適正な雇用の促進に向けての広報・啓発の充実
誰もが、住み慣れた地域で安心して医療を受けられ、健康でいきいきと生
活をすることは基本的な生存権のひとつであり、これを保障するために医療
体制の整備はもちろんのこと、患者の権利保障の視点に立った医療のあり方
を検討する必要があります。
川崎市は、地域における医療機関相互の機能分担と連携により、良質かつ
適切な医療を効果的に提供できる体制整備を進めており、医療施設の整備と
医療環境の改善が図られつつあります。
また、一方で赤痢、コレラ、結核などの感染者や、近年のH I V (* 1 )
7 安心して受けられる人権に配慮した医療の推進
37
感染者などに対する偏見や差別がみられます。エイズ(* 2 )をはじめとする
感染症の患者・感染者、難病患者等に対する差別、偏見の解消を図るために、
正しい知識の普及・啓発活動に努めるとともに、誰もが安心して受けられる
医療を推進します。
* 1 H I V (Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス)免疫のしくみの中
心であるヘルパーT リンパ球(CD4 )を破壊し、からだを病気から守っている免疫力
を低下させていきます。この結果、エイズの症状がでてきます。
* 2 エイズ(Acquired Immune Deficiency Syndrome の頭文字:後天性免疫不全症
候群) H I V に感染してもすぐには発症することはなく、潜伏期間(数年か
ら1 0 年以上)を経て、症状があらわれた時点でエイズ発症と診断されます。
(1 ) 地域における医療機関の連携の推進
地域における医療機関相互の機能分担と連携により、すべての市民が、すこや
かに自立した生活ができるように良質かつ適切な医療を効果的に提供する地域医
療体制の整備を推進します。
【主な取組】
◎ 患者の社会復帰への支援体制のための連携の推進
◎ 人権保障制度に向けた仕組づくり
◎ 保健師・助産師の積極的な役割の推進
(2 ) 患者の権利保障の視点に立った医療環境づくりの推進
患者の人権を尊重し、患者本位の医療を進めるという医療制度改革の目的を踏
まえた医療環境づくりを推進します。
【主な取組】
◎ インフォームドコンセント、患者の自己決定権の保障等の患者への人権の
配慮
◎ 医療情報の適切な管理と患者本人への情報の開示及び相談体制の整備
◎ 緩和ケア医療の確立
(3 ) 医療スタッフの人権意識の向上
医療スタッフの人権意識の啓発に向けた研修等を充実します。
【主な取組】
◎ 医療スタッフへの人権教育、研修の充実
38
(4 ) 感染症の患者等への差別・偏見の解消
感染症の患者等に対する正しい知識の普及のために教育啓発活動を行い、差
別・偏見の解消に努めます。
【主な取組】
◎ ポスター、懸垂幕の掲出及び啓発冊子の配布
◎ インターネットによる広報
◎ 街頭キャンペーン、講演会などの実施
◎ 学校での啓発冊子の配布や講演会の実施
(5 ) 感染症の患者等への人権擁護の推進
感染症の患者などに対して行政処分を行う場合は、患者のプライバシー
保護と人権擁護の視点を十分考慮して実施します。
【主な取組】
◎ 入院延長勧告などの行政処分にかかわる人権擁護
◎ プライバシーの保護や確保
川崎市には、2 0 0 5 (平成17)年7 月末現在、約1 ,0 0 0 人のホームレ
ス(野宿生活者)が、公園、河川、道路、駅舎等を起居の場所として野宿生活
を送っています。
ホームレス(野宿生活者)に対する偏見や差別意識の解消に努めるとともに、
ホームレス(野宿生活者)がこの状態から脱し、安定した居所を確保して地域
の中で自立して生活ができるように支援することも重要です。
川崎市は、国が2 0 0 2 (平成14)年に施行した「ホームレスの自立の支援
等に関する特別措置法」及び2 0 0 3 (平成15)年に告示した「ホームレス自
立の支援に関する基本方針」を踏まえ、2 0 0 4 (平成16)年1 0 月に、2 0 0 8
(平成20)年までの自立支援施策の取組方針である「川崎市ホームレス自立支
援実施計画― 緊急援護から生活づくり支援へ― 」を策定しました。
2 0 0 6 (平成18)年度には、2 つの自立支援センター(川崎市就労自立支
援センター及び富士見生活づくり支援ホーム)を開設し、シェルター(愛生寮)
と合わせた3 つの自立支援組織を拠点として巡回相談を行うなど、引き続き、
関係団体や関係機関と連携・協力しながら、ホームレス(野宿生活者)の人権
8 ホームレス(野宿生活者)の人権の擁護と自立支援
39
に配慮し、個別の状況に応じたきめ細かな支援を実施してまいります。
(1 ) 人権の擁護の推進と相談体制の充実
職員の人権意識の向上を図るとともに、偏見や差別意識の解消に向けて、啓発
活動や人権教育を実施し、正しい知識の普及に努めます。また、関係団体や関係
機関との相談体制の充実を図ります。
【主な取組】
◎ N P O 等との連携による市民講座等の人権教育の実施
◎ 小・中・高等学校等における人権尊重教育の推進
◎ 研修等による職員の人権意識の向上
◎ 関係団体や関係機関との意見・情報交換の実施
(2 ) 安定した生活に向けた自立支援
ホームレス(野宿生活者)自身が自立し、就労等により安定した生活が営めるよ
うに個別の必要に応じた施策を推進します。
【主な取組】
◎ 職業安定所からの相談員の派遣
◎ 就業支援事業所の充実
◎ 就労(自立)支援センターの充実
◎ 居住支援制度の検討
(3 ) 保健・医療対策の充実
個別の必要に応じた健康相談や保健指導等による健康対策を行い、感染症への
医療対策を講じます。また、各施設における機能を活用し衛生面での改善を図り
ます。
【主な取組】
◎ 関係機関との情報交換による健康対策の推進
◎ 医療機関への治療等の協力要請
(4 ) ホームレス(野宿生活者)になることを余儀なくされる可能
性のある人への支援
40
ホームレス(野宿生活者)になることを余儀なくされる可能性のある人のために、
相談体制の充実と様々な支援を実施します。
【主な取組】
◎ 緊急一時宿泊施設等を活用した居住の場の確保
◎ N P O などの民間団体による相談活動への支援
◎ 施設の街頭相談員を中心に自立した人への継続的な支援
これまで取り上げた人権問題以外についても、様々な視点から課題の解決に
向けて取り組む必要があります。
例えば、川崎市には、アイヌの人々など、固有の歴史や文化、伝統を持った
市民や、また、同性愛・性同一性障害など性的マイノリティの人々、災害被害
者、犯罪被害者やその家族、刑を終えて出所した人など、様々な社会的背景を
もつ人々が共に生活しています。その中には、様々な理由で不当な差別を受け
たり、偏見にあった人々も少なくありません。
川崎市では、多文化理解の推進や、性別に配慮した取組などを進めています。
また、拉致被害者家族についても状況に応じた支援に取り組んでいます。さら
に、情報化や科学技術の進展に伴い、インターネットを利用した犯罪や人権侵
害など、新たな人権課題や個人のプライバシー保護など、あらゆる偏見や差別
を解消する視点に立って、より一層の人権施策の推進を図ります。
これらの施策の推進にあたっては、人権を尊重し、様々な歴史、文化、社会
的背景を持った市民がお互いを認め合い、共に生きる、いきいきとした地域社
会づくりをめざします。
(1 ) 固有の歴史・文化を持つ人々の人権
アイヌの人々に対しては、1 9 8 7 (平成9)年に「アイヌ文化の振興並びにア
イヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」が施行され、それまで
の「北海道旧土人法」が廃止されました。アイヌの人々などの様々な固有の歴史・
文化・伝統等を持つ人の権利を保障し、尊重と理解を深めるための取組を行いま
す。
(2 ) 性同一性障害等の性的マイノリティの人々の人権
2 0 0 4 (平成16)年に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」
が、施行され、性同一性障害者の戸籍上の性別変更が可能になりました。性同一
9 様々な市民の権利の尊重と差別の撤廃
41
性障害者や同性愛等の少数派の性的指向をもつ人など性的マイノリティの人々の
人権を尊重する視点から啓発活動を実施します。また、性別表記の点検等を通じ、
人権に配慮した施策の充実を図ります。
(3 ) 犯罪被害者の人権
2 0 0 5 (平成17)年の「犯罪被害者等基本法」の施行に伴い、この法に基づき
同年1 2 月「犯罪被害者等基本計画」が策定され、国と地方公共団体との適切な
役割分担を踏まえ、情報共有等を図り、連携、協力し、地域の実情に応じた施策
を推進することとされました。
本市では、犯罪被害者やその家族への人権課題についての理解を深めるための
啓発活動に努めるとともに、平成1 7 年8 月に関係部局を構成員とした「犯罪被
害者等支援検討部会」を設置し、国の「犯罪被害者等基本計画」に対応する施策
の検討を行ってきました。
今後も、国、県、関係機関や関係団体と連携を図りながら、犯罪被害者の立場
に立った具体的な施策を検討し、支援に取り組んでまいります。
(4 ) 刑を終えて出所した人の人権
刑を終えて出所した人に対しては、真摯な更生の意欲がある場合でも、周囲の
偏見や差別意識などにより、就職に際しての差別や住居等の確保の困難など、社
会生活の様々な場面において、社会参加や社会復帰することが、極めて厳しい状
況にあります。本人及びその家族への偏見や差別をなくすために、支援団体と連
携を図りながら、啓発活動に努めます。
(5 ) 災害被害者の人権
台風や地震などにより災害にあった人たちが、安心して生活できるよう対応を
図ります。「川崎市地域防災計画」に基づき、特に災害に際して必要な情報を得る
ことや、迅速かつ適切な行動をとることが困難であり、災害の犠牲になる可能性
の高い子ども、高齢者、障害者、外国人市民等に対し、福祉施設、自主防災組織、
地域住民、企業等との協力・連携により支援していく体制の整備を進めます。
(6 ) 人身取引被害者の人権
2 0 0 0 ( 平成12) 年に「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」が
国連総会で採択されました。国は、関連法の整備を進めている中で、2 0 0 4( 平
成16) 年には「人身取引対策行動計画」を策定し、人身取引被害者を保護の対象
42
として明確に位置付け、被害者の保護・援助には関係団体や警察、地方自治体な
ど関係機関との連携が不可欠であるとしています。本市では、国の法整備等の動
向を踏まえながら、関係団体・関係機関との情報交換や啓発等に努めます。
(7 ) インターネットによる人権侵害
2 0 0 2( 平成14)年に「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び
発信者情報の開示に関する法律」が施行されました。ホームページにおける不特
定多数の利用者に向けた情報発信や電子掲示板を利用した情報の交換等において、
他人を誹謗中傷する表現や差別を助長する表現等人権にかかわる問題が生じない
よう関係団体、関係機関と連携を図りながら情報の収集と人権侵害を伴う掲載に
対しての対応をしてまいります。
(8 ) 拉致被害者家族への支援
2 0 0 3 (平成15)年に「北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関す
る法律」が施行され、拉致の問題について国と自治体との連携が図られることと
なりました。本市では、この法の趣旨に基づき、同年に副市長を座長とする「川
崎市拉致被害者家族支援連絡会議」を設置し関係局、関係機関と連携し情報の収
集等を行い、連絡会議を窓口として拉致被害者家族への支援に努めています。
2 0 0 6( 平成18)年には「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題へ
の対処に関する法律」が施行され、地方公共団体が国と連携し人権侵害に関する
啓発を図るよう努めることになりました。
今後も、国の動向を踏まえながら、拉致問題への関心と理解を深めるための支
援を連絡会議を中心に進めてまいります。
なお、本市には2 校の民族学校もあり、韓国・朝鮮籍をはじめとする外国人市
民の安全な生活の確保については、継続して関係機関と連携し、取り組んでまい
ります。
43
計画の推進
本計画は、「新総合計画」のまちづくりの基本目標である『誰もがいき
いきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき』をめざして策定さ
れた政策の体系の中で、基本政策「人を育て心を育むまちづくり」― 政策
の基本方向「人権を尊重し共に生きる社会をつくる」― 基本施策「人権・
共生施策の推進」を実現するための計画です。「新総合計画」の進行管理に
あたっては、「新総合計画」の点検・評価の仕組みの活用を図りながら、
本計画の推進状況を総合的に検証します。
本計画を効果的に推進し施策の実行性を高めるために、全庁的推進組織
として整備されている「川崎市人権・男女共同参画推進連絡会議」を有効
に活用し、庁内推進体制を強化します。
1 推進体制の充実
川崎市は、人権施策推進体制を明らかにするため、1 9 9 5 (平成7)年
に市民局に人権担当部署を設置し、その後、外国人市民施策事業も加え、
1 9 9 9 (平成11)年に女性行政推進室と統合し、人権・男女共同参画室を
設置しました。
その後、2 0 0 1 (平成13)年には「子どもの権利担当」を新設し、
2 0 0 2 (平成14)年には「同和対策担当」を加え、人権施策を総合的に推
進する体制を整備しました。
1 9 9 9 (平成11)年には全局・区(室)長で構成する「川崎市人権・男女
共同参画推進連絡会議」を設置し、人権に関わる諸施策について全庁的に
連携・調整を行っています。本計画を推進するためには、各部局間の調整・
協力が不可欠であり、この連絡会議の機能の強化を図るなど庁内推進体制
を整備します。
また、学識経験者、関係団体、市民委員などで構成する「かわさき人権
啓発推進協議会」や市民の意見を十分に聴きながら、本計画を効果的に進
めていきます。
第4部計画の推進
44
(1) 川崎市人権・男女共同参画推進連絡会議と幹事会
本計画を効果的に推進するためには、総合的で実行性の高い人権教育や
人権啓発また相談救済体制等を検討する必要があることから、なお一層「川
崎市人権・男女共同参画推進連絡会議」の機能の充実に努めます。
人権施策の推進にあたっては、各部局で様々な事業を展開していること
から、「川崎市人権・男女共同参画推進連絡会議」のもとに設置した、課長
級を構成員とする「幹事会」において、施策の共通認識と実効性を高めて
まいります。
また、子どもの権利や男女平等施策など分野別の人権施策を推進するた
め設置した、「各種調整会議」において、具体的な施策を協議していくとと
もに、今後も、各種会議の充実を図り横断的で総合的な施策の推進をして
まいります。
(2) かわさき人権啓発推進協議会
本市は、1 9 9 9( 平成11)年に人権施策の推進を図るための必要な事
項について、検討・協議するための組織とし「かわさき人権啓発推進協議
会」を設置いたしました。
それ以前には、1 9 9 7 ( 平成9) 年に人権指針の策定に向けた協議機
関として「かわさき人権懇話会」( 学識経験者、関係団体、市民の代表等に
よる構成) が設置され、翌年には、指針の「検討報告書」が提出されまし
た。この報告書を参考に2 0 0 0 ( 平成12) 年に「川崎市人権施策推進指
針」を策定しました。
本計画は、この指針の基本的な考え方を踏まえたものであり、この計画
に基づき人権意識の普及及び啓発の推進、人権侵害の防止及び人権救済等、
人権施策を総合的に推進するために、本協議会に計画の検証等について意
見や助言等を求めていきます。
(3) 関係団体・関係機関との連携
人権が尊重され共に生きる社会をつくるためには、関係団体・関係機関
との協力が必要です。より一層効果的な施策の推進を図るため、「川崎人権
啓発活動地域ネットワーク協議会」や「川崎市女性への暴力相談等関係機
関連絡会」など各分野において多様な活動を展開している関係団体・関係
機関との連携を強化し取り組んでいきます。
2 進行管理
本計画の進行管理を行うため、新たに専門部会を設置し、各部局間との
連絡・調整を図りながら、各分野ごとの人権施策の推進状況を総合的に検
証してまいります。
45
3 弾力的運用
計画期間を2 0 0 7 ( 平成19) 年4 月から2 0 1 5 ( 平成27) 年3 月
までとしていますが、社会経済状況の変化に応じて、計画の見直しを行い
ます。
人権施策の推進体制
川崎市新総合計画
「人を育て心を育むまちづくり」
川崎市
人権施策推進基本計画
市民が共に生きる
『人権・共生』の
まちづくり
各局・区
基本計画
行動計画
「人権に配慮した
各種施策の推進」
反映
調整
「施策の検討・協議組織」
かわさき人権啓発推進協議会
( 構成員 学識経験者、関係団
体、市民の代表者)
● 人権施策を推進するために必
要な事項の検討・協議
[庁内連絡調整組織]
川崎市人権・男女共同参画推進連絡会議
( 構成員 全局・区(室)長)
● 人権及び男女共同参画関連施策
の総合的な推進
市民・事業者等
川崎市
(施策への参画)
(協力支援)
(施策の実施)
(施策の検証)
川崎再生フロンティアプラン
関係団体・関係機関との連携
●連携・協働による人権施策の推進
(検証・助言)
推進連絡会議幹事会
(構成員 全局・区(室)課長級職員)
● 人権及び男女共同参画施策
の実務的事項の研究・協議
各種調整会議
● 分野別施策
の具体的な
推進・調整
専門部会
● 基本計画の
進行管理
                              「川崎市人権施策推進基本計画」の体系図             
                川 崎 市 新 総 合 計 画
 
  まちづくりの基本目標 :「誰もがいきいきと心豊かに暮らせる持続可能な市民都市かわさき」
  基   本   政   策 : 「人を育て心を育むまちづくり」
  政 策 の 基 本 方 向 : 「人権を尊重し共に生きる社会をつくる」
川 崎 市 人 権 施 策 推 進 基 本 計 画
                                        Ⅴ  基 本 理 念
 
  Ⅵ 基 本 目 標
 
 
1 国際的な視点に立った人権意識の形

2 あらゆる差別の撤廃と人権侵害の防3 連携・協働による人権施策の推進
1 市民一人ひとりが尊重され、いきいきと心豊かに暮らせ

まちづく
2 差別や偏見のない、優しさにあふれた
ま ち づ く り
3 互いの歴史や文化を理解し、共に生きる
ま ち づ く り
4 市民、事業者、市が共に取り組む人権尊重の
ま ち づ く り
計画期間:2007(平成19)年4月~2015(平成27)年3月
第2部 4つの柱及び施策の方向、主な取組
第3部 分野別施策
     1 推進体制の充実 「川崎市人権・男女共同参画推進連絡会議」「幹事会」「各種調整会議」「かわさき人権啓発推進協議会」「関係団体・関係機関」
     2 進行管理        「幹事会」のもとに「専門部会」を設置、推進状況を総合的に検証
     3 弾力的運用      社会経済状況の変化に応じて、計画の見直しを実施
第4部 計画の推

第1部 基本的な考え

1 人権教育の推進
 施策の方向1 幼児・学校教育における人権教育
         の推進
  (1) 人権尊重教育の推進
  (2) 多文化共生教育の推進
  (3) 教職員の豊かな人権感覚の育成
  (4) 相談・救済にかかわる校内体制の整備
 施策の方向2 生涯学習における人権教育の推進
  (5) 人権尊重教育の推進
  (6) 意見表明・参加がしにくい人への支援
  (7) 市民の主体的な人権学習への支援
2 人権啓発の推進
 施策の方向3 啓発活動の推進
  (8) 市民への啓発活動の推進
  (9) 事業者、団体等への啓発の推進
 施策の方向4 事業者、団体等の啓発活動への支

  (10) 事業者、団体等による人権学習・研修への支

3 相談・救済体制、自立支援の充実
 施策の方向5 相談・救済体制の充実
  (11) 相談窓口や救済機関の周知と活用
  (12) 相談・救済体制の強化
 施策の方向6 相談・救済、自立支援を行う団体等
との連携強化
  (13) 関係団体、関係機関との連携
4 連携・協働による推進
 施策の方向7 市民、事業者の参加の促進
  (14) 市民の参加の促進
  (15) 事業者の参加の促進
 施策の方向8 関係団体、関係機関との連携・協働
の推進
  (16) 市民活動への人権の視点の醸成
  (17) 関係団体、関係機関とのネットワークの強化
  (18) 関係団体への支援
 施策の方向9 人権尊重のまちづくりを担う職員の育成
  (19) 体系的な人権研修プログラムによる職員の育成
  (20) 専門分野の従事者への研修の推進
1 子どもの人権の尊重
 と権利保障の推進
 (1) 子どもの権利に関する意識の向上
 (2) 子どもの権利保障の推進
 (3) 子どもの意見表明・参加の促進
 (4) 子どもに対する権利侵害の救済と回復
2 男女共同参画社会の形成と女性の人権尊重
(1) 男女平等社会実現に向けてのあらゆる場
  での連携の促進
 (2) 女性の人権尊重への取組
 (3) 男女平等推進のための人権意識の啓発
 (4) 快適な生活優先型社会の実現に向けた男女平等の推進
3 高齢社会を支え合う地域福祉社会づくり
 
(1) 地域住民の支え合いを基本とする「福祉文化」
の創造
 (2) 利用者本位の福祉サービスの提供と権利
  擁護の推進
4 障害者の自立と共に生きるまちづくり
 (1) 地域における自立・社会参加への支援
 (2) 利用者主体(自己選択、自己決定)の支援
(3) やさしいまちづく りの支援
(4) 障害のある子ども たちへの教育の推進
5 同和問題の取組
(1) 教育・啓発の充実
(2) 研修の充実
(3) 関係団体、関係機関との連携の促進
6 外国人市民の人権施策の充実
 (1) 行政サービスの充実
 (2) 多文化共生教育の推進
 (3) 社会参加の促進
 (4) 多文化共生意識の形成
7 安心して受けられる人権に配慮した医療の推進
 (1) 地域における医療機関の連携の推進
 (2) 患者の権利保障の視点に立った医療環境づく
  りの推進
 (3) 医療スタッフの人権意識の向上
 (4) 感染症の患者等への差別・偏見の解消
 (5) 感染症の患者等への人権擁護の推進
8 ホームレス(野宿生活者)の人権の擁護と自立支援
 (1) 人権の擁護の推進と相談体制の充実
 (2) 安定した生活に向けた自立支援
 (3) 保健・医療対策の充実
 (4) ホームレス(野宿生活者)になることを余儀
  なくされる可能性のある人への支援
9 様々な市民の権利 の尊重と差別の撤廃
(1) 固有の歴史・文化 をもつ人々の人権
(2) 性同一性障害等の性的マイノリティの人々の人権
(3) 犯罪被害者の人権
 (4) 刑を終えて出所した人の人権
(5) 災害被害者の人権
(6) 人身取引被害者の人権
(7) インターネットによる人権侵害
(8) 拉致被害者家族への支援
川崎市人権施策推進基本計画