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かながわ人権施策推進指針
情報の種類 地方公共団体関係資料
タイトル かながわ人権施策推進指針
時期 2003/06/01
主体名 神奈川県
【 内容 】

かながわ人権施策推進指針



はじめに


「人権の世紀」と言われる21世紀、すべての人々の人権が尊重され、相互に共存し得る平和で豊かな社会を実現するためには、私たち一人ひとりの人権意識を高めるとともに、地域や企業においても人権尊重と擁護のための積極的な取組みを進めていくことが必要です。

県では、人権を尊重した行政を進めていく上での道しるべとして、平成6年に「神奈川県人権施策推進指針」を策定し、人権政策に総合的に取り組んできたところです。指針策定から10年を迎え、この間、児童虐待防止法や配偶者暴力防止法といった法整備が進められてきた一方で、ホームレスや犯罪被害者等の新たな人権問題も顕在化しています。こうした中で、平成12年には、人権教育・啓発推進法の施行により、地域の実情を踏まえた人権施策の実施が地方公共団体の責務として位置づけられ、人々のつながりを重視した、共に生き、支え合う地域社会づくりを一層推進していくことが求められています。

こうした人権をめぐるさまざまな状況を踏まえて、このたび、県ではこれまでの人権施策推進指針を見直し、新たに「かながわ人権施策推進指針」を策定いたしました。新たな指針では、県の人権施策推進にあたっての基本姿勢を示すとともに、「誰もが人権を侵されることなく、個人として尊重される社会づくり」、「誰もが機会の平等を保障され、能力が発揮できる社会づくり」、「誰もが個性を尊重され、共に生き、支え合う社会づくり」を基本理念として、人権教育、人権啓発、相談・支援、分野別人権課題などについて、施策の方向性を示しています。

今回の指針策定にあたりましては、かながわ人権政策推進懇話会の委員の方々はもとより、多くの県民の皆様から貴重なご意見やご提言をいただきましたことに、深く感謝申し上げます。

県といたしましては、この指針の目標である「人権がすべての人に保障される地域社会づくり」の実現に向けて、全力を挙げて取り組んでまいりますので、引き続き、県民、事業者、人権NGO等の皆様のお力添えをお願いいたします。



平成15年6月

神奈川県知事 松 沢 成 文


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序 人権施策の取組みの経緯

人権問題は、国を超えた人類共通の重要課題です。

1948年、世界人権宣言が採択されて以来、国連を中心に人権に関するさまざまな宣言や条約が採択され、すべての国が達成すべき共通の基準として、「自由平等」、「生命、自由、身体の安全」など人類共通の課題としての人権保障の基準が積み重ねられています。

1994年12月、国連総会において、人権教育を通じて人権という普遍的文化を世界中に築くことを目的として、翌1995年から2004年までの10年間を「人権教育のための国連10年」とする決議がなされ、これに基づき国においても、1997年7月に「人権教育のための国連10年国内行動計画」を策定し、その取組みが進められています。

神奈川県では、こうした時代の流れをいち早くとらえ、1994年3月に「かながわ人権政策推進懇話会」からの提言を踏まえ、人権問題に県としても体系的に取り込む必要があるとの認識から、人権を尊重した行政を進めていく上での道しるべとして、全国に先駆けて「神奈川県人権施策推進指針」を策定(1998年3月一部改定)し、人権政策の総合的な取組みを進めてきました。

こうした取組みにより、「かながわ権利擁護相談センター」、「かながわ子ども人権相談室事業」、「外国籍県民かながわ会議」、「かながわ外国人すまいサポートセンター」等の設置をはじめとして、企業、人権NGO等との協働による「人権メッセージ展」などの人権関連施策が実施されてきています。

しかしながら、「神奈川県人権施策推進指針」の改定から5年が経過し、この間、男女雇用機会均等法の改正(平成11年4月施行)、男女共同参画社会基本法(平成11年7月施行)、児童買春・児童ポルノ禁止法(平成11年11月施行)、介護保険法(平成12年4月施行)、児童虐待防止法(平成12年11月施行)、ストーカ-規制法(平成12年11月施行)、犯罪被害者保護法(平成12年11月施行)など人権に関する法整備が行われ、最近では女性への暴力、ホームレスの人権問題も顕在化し、配偶者暴力防止法(平成14年4月施行)、ホームレス自立支援法(平成14年8月施行)も施行されているものの、依然として、いろいろな分野で人権侵害が起きています。

差別や虐待などの人権侵害をなくし、誰もが個人として尊重される社会を実現していくためには、国民一人ひとりの人権を尊重する精神の涵養を図ることが不可欠であり、そのためには、人権教育・啓発が最も重要なことから、平成12年12月には「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が施行され、同法では、地方公共団体にも地域の実情を踏まえ、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、実施する責務が規定されたところです。また、今日、地域福祉の着実な取組み等により、人と人とのつながりを重視した、共に生き、支え合う社会づくりが求められています。

そこで、こうした人権を巡る様々な状況を踏まえ、指針の見直しが必要となっています。


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一 指針策定の基本的な考え方

人権は、人間の尊厳に基づいて、すべての人が生まれながらにもっている権利であり、個人としての生存と自由を確保し、より幸福な人生を送るために欠くことのできない権利です。わが国においては、憲法で基本的人権として、侵すことのできない永久の権利として保障し、国民の不断の努力によって保持しなければならないとしています。

そこで、これまでの人権施策の取組みを生かし、行政と民間が協働して「人権がすべての人に保障される地域社会づくり」を着実に進めるため、県の人権施策推進にあたっての基本姿勢を示すとともに、人権教育及び人権啓発と分野別の人権施策を推進するにあたっての方向性を示す、新たな指針を策定しました。


1 指針の目標人権がすべての人に保障される地域社会づくりをめざします。

2 基本理念県は、目標の実現に向けて、憲法はもとより国際的な人権の基準に従い、次のことを基本理念として県民とともに努力します。

(1)誰もが人権を侵されることなく、個人として尊重される社会づくりをめざします。

(2)誰もが機会の平等を保障され、能力が発揮できる社会づくりをめざします。

(3)誰もが個性を尊重され、人と人とのつながりを重視した、共に生き、支え合う社会づくりをめざします。

3 指針の性格この指針は、人権施策推進にあたって、次の性格を持つものとします。

(1)県のあらゆる施策・事業を、常に人権尊重の視点を持って推進する県の基本姿勢を示すものです。

(2)人権教育及び人権啓発の推進の方向を示すものです。

(3)人権尊重の社会の実現に向けて、県民、企業等の積極的な取組みを促進するものです。

(4)主な分野別人権課題の取組みについて、施策推進の方向を示すものです。


なお、この指針は、社会情勢の変化に応じた点検を適宜行うこととします。また、具体の実施施策等については、県の総合計画や個別計画、各年度の予算等で表します。


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二 施策推進にあたっての県の基本姿勢

すべての県職員は、常に全体の奉仕者としてこの指針の基本理念にのっとり、職務を遂行します。


1 人権尊重の視点に立った職務遂行常に人権尊重の視点に立ち、次の点に留意し、あらゆる施策・事業の推進に取り組みます。

(1)常に人権の視点に立って行動します。

(2)人権問題を自分自身の問題として考えます。

(3)常に職務や研修を通して人権感覚を磨きます。

(4)個人情報の保護と情報管理を適切に行います。

(5)NGO等と協働して人権施策を推進します。

2 人権課題への適切な対応県が実施する施策・事業等に関しての人権課題については、人権NGO、当事者等との情報交換などを通して状況を的確に把握し、迅速、かつ適切な対策を講じます。また、複合した課題については関係機関と連携して取り組みます。

3 庁内人権施策推進体制の整備人権施策の円滑、適正な推進を図るため、人権男女共同参画施策推進会議(会長:県民部担当副知事)を設置するとともに、部局毎に人権施策統括責任者(部局長等)及び人権施策推進責任者(各部局企画担当課長等)を設置し、所属毎に人権施策推進主任者兼研修指導者(課長代理等※)を設置します。(※現在は副課長等)

また、職員一人ひとりが人権尊重の考え方を常に自覚して職務を行うよう、全所属で年度毎に「人権に配慮した職務遂行計画」を作成し、その評価を行い職務に生かします。

4 人権研修の実施職員一人ひとりの人権感覚を磨き、人権尊重意識の定着を図るため、定期的に啓発誌を発行するとともに、人権施策推進主任者兼研修指導者に対する研修を実施します。また、全所属で職務内容に応じた人権研修を実施します。


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三 人権教育の推進

県民一人ひとりが、学校教育や社会教育を通じ、人権尊重の理念についての正しい理解を深め、これを体得し、人権が真に尊重される「共に生き、支え合う地域社会」の実現をめざした人権教育を総合的に推進します。

1 自己実現と社会参加をめざす教育

県民一人ひとりが、自分の人権とともに他人の人権を尊重し、その権利の行使に伴う責任を自覚して、自分らしく生き、主体的に社会参加できる社会の実現をめざす教育を推進します。

2 人権問題の解決をめざす教育

県民一人ひとりが、人権尊重の精神を基盤とし、人権問題についての正しい理解と認識を深め、その解決に主体的に取り組むことができるような人権教育を推進します。

3 人権感覚の育成をめざす教育

人権の意義や価値を認識し、人権の尊重が、意志・態度に現れ、行動につながるような人権感覚を育成する教育を推進します。

4 生涯学習の視点に立った教育


幼児期からの発達段階を踏まえ、学校教育と社会教育との連携を図りつつ、人権教育を推進します。

1 学校教育学校教育においては、それぞれの発達段階に応じ、すべての教育活動を通じて、幼児・児童・生徒が人権尊重の意識を高め、主体的に人権問題に取り組むことができる力を育むとともに、幼児・児童・生徒の人権に十分に配慮し、一人ひとりを大切にする教育を推進します。


(1)人権に配慮した学校運営や教育指導に努め、幼児・児童・生徒が豊かな人間関係の中で安心して楽しく学ぶことのできる環境づくりに努めます。


(2)幼児・児童・生徒が、人権問題について正しい理解を深めるとともに、人権尊重の意識を高めることができるように、人権教育に関する指導方法の改善に努めます。


(3)豊かな人間性や社会性を育むため、社会教育との連携を図りつつ、ボランティア活動等多様な体験活動や高齢者、障害者等との共に学び共に育つ交流の機会の充実に努めます。


(4)学校に対して、人権教育に関する指導資料を配付するとともに、研究指定校の実践例の情報を提供します。また、人権NGO等と協働した人権教育の取組み(人権教育移動教室等)を進めます。


(5)教職員が人権尊重の理念について正しい認識を持つことができるよう、人権教育の研修会等の充実に努めます。


(6)幼児・児童・生徒や保護者等が、人権にかかわる問題に安心して相談できる体制の充実を図るとともに、人権侵害を受けた幼児・児童・生徒の心のケアに努めます。


2 社会教育社会教育においては、生涯学習の視点に立って、社会教育関係団体等との連携を図りつつ、県民一人ひとりの主体性のもとに、人権が真に尊重される社会の実現をめざして、人権教育を推進します。



(1)地域の実情や学習者のニーズに応じて、県民一人ひとりが人権尊重の意識を高めることができるような学習機会等の充実に努めます。


(2)人権問題について正しい理解を深めるための学習資料を提供します。また、参加意欲を高めるような参加体験型学習のプログラムの開発に努めます。


(3)豊かな地域社会を形成するために、学校教育との連携を図るなど、ボランティア活動等多様な体験活動や高齢者、障害者等との交流機会の充実のための支援に努めます。


(4)PTAをはじめとする社会教育関係団体等との連携を図りつつ、家庭教育における学習機会の充実のための支援や情報提供に努めます。


(5)地域において、人権教育を積極的に推進していく指導者の養成に努めます。


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四 人権啓発の推進

すべての県民があらゆる機会、あらゆる場を通じて、様々な人権問題に対し、自分自身の問題として認識し、人権尊重の理念についての理解を十分深め、日常生活の中で態度や行動として根づくことをめざし、より効果的な啓発活動を推進します。

1 多様な啓発活動の展開
(1)人権メッセージ展の開催
毎年12月初旬の一週間を「かながわ人権週間」とします。

この期間を中心に、企業、民間団体、市町村、県等で構成する「神奈川県人権啓発推進会議」主催により、県民誰もが参加できる「人権メッセージ展」の開催など、多彩な啓発活動を実施します。

(2)ハートフルフェスタの開催
人権問題を日常の身近な問題として問いかけ、人権尊重の意識を啓発するため、横浜地方法務局、神奈川県人権擁護委員連合会、県等で構成する「神奈川県人権啓発活動ネットワーク協議会」主催により、「かながわハートフルフェスタ」を開催します。

(3)各種広報媒体を活用した啓発活動
人権尊重意識を高めるため、テレビや新聞などのマスメディアやインターネットなどを活用した啓発活動を行うとともに、児童虐待の防止や女性に対する暴力の根絶など各人権課題に応じた啓発活動を展開します。

(4)効果的な啓発活動の推進
人権啓発活動を効果的に行うため、次の点に留意して推進します。

ア 人権問題に気づく啓発

無意識でした何気ない言動や、自分がいいと思ってしたことが、時として相手を傷つけたり、人権を侵してしまうことがあります。人権問題に気づき、理解するという視点に立った啓発活動を行います。

イ 自分自身の問題として考える啓発

人権問題に気づいても、身近に影響が及ばないと他人事として済ませてしまいがちです。自分自身が被害者にも加害者にもなり得るという当事者意識を持って考え、解決に向けた行動につながるような啓発を行います。

ウ 気軽に参加できる啓発

人権は、かけがえのない、それぞれの人生を「自分らしく生きる」ために保障されているものです。人権というと「堅い」、「わかりにくい」といったイメージがつきまといがちですが、気軽に参加できるように企画します。

エ 正しい情報の提供

人権問題に関して、その存在のみを認知するだけでなく、それぞれの問題の内容やその原因を理解することも重要です。そのために、正しい情報を誰にでもわかりやすい方法で伝えていきます。

オ 関心の度合いに応じた啓発

人権問題に対する関心の度合いは、人によってそれぞれ異なり、また、テーマによっても差があります。このような差異にも留意し啓発を行います。

2 人権NGO等との協働人権啓発活動の推進にあたっては、広く県民に様々な人権問題への理解が深められるよう、人権の各分野で活動するNGO等の啓発活動を支援するなど、協働して多彩な取組みを推進します。

3 県民、企業等の取組みの促進人権尊重の社会を実現するためには、差別をしない、許さないという人権感覚を磨くことが大切です。企業等においても、常に人権尊重の視点を意識し、企業活動や啓発活動に取り組むことが必要です。

(1)県民の方々へ
県民一人ひとりが、人権の視点から社会の動きをキャッチし、知識から行動へという積極的姿勢に立って人権問題に取り組むことが重要です。

日常生活の中で人権問題と思われる出来事に接した際に、直感的にそれはおかしいと思う感性や、人権への配慮が自らの態度や行動に現れるような人権感覚を身につけることが大切です。そのためには、次の点に留意する必要があります。

ア 日常的な人権問題への関心と理解

イ 偏見を持たず、差別をしない、差別を許さない態度と行動

ウ 自分の人権とともに他人の人権を敏感に感じとる心の涵養

エ 多様な個性を受け入れ、共存する意識の育成

オ 人権問題を自分自身の問題として考え、その解決に向けた行動

カ 県等が啓発事業として開催する講演会等への積極的な参加

(2)企業等の方々へ
人権が尊重された明るい職場づくりは、働く者の労働意欲の向上や健康づくりに影響し、企業等の発展のために欠かせない取組みです。

また、企業等の社会的責任の一つとして、商品開発、生産、販売などすべての場面において、人権尊重の視点に立った企業活動が大切です。そのためには、次の点に留意する必要があります。

ア 事業所内における人権尊重の気風の育成

イ 人権啓発を推進するためのしくみづくり

ウ 消費者や利用者の人権に配慮した企業活動

エ 個人の能力と適性に基づく公正な採用と公平な処遇

オ 県等が啓発事業として開催する講演会等への積極的な参加

(3)県民、企業等が行う啓発活動への支援
県民、企業等が人権啓発活動を行うにあたり、必要な啓発ビデオや資料の提供を行います。


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五 相談・支援体制

個別の人権問題に迅速かつ適切に対処できるよう、相談・支援体制の強化、充実を図ります。

1 県の相談・支援体制の充実子ども、女性などそれぞれの分野に設けられている相談・支援窓口において、問題の早期解決を図るため、それぞれの相談・支援体制を充実します。

2 救済関係機関・人権NGO相互の連携強化複合した人権問題の解決に向けて、県の関係機関をはじめ、法務局など国の関係機関、人権擁護委員連合会、市町村と連携の強化を図るとともに、人権NGO等と協働した取組みを推進します。

3 人権相談窓口の情報提供人権問題の相談等を行っている県内の国、県、市町村、人権NGO等の相談窓口を一覧にした冊子を作成し、県政情報センター、各地区行政センター県政情報コーナー(※)、市町村人権担当窓口等に備えます。また、県のホームページに掲載します。

(※)現在は、地域県政総合センター県政情報コーナー

4 緊急一時保護機能の充実虐待を受けている子どもや配偶者等からの暴力を受けている被害者を、適切に一時保護するとともに、自立等の支援を充実します。

5 相談員研修の充実相談員が人権問題に適切に対処できるよう、それぞれの分野において研修を充実するとともに、加害者に対しても、適切な相談に応じ、指導ができる人材の養成に努めます。

また、人権NGOが行う人権ケースワーカーの育成のための研修を支援します。


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六 人権施策の推進体制等

1 人権施策の推進体制人権施策の推進にあたっては、職員一人ひとりがこの指針の基本理念に基づいて行動するとともに、「かながわ人権政策推進懇話会」からの提言等を踏まえ、全庁的な推進体制である「人権男女共同参画施策推進会議」のもとに、関係部局等が連携し、適正かつ積極的に取組みます。

また、企業、民間団体、行政等で構成する「神奈川県人権啓発推進会議」や人権NGO等と協働して啓発活動や相談・支援など人権施策の推進に取り組みます。

2 県の人権施策への提案等県の人権施策をより幅広く着実に推進するため、県が実施する人権の推進に関する施策または事業についての県民、企業等からの提案、意見、要望、苦情等を受け付ける窓口(県民部人権男女共同参画課)を設置します。

提案等については、提案等に係る所管課に検討を依頼し、その結果を提案者に回答します。

3 人権課題の取組状況等の報告主な人権課題の取組状況や県民、企業等からの提案等についての対応状況を「かながわ人権政策推進懇話会」に報告し、意見を求めます。

4 今後の検討課題等
(1)県の総合計画や個別計画等への反映
県の総合計画や個別計画等の策定にあたっては、この指針の基本理念等の反映に努めます。

(2)「かながわ人権憲章(仮称)」等の検討
「人権がすべての人に保障される地域社会」の実現をめざして、県民の総意に基づく決意を示す「かながわ人権憲章(仮称)」等の制定について、県民の意向を見据え、検討します。


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七 分野別施策の方向 

人権問題の解決に向けては、この指針で示す基本理念にのっとり、各分野の個別法令や県の総合計画、個別計画等を踏まえて取り組みます。

個別の問題ごとにそれぞれの相談・支援体制を充実するとともに、関係機関、人権NGO等と協働して問題の解決に向けて取り組みます。

また、人権問題に適切に対応するために、職員の研修を行うとともに、人権NGOが行う人権ケースワーカーの育成を支援します。

こうした取組み等により、誰もが人としての尊厳をもって、家庭や地域の中で、差別されることなく、その人らしい安心のある生活が送れるよう自立を支援し、「共に生き、支え合う地域社会づくり」を推進します

なお、分野別施策の方向として、個別法令などにより人権への配慮が特に求められている「子ども、女性、障害者、高齢者、患者等、同和問題、外国籍県民、ホームレス、犯罪被害者等」の9つの分野を取りあげましたが、この他にも、特定の職業に従事する人、刑を終えて出所した人への偏見や差別意識、性的マイノリティ(同性愛者、性同一性障害の当事者や自己の性別に不快感を伴う人、インターセックス(先天的に身体上の性別が不明瞭であること)の人)、身体的特徴を理由とする偏見や差別意識があります。また、偏見や差別意識等が複合した深刻な人権問題をきたしているケースや、インターネットによる他人を誹謗中傷する表現や差別を助長する表現など人権にかかわる問題も発生しています。

これらの問題の解決に向けても関係機関、人権NGO等と協働して取り組みます。

1 子ども子どもへの虐待が増加し、深刻な問題となっています。また、子どもたちの間のいじめも依然として後を絶たず、性非行や薬物乱用の問題も社会問題化しています。子ども一人ひとりが人間として尊重され、人権が守られるなかで成長していく環境づくりを推進します。

(1)主な取組みの方向
ア 児童虐待の未然防止、早期発見、再発防止等の推進

児童相談所の相談・一時保護体制の充実、市町村における虐待防止ネットワークの強化、地域における子育ての支援策の充実等により児童虐待の未然防止、早期発見、再発防止を推進するとともに、里親制度の充実等による地域での被虐待児のケア体制の整備を図ります。

イ いじめや不登校の対策の推進

子ども自身の意見を尊重しながら、いじめの問題解決のためにスクールカウンセラー等の校内教育相談体制の拡充を図るほか、学校・家庭・地域社会が一体となったいじめ対策の取組みを支援します。また、不登校等の相談、援助、指導等の対応を推進します。

ウ 子どもの人権擁護の推進

子どもの人権擁護のための審査、助言等を行う「子ども人権審査委員会」、子どもからの人権相談に応じる「子ども人権ホットライン」等を実施し、「児童の権利に関する条約」の趣旨に基づき、子どもの人権擁護を推進します。

エ 青少年の健全な育成の推進

青少年にとって有害な社会環境の健全化を進めるため、条例による規制や県民運動の展開など、青少年が心豊かに育つ社会環境づくりを推進します。

(2)主な関係法令
社会福祉法、児童福祉法、児童虐待防止法、児童買春・児童ポルノ禁止法、県青少年保護育成条例

(3)県の主な関係審議会等
県児童福祉審議会、県青少年問題協議会

(4)県の主な相談等の窓口
■児童相談所

児童虐待など子どもに関するあらゆる相談を行っています。

■総合療育相談センター

児童相談所をはじめ他の機関と連携し、子どもの人権を守るしくみとして「かながわ子ども人権相談室事業」(子ども人権審査委員会、子ども人権ホットラインなど)を行っています。

■教育センターなど

教育庁教育相談室(※1)、総合教育センターなどで、いじめ、暴力、不登校などの相談を行っています。

■県警女性・子どもセーフティ・アドバイザー(※2)

児童虐待など被害を受けている子どもに対し、警察官、少年相談員が相談を行っています。

■県警少年相談・保護センター

犯罪被害、いじめ、家庭内暴力などの相談を行っています。

※1:現在は、教育局教育相談室

※2:現在は、こども安全110番

2 女 性近年、夫、パートナーからの暴力やストーカー行為、セクシュアル・ハラスメントなど女性に対する暴力が顕在化し社会問題となっています。また、就業の場などでの差別的処遇等の問題も存在しています。

男女の人権が等しく尊重され、女性も男性も自らの選択によってあらゆる場において活躍でき、また、生き方を楽しめる、お互いが支え合い、利益も責任も分かち合える男女共同参画社会の実現をめざします。

(1)主な取組みの方向
ア 女性に対するあらゆる暴力の根絶

夫、パートナーからの暴力の被害者への相談や一時保護、自立支援などの総合対策を推進するとともに、暴力は犯罪であることの周知・啓発を行います。外国籍女性の暴力被害についても、取組みを促進します。

また、ストーカー行為やセクシュアル・ハラスメントの防止に向けた相談や啓発などの取組みを一層推進します。

イ 就業の分野における男女共同参画の促進

雇用管理者等に企業における女性の能力発揮のための積極的な取組み(ポジティブ・アクション)の導入を働きかけます。また、男女が共に個人の価値観、ライフサイクル等に応じて、多様で柔軟な働き方が選択でき、それぞれの働き方に応じた適正な処遇・労働条件が確保されるよう努めます。

ウ 男女共同参画社会づくりに向けた意識啓発

学校教育において、児童・生徒の個性・適性を尊重しつつ、発達段階に応じた男女平等教育を推進します。また、県民、企業等に男女共同参画の重要性について啓発を行うとともに、学習の支援を行います。

エ メディアにおける女性の人権の尊重

メディアにおける女性の人権を尊重するため、情報の受け手側となる県民の情報を主体的に読み解き評価する力(メディア・リテラシー)の向上を図ります。

(2)主な関係法令
配偶者暴力防止法、ストーカー規制法、男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法、県男女共同参画推進条例

(3)県の主な関係審議会等
県男女共同参画審議会

(4)県の主な相談等の窓口
■配偶者暴力相談支援センター

配偶者からの暴力相談、一時保護、保護命令の申立てや自立のための支援を行っています。

■女性相談所

配偶者からの暴力の問題をはじめとする女性の様々な悩みに、女性相談員等が相談に応じているほか、緊急の援護活動を行っています。

■かながわ女性センター

配偶者からの暴力の問題をはじめ、セクシュアル・ハラスメントなど様々な相談を行っています。

■女性への暴力相談「週末ホットライン」

土・日曜日の夜間を中心に相談を行っています。

■県警性犯罪被害110番

女性警察官が同性の立場で性犯罪の被害相談を行っています。

■県警女性・子どもセーフティ・アドバイザー(※)

ストーカー行為、配偶者からの暴力など被害を受けている女性に対し、女性警察官が相談を行っています。

※現在は、女性・子どものための相談

3 障害者障害のある人々は様々な物理的又は社会的障壁等のために不利益を被ることが多く、その自立と社会参加に支障をきたしている状況があります。

障害のある人もない人もお互いに支え合い、共に生活し、活動できる社会の実現をめざします。

(1)主な取組みの方向
ア 障害者の社会参加を支えるしくみの整備

障害者の自立を支援し、ニーズに沿った福祉、医療、保健、就労、リハビリテーション、学習等のサービスが受けられるように地域支援体制の充実に努めます。

また、身体障害者補助犬の施設への受け入れなど、社会参加機会を拡げる取組みの周知にも努めます。

イ 社会参加の場づくりの促進

障害者の就労の場としての福祉的就労事業所、障害者地域作業所等の整備を促進するとともに、居住の場としてのグループホーム等の整備を促進します。

ウ 障害者の権利擁護のしくみの充実

障害者が地域で安心して生活できるように権利擁護に係る相談や福祉サービス利用の支援、福祉サービスに関する苦情解決体制の整備など、権利擁護のしくみを充実します。

エ 福祉のまちづくりの推進

障害者が暮らしやすい住まいの環境づくりを推進するとともに、誰もが利用しやすい、ユニバーサルデザイン※によるまちづくりを促進します。

オ 教育の推進

障害のある子どもの権利を尊重し、一人ひとりの教育ニーズに応じた教育の推進を図ります。

※「すべての人のためのデザイン」ということです。障壁(バリア)を取り除いて障害者や高齢者が社会に参加できるようにしていこうというバリアフリーの考え方をさらに進め、障害や年齢、国籍、性別などの違いをこえて、すべての人が暮らしやすいように、まちづくり、ものづくり、環境づくりなどを行っていこうとする考え方です。

(2)主な関係法令
社会福祉法、障害者基本法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、障害者雇用促進法、県福祉の街づくり条例

(3)県の主な関係審議会等
県障害者施策推進協議会、県児童福祉審議会、県社会福祉審議会、県精神保健福祉審議会

(4)県の主な相談等の窓口
■かながわ権利擁護相談センターあしすと

障害者や高齢者等の権利侵害事案の解決を図るため、弁護士や社会福祉士等の専門家による相談事業や福祉サービスの利用・日常的な金銭管理への支援、福祉サービスに関する苦情解決事業を行っています。(神奈川県社会福祉協議会が設置、運営)

■障害者就労相談センター

障害者の就労相談を行っています。

■精神保健福祉センター、各保健福祉事務所で相談を行っています。

4 高齢者高齢者への身体・精神面や財産面での権利侵害が生じています。

高齢者が安心して、いきいきと暮らせる社会の実現をめざします。

(1)主な取組みの方向
ア 高齢者の自立した生活を支えるための取組みの促進

介護が必要になっても、高齢者ができるだけ自立した生活を続けられるよう、在宅や施設における保健福祉サービスの基盤を拡充するとともに、身体拘束の廃止など、介護の場で、高齢者の尊厳が守られるような取組みを推進します。

イ 高齢者の権利擁護のしくみの充実

高齢者が地域で安心して生活できるように権利擁護に係る相談や福祉サービス利用の支援、福祉サービスに関する苦情解決体制の整備など、権利擁護のしくみを充実します。

ウ 福祉のまちづくりの推進

高齢者が暮らしやすい住まいの環境づくりを推進するとともに、誰もが利用しやすい、ユニバーサルデザイン※によるまちづくりを促進します。

※「すべての人のためのデザイン」ということです。障壁(バリア)を取り除いて障害者や高齢者が社会に参加できるようにしていこうというバリアフリーの考え方をさらに進め、障害や年齢、国籍、性別などの違いをこえて、すべての人が暮らしやすいように、まちづくり、ものづくり、環境づくりなどを行っていこうとする考え方です。

(2)主な関係法令
社会福祉法、老人福祉法、老人保健法、介護保険法、県福祉の街づくり条例

(3)県の主な関係審議会等
県社会福祉審議会

(4)県の主な相談等の窓口
■かながわ権利擁護相談センターあしすと

障害者や高齢者等の権利侵害事案の解決を図るため、弁護士や社会福祉士等の専門家による相談事業や福祉サービスの利用・日常的な金銭管理への支援、福祉サービスに関する苦情解決事業を行っています。(神奈川県社会福祉協議会が設置、運営)

■各保健福祉事務所で相談を行っています。

5 患者等病気についての知識の不足や誤解からエイズ患者・HIV感染者やハンセン病患者・元患者、難病患者などに偏見をもつ人がいます。

そうした偏見をなくすため、病気についての正しい知識の普及や患者等の立場に立って考える等の啓発を推進します。

(1)主な取組みの方向
ア 普及啓発の推進

エイズやハンセン病、難病疾患等に関する正しい知識の普及啓発を推進し、エイズ患者・HIV感染者やハンセン病患者・元患者、難病患者等に対する偏見や差別意識の解消に努めます。

イ 支援体制の充実

エイズ患者・HIV感染者への保健・医療・福祉の様々な面からの支援、ハンセン病療養所入所者が社会復帰するに当たっての支援、難病患者等の経済的な負担軽減への支援などに努めます。

ウ 患者本位の医療の推進

医者が患者に診療目的や内容などについて適切に説明するインフォームド・コンセント※に配慮した医療を推進します。

※医師が患者に対して、検査結果、病状判断、治療の内容、目的・効果などについて十分説明し、患者の同意を得て診療を進めることをいいます。

(2)主な関係法令
感染症法

(3)県の主な関係審議会等
県感染症対策協議会、県難病対策協議会

(4)県の主な相談等の窓口
■HIV保健センター

専門の相談員による相談事業を行っています。

■エイズ悩み電話相談

年間を通して24時間体制で相談事業を行っています。

■各保健福祉事務所で相談を行っています。

6 同和問題同和地区関係者への偏見や差別意識は、まだ払拭された状況にあるとはいえません。

権利侵害や不利益を被ることのないよう、同和問題の解決に向けて、一人ひとりが正しい理解と認識を深め、差別を許さない心を育むため、人と人とのつながりを重視する視点に立った啓発活動等を推進します。

(1)主な取組みの方向
ア 教育の推進

同和問題について正しい理解と認識を深め、偏見や差別意識をなくすため、人権尊重の精神を基盤とした教育を推進します。

イ 人権尊重意識の啓発

同和地区関係者に対する偏見や差別意識をなくすため、国、市町村、企業等との連携を図り、人権尊重意識を啓発します。

ウ 同和対策の推進

同和地区関係者の自己実現や社会参加にかかわる支援を行います。

エ 地域住民の交流の促進

地域住民の相互理解を図るため、交流を促進します。

(2)主な関係法令
人権教育・啓発推進法

(3)県の主な相談等の窓口
■人権男女共同参画課

人権・同和問題全般についての相談を行っています。

■教育庁総務室※

人権・同和教育についての相談を行っています。

※現在は教育局企画調整課

7 外国籍県民言語、宗教、習慣等への理解不足から外国籍県民への偏見や差別意識により、様々な人権問題が生じています。

一人ひとりが多様な文化や民族の違いを理解し、真の国際感覚を身につけることにより多文化共生社会の実現をめざします。

(1)主な取組みの方向
ア 多文化共生・多文化理解の促進

国籍や文化、民族による差別や偏見をなくすために、それぞれの文化や歴史を理解し、外国籍県民の人権問題についての理解を得られる環境づくりを推進します。

イ 外国人にかかわる法律・制度の改善

地方参政権の確立に向けた取組みや外国籍県民の教育の充実、就業機会の拡大などにかかわる法律・制度等の改善に向けた取組みを進めていきます。

ウ 多言語による情報の提供や相談機能の充実

言葉による障壁をなくすため、外国籍県民向けの多言語による各種情報提供や相談機能を充実します。

エ 外国籍県民の生活支援策の促進

外国籍県民のライフステージ上の課題に対応し、学習、医療、福祉、住居、就労など外国籍県民の生活にかかわる支援策を促進します。また、女性への暴力や在留資格などから派生する人権問題の解決に向けた取組みを促進します。

オ 教育の推進

多様な文化と個性を尊重し、違いを認め合いながら、正しい認識のもとに、差別や偏見を克服していくため、人権尊重の精神を基盤とした教育を推進します。また、外国籍児童・生徒に対する教育の充実を図ります。

(2)県の主な関係審議会等
かながわ国際政策推進懇話会、外国籍県民かながわ会議、NGOかながわ国際協力会議

(3)県の主な相談等の窓口
■かながわ県民センター、川崎県民センター、県央地区行政センターの県民の声・相談室(※1)

外国語による一般相談を行っています。

■横浜労働センター、川崎労働センター(※2)、厚木商工労働センター(※3)

外国語による労働相談を行っています。


※1:現在は、県央地域県政総合センター

※2:現在は、行っていません

※3:現在は、県央地域県政総合センター商工労働部

8 ホームレス近年の経済、雇用環境の悪化等を背景に、駅周辺、公園、河川敷等でホームレスが全国的に増加しています。そうした状況の中で地域社会とのあつれきが生じるなど社会問題となっています。また、ホームレスへの偏見や差別意識から暴行事件等が発生しています。

ホームレスの自立支援やホームレスの人権擁護のための啓発活動を推進します。

(1)主な取組みの方向
ア ホームレスの人権擁護のための啓発活動の推進

ホームレスへの偏見や差別意識をなくすため、人権尊重意識を啓発します。

イ ホームレスの自立支援に関する施策の推進

自立の意思があるホームレスに対し、就業の機会の確保、安定した居住の場所の確保、保健及び医療の確保に関する施策、生活に関する相談・指導等、国、市町村、NGO等と連携を図り自立の支援を推進します。

(2)主な関係法令
生活保護法、ホームレス自立支援法(平成14年8月施行)

(3)県の主な相談等の窓口
■生活援護課等で巡回による相談を行っています。

■各保健福祉事務所で相談を行っています。

9 犯罪被害者等犯罪に遭遇した被害者やその家族は、それまでの平穏な生活を破壊され、生命、身体、財産に対する侵害のほか精神面で日常生活に支障をきたしている例が少なくありません。

犯罪被害者等の精神的立ち直りを支援するとともに、犯罪被害者等への理解を深める啓発活動を推進します。

(1)主な取組みの方向
ア 犯罪被害者等への相談、支援の充実

支援機能の整備充実を図るため、被害者支援に関係する機関や団体の幅広い参加を働きかけ、県内全域に及ぶネットワークを構築するとともに、犯罪被害者等の発生後速やかに連携して効果的な被害者支援を行うことができるよう、各機関との連絡体制の確立に努めます。

また、犯罪被害者等の精神的被害の回復のためのカウンセリング等を行う民間の被害者支援団体が積極的な活動を行えるよう適切な支援に努めます。

イ 犯罪被害者等への理解を深めるための啓発活動の推進

社会全体の被害者支援に関する機運と連帯共助の精神が醸成されるよう、被害者支援に関係する機関や団体との緊密な連携と相互協力による総合的かつ効果的な啓発活動を推進します。

(2)主な関係法令
犯罪被害者保護法(平成12年11月施行)

(3)県の主な相談等の窓口
【県警察本部】

■少年相談・保護センター

   被害少年の悩みごと、困りごと等の相談を行っています。

■悪質商法110番

   悪質商法の被害相談を行っています。

■痴漢等迷惑行為相談所

   列車内、駅構内での痴漢等迷惑行為の被害相談を行っています。  

■性犯罪被害110番

   女性警察官が同性の立場で性犯罪の被害相談を行っています。

■暴力団からの不当要求拒絶コール

   暴力団等に関する困りごとや被害相談を行っています。  

■交通相談センター

   交通事故の相談のほか、交通一般にわたる相談を行っています。】

【県】

■県民の声・相談室

   県内の9か所で県民からの各種相談を行っており、必要に応じて専門の相談機関を紹介しています。

■配偶者暴力相談支援センター

   配偶者からの暴力相談、一時保護、保護命令の申立てや自立のための支援を行っています。

■児童相談所

   児童虐待など子どもに関するあらゆる相談を行っています。


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人権施策推進にあたっての意見(かながわ人権政策推進懇話会意見)


「人権の世紀」と言われる今日、世界人権宣言や国連を中心に採択された国際的人権の基準及び日本国憲法で規定された基本的人権がすべての人に保障される地域社会づくりが求められています。

神奈川県では、1994年3月に、かながわ人権政策推進懇話会からの提言を踏まえ、全国に先駆けて「神奈川県人権施策推進指針」を策定(1998年3月一部改定)し、同指針を県の人権施策の道しるべとして位置づけ、先駆的な取組みを行ってきています。

しかしながら、近年の人権を取り巻く状況をみると、児童虐待や女性への暴力などの人権問題が顕在化し、児童虐待防止法や配偶者暴力防止法等の法整備がなされてきているものの、依然としていろいろな分野で差別や虐待などの人権侵害が生じています。

一方、2000年12月には、人権の尊重の緊要性に関する認識の高まり等から、国及び地方公共団体に、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し実施する責務を規定した「人権教育・啓発推進法」が施行されました。

国においては、2002年3月、「人権教育・啓発に関する基本計画」を策定し、一人ひとりの人権が共存する人権尊重社会の早期実現に向けた取組みを推進するとともに、現在、人権侵害による被害の救済を図ることを目的とした、新しい人権救済制度の創設をめざしています。

神奈川県では、こうした状況の変化等から、2002年3月、現行の「神奈川県人権施策推進指針」を見直し、新たな指針を策定することとし、当懇話会において検討することとなりました。

当懇話会では、差別等の人権侵害をなくしていくためには、人権教育・啓発とともに人権救済の実効性を高めることが最も重要であることから、人権教育の推進を指針の中に明確に位置づけ、人権啓発にも具体性を持たせること、相談・支援体制の強化、充実を図ることが不可欠であること、また、県のあらゆる施策を常に人権尊重の視点を持って推進することを明確にすること、人権の各分野で将来に向けてどういう対策が必要であるか施策の方向を明らかにすること、県民、企業等の取組みを促進する必要があることなどについて議論を行ってきたところです。

今回の指針は、このような審議を経てとりまとめられましたが、人権施策の推進にあたっては、県の行政のみならず、国・市町村との連携はもとよりNGOとの協働が不可欠であることを常に意識し、この指針に掲げた取組みを着実に推進することを期待します。

また、今後の社会情勢の変化や国等の動向を的確に把握し、人権教育・啓発の推進を図るとともに、人権救済体制の整備などについて引き続き検討を行い、適切な対策を講じ、次の事項にも留意して、「人権がすべての人に保障される地域社会」の実現に努力されるよう要望します。

 留意事項

○ 県の総合計画や個別計画等の策定にあたっては、この指針の基本理念等の反映に努めること。

○ 「人権がすべての人に保障される地域社会」の実現をめざして、県民の総意に基づく決意を示す「かながわ人権憲章(仮称)」等の制定について検討すること。


2003年5月27日
かながわ人権政策推進懇話会
座 長  手 塚 和 彰