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地方公共団体関係資料

岡山市人権基本方針・計画
情報の種類 地方公共団体関係資料
タイトル 岡山市人権基本方針・計画
時期 2003/06/01
主体名 岡山市
【 内容 】

岡山市人権基本方針・計画


1 策定の経緯【岡山という精神風土にふさわしい基本計画を】

〈世界の情勢〉

 国際連合は、第二次世界大戦で繰り広げられた数々の残忍な行為によって、多くの人の人権が奪われた悲しい過去を反省し、昭和23年(1948年)12月10日、第3回総会において、人権の国際的基準として世界人権宣言を採択しました。
 ところが、その後も人種や宗教の違いによる民族間の対立や偏見、差別などが原因で、地球上のいたる所で地域紛争が起こり、多くの犠牲者が出ています。こうした中で、人類は「人権が守られる環境がないところに平和はなく、平和のないところでは人権は守られない。」という大きな教訓を得、人権の尊重が平和の基礎であるということを知りました。こうしたことから、21世紀は平和で人権が尊重される世紀を目指そうという願いを込めて「人権の世紀」と言われています。ところが、現実には平成13年(2001年)以降人権に関わるさまざまな問題が世界の各地で発生しており、「人権の世紀」となるべき21世紀はスタートからすでに揺るぎ始めています。
 平成元年(1989年)のベルリンの壁崩壊に象徴される東西冷戦構造の終結は人権問題に関する国際連合の取り組みにも大きな影響を与えました。東西対立の崩壊により、それまで表面化していなかった人種、民族、宗教などの違いによる対立が一挙に表面化、世界の各地で紛争が勃発し、現代の最も深刻な人権侵害の問題となっています。こうしたことをきっかけとして、人権問題があらためて国際的な関心事となり、国際連合は、平成7年(1995年)から平成16年(2004年)までの10年間を「人権教育のための国連10年」と位置付け、加盟各国に人権問題に対する取り組みを強化するよう求めました。

〈国内の情勢〉

 我が国においても、これを受けて平成9年(1997年)「『人権教育のための国連10年』国内行動計画」が策定されました。そして、行動計画の推進にあたっては「様々な差別意識の解消を図り、全ての人の人権尊重の意識を高めていくためには、地方公共団体その他の公的機関、民間運動団体等の果たす役割が大きい」としました。
 また、平成12年(2000年)12月に制定された「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」においても、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携をはかりつつ、その地域の実状を踏まえ、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する(第5条)」とされました。このように、人権尊重社会の実現に向けて地方公共団体の責務が法により明確に規定されました。これまでも岡山市は人権教育及び人権啓発について積極的に事業を行ってきましたが、今後より一層積極的にこれを推進していくため本基本計画を策定するものです。

〈岡山らしい取り組みを〉

 そもそも岡山市では人権に関わるさまざまな先進的取り組みが行われてきました。
 江戸時代末期の安政3年(1856年)には備前岡山藩内53ヶ村の被差別部落が結集し、藩が出した不当な差別令を撤回させた「渋染一揆」という素晴らしい人権闘争がありました。また、その精神を受け継いで全国水平社が創立された翌年の大正12年(1923年)には岡山市内の被差別部落が中心となって岡山県水平社を創立するなど岡山市は部落解放運動の先進地でもあります。
 さらには女性解放運動においても、明治15年(1882年)に日本初の女性結社「岡山女子懇親会」が発足したことや、婦人社会運動の先駆者で、平塚雷鳥にも多大な影響を与えた福田英子という我が国の女性運動史に欠かすことのできない人物もいます。
 これらの他にも、石井十次の手によって我が国初の本格的孤児院「岡山孤児院」が創設されたことや、視覚障害者用の点字ブロックがこの岡山市から生まれたということも我が国における人権の歴史上特筆されるべき出来事です。
 このように、岡山には人権という普遍的な権利を大切にする精神風土があり、現在、岡山市内に本部を置き人権の視点で国際的に活躍し海外からも高い評価を受けているNGO(注釈1)、NPO(注釈2)等の市民団体が多数存在していることも、地方都市としては希なことであります。
 こうした面での岡山らしさを活かしながら広く人権の大切さを訴えていくにあたり、岡山市がそのための基本計画を策定するということは非常に大切なことであると考えます。

(注釈1)NGO:non-governmental organizationの略語で、国際的であると国内的であるとを問わず、民間団体をいうが、特に、国際組織のうち、国家を単位として設立される政府間国際機構に対する、非政府間国際団体をさして用いられることが多い。

(注釈2)NPO:non-profit organizationの略語で、特定非営利活動促進法に基づき都道府県又は国が認証した社会貢献活動を行う市民団体。


2 策定の趣旨【人権文化の構築を目指して】
 国際・福祉都市の実現に向け、人権文化の構築(注釈1)を目指す本市の人権教育・啓発に関する基本方針及び取り組みの方向性を明らかにします。
 近年、権利意識の高揚、価値観の多様化等により、市民生活の中でさまざまな人権侵害が発生しており、人権問題に対する社会的関心も高まってきています。そうした中、本市においては、さまざまな人権問題に対して、総合的かつ計画的に取り組みを進めていますが、そのうちの教育・啓発の分野について、的確に現状分析を行い、今後取り組むべき施策について明確な方向性を打ち出すとともに、これを体系的に整理し、市民との協働によりこれを遂行します。

(注釈1)人権文化の構築:市民や行政が物事を判断したり行動したりする際に、人権をベースにした考え方がごく自然に採られるような社会を構築すること。


3 基本目標【人権問題は市民一人ひとりの課題】
 すべての人が人権を尊重し、また尊重される明るい社会を築くためには、市民自らがその大切さに気付き、人権尊重社会の実現のために行動することが大切です。
 個々の人権侵害の事例を見てみると、加害者側に加害行為を行っているという意識が希薄な場合が多く、無意識のうちに加害行為が日常的に繰り返されていることもあります。こうしたことは、個々人の特異な意識によって発生するというよりも、むしろ社会意識が大きく影響している場合が多いと言えます。だからこそ、一人ひとりが、自分自身を、さらには社会全体を人権の視点で冷静に見つめる目を養う必要があると言えます。
 人権侵害の事例の中には公権力により市民の人権が侵害されるケースもあります。しかし、日常の生活において発生する人権侵害行為の多くは市民同士の間で発生しています。つまり、人権侵害行為を行うのも、またそれにより被害を受けるのも多くの場合は市民であり、誰もが被害者にも、また加害者にもなる可能性があるということです。また、視点を変えて、加害行為を行った人も、なぜそのような行為を行ってしまったのかということから考えれば、加害行為にまで至るような意識にさせられてしまった被害者であるといえるのかも知れません。このように、人権問題は加害者と被害者が相互に複雑に絡み合っている場合も多くあります。
 特に、今日では、単に加害者と被害者といった単純な図式では考えられない、個人と個人の人権が衝突するような事例も多く発生しています。
 こうした現状において、すべての市民が大切な人として尊重されるためには、真に人権が尊重される社会を市民と行政が一緒になって築いていこうとする努力が大切であることはいうまでもないことです。そうしたことから、私たちの日常生活がいかに人権と関わっているか、また、すべての人権問題が自分と無関係ではなく、自分自身に関わる問題であることに気付き、市民一人ひとりが自らの課題として行動に移せることを基本目標とした人権教育・啓発を実施するための基本計画を策定します。
 そして、事業の実施にあたっては、「市民との協働」を基本とし、市民や各種団体等とも幅広く連携、協力しながら、より効果的な事業推進を図ります。


4 本市における人権問題の現状と課題及び施策の方向性
(1) 性別に起因する問題
〈現状と課題〉
 性別に関わらず一人ひとりが人として尊重されあらゆる分野における活動に参画できる社会というのが「男女共同参画社会」の基本です。こうした考えのもと、法律や制度面の整備など男女平等の実現に向けたさまざまな取り組みが着実に進められてきました。
 また、平成12年10月に実施した「男女共同参画に関する市民意識・実態調査」では、「男は仕事、女は家庭」という考え方の肯定派が、前回調査(平成6年)の約6割から約3割へと大きく減少し、性別による固定的な役割分担意識はかなり解消されてきています。
 しかし、現実には、男性の家事や育児・介護への参画の実態は依然として低い状況にあり、固定的な性別役割分担意識に基づく慣行等は依然として根強く、社会の多くの場面で「男性の方が優遇されている」と感じている人の割合は、前回調査よりむしろ高くなっています。
 さらに、近年、セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)や配偶者等からの暴力(DV)などの人権侵害行為によって、多くの女性が被害を受けていることが顕在化しています。
 このように女性が被害者となる人権問題が大きな社会問題となる一方で、我が国においては、自殺者数が3万人(平成13年)を超え、交通事故死亡者の約3倍にも達していますが、そのうちの実に7割を男性が占めている現状は、固定的性別役割分担意識もその要因の一つと考えられます。
 こうした問題を解決し、真の男女平等を実現するためには、市民一人ひとりに対して、男女が互いの人権を尊重することについての意識の浸透を図り、セクハラやDVなどの性別に起因する人権侵害を根絶する基盤づくりを進めることが必要です。同時に、社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)にとらわれることが、個人の生き方の選択の幅を狭め、また結果として異性に対してだけでなく同性に対してもジェンダーを強制したり差別したりする可能性があるという認識を広めていくことが重要です。
 また、性的指向(注釈1)や性自認(注釈2)、あるいはインターセックス(半陰陽)(注釈3)におけるセクシャル・マイノリティ(性的少数者)に対する正しい理解を進め、その偏見や差別について、社会全体の問題として捉えることが求められています。

〈施策の方向性〉
 このような性別に起因する人権問題については、セクハラ、DV等の性別による人権侵害やジェンダーに基づく偏見の影響等による性別による差別的な取扱いなど、多くの課題がありますが、これらを克服するためには、男女が対等な社会の構成員として社会のあらゆる分野に参画し、共に責任を担う「男女共同参画社会」の構築が不可欠です。
 こうした中、本市では岡山市男女共同参画社会の形成の促進に関する条例「さんかく条例」を制定し、男女の個人としての尊厳の尊重、セクハラやDV等の人権侵害の禁止のほか、市、市民、事業者の責務とともに特に教育の責務などを規定して、全国に先駆けた取り組みを図っているところです。
 そこで、家庭教育、学校教育、社会教育(職場における学習を含む)のあらゆる場面において男女共同参画社会の形成に向けた男女平等教育・学習を推進するため、広く市民をはじめ、児童・生徒、教職員、市職員に対する教育・啓発に積極的に取り組みます。
 また、女性の権利に関連の深い法令や条約、条例等について、誰もが理解しやすい形で広報するなどその周知を図るとともに、メディアによる情報をジェンダーの視点から主体的に解釈し、選択し、使いこなす力を養うため、広く市民を対象とした研修や講座の開催を進めます。
 さらに、セクハラやDVなど女性に対する人権侵害を未然に防止し、その被害者の保護を進めるため、市民に対する意識啓発を行い、「DV防止法」及び「さんかく条例」の周知促進を図ります。

(注釈1)性的指向:性的意識が、同性、異性、両性のどこに向かうかを表す概念。後天的な個々の趣味である「性的嗜好」と区別される。
(注釈2)性自認:個人が自己をどの性別の一員であると認識しているかということ。
(注釈3)インターセックス(半陰陽):先天的に生物学上の男性的特徴と女性的特徴を併せ持つ状態。

(2) 子どもに関する問題
〈現状と課題〉
 家庭の養育機能の低下、家族関係の希薄化、家庭や地域の教育力の低下等、子どもを取り巻く環境は大きく変化し、子どもの人権にかかわる問題は深刻化しています。
 児童虐待は、家庭という密室の中で行われる場合が多いことから外部から分かりにくく、そのため介入が難しい深刻な問題となっています。岡山市でも、家庭相談員が対応した児童虐待の相談件数が平成8年には実人数で78人であったものが、平成14年には162人と2倍以上に増加しています。このような状況のもと、本市においても、防止に向けたさまざまな取り組みを行っていますが、減少傾向には至っておらず、子育て不安を抱える保護者等への支援が課題となっています。
 いじめや暴力行為及び不登校は、子どもが人権を侵害する場合と侵害される場合が複雑に絡み合う典型的な問題です。
 これらはおおむね減少傾向にあるものの、学校の内外で依然として後を絶たず、学校教育及び社会教育の両面からの個に応じたきめ細かな対応が課題となっています。

〈施策の方向性〉
 このように、子どもの人権の問題としては、児童虐待やいじめ、不登校等の問題がありますが、これらを解決していくことは大人の責任であり市民と行政が一体となって取り組まなければなりません。そうした認識の下、家庭、学校、地域社会の役割を明確にし、それぞれが協働して、豊かな心と生きる力を育み「自立」する子どもを育てる教育を積極的に推進します。
 従って、そのための啓発を進めていくと同時に、虐待やいじめなどの問題については、家庭や地域社会での教育力の回復を図るための取り組みが必要です。
 児童虐待の防止については、未然防止、早期発見・対応、再発防止に向けての取り組みが重要であり、福祉、保健、医療機関、司法機関、人権擁護委員、学校園、保育園等が連携を密にし、市民への啓発や市職員を対象とした研修会、子育て不安を抱える保護者への支援の強化を進めます。併わせて、「児童虐待の防止等に関する法律」や「児童の権利に関する条約」についてもその周知促進を図ります。
 いじめや暴力行為及び不登校については、各学校が一人ひとりの個性を認めながら、子どもが愛されていると実感できる魅力ある教育の実現に努めることが重要です。そこで、教職員を対象としたより専門的な研修の充実に努め、教職員の質的向上を図ります。また、生徒指導体制や教育相談体制の確立のための人的配置に努め、一人ひとりのよさを生かす積極的な生徒指導の推進を図るとともに、関係機関との横断的な行動連携を推進していきます。

(3) 高齢者に関する問題
〈現状と課題〉
 我が国の少子高齢化は、世界に例を見ない速度で進行しており、本市においても、急速に高齢化が進んでいます。今後、戦後のベビーブーム時代に生まれた世代が高齢期を迎えることにより、2015年には全人口の4分の1が高齢者という状況が予想されています。
 こうした高齢者人口の増加や家族形態の変化により、子や孫との同居が減少し、高齢者のひとり暮らしや高齢者夫婦のみの世帯が増加しています。
 今後、この傾向はさらに進むものと考えられ、高齢者が地域社会から孤立したり、高齢者介護に関するさまざまなトラブルが発生したりと、深刻な問題になっています。
 特に高齢者の人権問題としては、寝たきりや痴呆の高齢者に対する身体的虐待や介護拒否、金銭搾取といった虐待行為が増加している問題や、痴呆性高齢者の財産管理の問題、就職や賃貸住宅で不利益を受ける問題、社会意識として存在する高齢者を疎ましく思ったり、邪魔者のように感じたりする差別意識の問題等があります。
 また、高齢者が置かれている環境は一人ひとり皆異なっており、個々のケースに応じて適切なサポートを行う必要があります。

〈施策の方向性〉
 このように、高齢者の人権の問題は、高齢者が自立し、生きがいをもって過ごす暮らしが妨げられることや、介護者等による虐待などに関する問題です。
 高齢者が長年培ってきた豊富な知識や経験を埋もれさせるのではなく、子ども達や若い世代との交流を通じてこれを伝えることで社会に貢献し、高齢者が健康で自分らしさを大切にし生きがいをもって暮らせる社会を実現していかなければなりません。そのために、行政だけでなく、関係団体、民間企業等とも緊密な連携・協力を図り、高齢者の社会参加を促進するための取り組みを進めます。
 また、高齢者が介護や支援が必要になっても、地域での生活が安心して続けられるような社会整備が必要です。介護保険などの福祉サービスの充実を図り、保健、福祉、医療に関わる機関等との十分な連携システムを確立するとともに、地域住民の主体的な支え合いを促すことで、高齢者を地域社会全体でサポートする街づくりを推進します。
 学校教育においては、高齢者を敬愛する心を育てるとともに、介護、福祉の問題等高齢社会に関する基礎的な理解を深める教育を推進します。

(4) 障害者に関する問題
〈現状と課題〉
 障害者を取り巻く社会環境においては交通機関、建築物等における物理的な障壁、資格制限等による制度的な障壁、点字や手話サービスの欠如等による文化・情報面等の障壁、障害者を庇護されるべき存在として捉える等の意識上の障壁があります。
 以前は、障害者の多くが、家族と共にひっそりと暮らすか、施設で暮らすかのいずれかであり、障害者の人権やプライバシーは軽視されがちでした。障害者差別が今日まで根強く残されてきたのは、間違った障害者観による偏見が社会に存在し続けてきたことによるものであり、現在でもなお、人間として生きていく上で最も大切な権利が十分に保障されていない状況があります。
 しかし、最近では、自らの能力を最大限発揮して、自立した生活を送りたい、積極的に社会活動に参画していきたいという要求が強まっています。また、障害の状況及び障害の程度は人によりそれぞれ異なっているにもかかわらず、障害者と健常者とに単純に分けた考え方をすること自体に問題があるのではという指摘もあります。
 顕在化している問題としては、就労、あるいは施設を利用している障害者の財産権や人権を侵害する事件が発生しています。また、知的障害者は、自己の権利を主張、行使することが困難な場合があり、自己の財産を適切に保管し、これを有効に活用することや、他者から権利侵害を受けた場合に、自らが侵害された権利の回復を図ること等について、援助を必要とする場合があります。
 精神障害者についても、憶測や偏見に基づく差別意識が存在しており、人権保障について理解が得られにくいという問題があります。

〈施策の方向性〉
 最近、街を歩けば、ノーマライゼーション(注釈1)の理念によるバリアフリー(注釈2)化が随分進みましたが、このノーマライゼーションとは人の多様性を当然のこととして受け入れ、互いに認め合うことであり、一人ひとりがこれを実践できるような取り組みを進めていきます。
 障害者に対する誤解や偏見を払拭するため、さまざまな行事・メディアを通じて、市民に対する正しい知識の普及と意識啓発を進めていきます。また、施設利用者等と地域住民との交流事業等を一層推進します。
 また、就労等さまざまな形での社会参加を促進することで、障害者が自立し、生きがいをもって暮らせる社会の実現を進めます。
 障害児教育については、障害のある子どもたちの自立に向けて、その基盤となる生きる力を培うための指導を行い、人的・物的支援の拡充を図ります。
 さらに、障害者への理解と支え合う心が育つよう、交流教育を積極的に進めます。

(注釈1)ノーマライゼーション:障害者を特別視するのではなく、一般社会の中で普通に生活が送れるような条件を整えるべきであり、共に生きる社会こそノーマルな社会であるとの考え方。(「障害者基本計画」より)
(注釈2)バリアフリー:障害のある人が社会生活をしていくうえで障壁(バリア)となるものを除去するという意味で、もともと住宅建築用語で登場し、段差等の物理的障壁の除去をいうことが多いが、より広く障害者の社会参加を困難にしている社会的、制度的、心理的なすべての障壁の除去という意味で用いられる。(「障害者基本計画」より)

(5) 同和問題
〈現状と課題〉
 昭和40年の同和対策審議会答申では「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」との基本的な認識が示されました。この答申を受けて昭和44年に制定された同和対策事業特別措置法やその後に制定された特別措置法に基づき同和行政が積極的に推進されました。
 本市においても、同和問題の解決を市政の最重要課題と位置付け、市政全般にわたる諸施策を通して、人権意識高揚のための教育・啓発、職業の安定と産業の振興、教育・文化の向上、社会福祉の増進、生活環境の改善等の施策を積極的に推進してきました。
 こうした行政の取り組みと民間運動団体や地域住民の自立への努力とが相まって生活環境の改善等物的な整備はおおむね完了するなど着実に成果を挙げ、さまざまな面で存在していた較差は大きく改善されました。
 しかし、物的な面での成果に比べ、心理面での重要な課題である差別意識の解消は十分とはいえず、結婚問題等社会の中に根深く存在しているのが現状です。
また、同和問題の解決に向けた取り組みに逆行するえせ同和行為(注釈1)や悪質な差別事象の問題、高校への進学率や小中学校における長期欠席率等の教育の問題、不安定就労等の就労上の問題等、いくつかの課題を抱えています。

〈施策の方向性〉
 同和問題解決のための最後の特別措置法「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」が平成14年3月末日をもって失効したことに伴い、同和地区・同和関係者を対象とする特別対策事業は終了しました。
 しかし、部落差別が現存する限り、この行政は積極的に推進されなければならず、法の失効をもって同和問題の早期解決を目指す取り組みを放棄するものではありません。
 我が国は、経済的には世界で有数の先進国としての地位にあり、経済だけでなく人権という普遍的文化の普及についても国際的に責任ある立場にあります。
 部落差別はそんな我が国にとって世界に恥ずべき固有の人権問題であり、その解消なくして我が国の人権の確立はないとの基本認識に立って事業を進めていきます。そのために、差別の現状を正しく捉えるとともに、国際的潮流とその取り組みを踏まえ、「今後における同和問題解決の基本方針」(平成14年8月1日岡山市策定)に基づき、課題解決のための施策を積極的に推進します。
 差別意識の解消に向けて、これまでの教育・啓発への評価と同和問題固有の経緯を踏まえ、同和問題をはじめとするあらゆる人権問題の解決を自分自身の課題として認識し、実践することができるような教育・啓発の推進が重要と考えます。
 そのために、具体的な体験や事例を取り上げた参加体験型学習を取り入れるなど、内容や手法を工夫し、教育・啓発活動の充実を図るとともに、あらゆる人権問題の解決に向けて住民相互の理解と差別意識の解消を目指した交流活動に努めます。
 また、えせ同和行為やインターネット上の差別書き込みなど悪質な差別事象が発生していることから、関係機関、民間運動団体や他の人権団体等と幅広く連帯するとともに、あらゆる差別を許さないという人権尊重意識の高揚を図り、市民と一体となってその根絶に向け積極的に取り組みます。
 そして、学校教育においては、差別を許さない明るい社会の実現を目指す教育を推進するために、人権教育を進める中で同和教育を正しく位置付け、同和教育基本方針に基づき積極的に推進します。

(注釈1)えせ同和行為 : 同和問題はこわい問題であるという人々の誤った意識に乗じ、同和問題を口実にして企業などに不当な利益や義務のないことを求める行為をいう。えせ同和行為は、同和問題に関する差別意識の解消に向けた人権教育・啓発活動の効果を一挙に覆し、同和問題に関する誤った認識を国民に植え付けるなど、同和問題の解決にとって大きな阻害要因となっている。

(6) 外国人市民に関する問題
〈現状と課題〉
 政治・経済・文化をはじめとするさまざまな分野でグローバル化が進む中、岡山市で暮らす外国人の数は、年々増加の一途をたどっています。
 市内の外国人登録者は、平成14年12月現在、76ヶ国7,876人であり、そのうち永住者が3,803人、非永住者が4,073人となっています。外国人登録者の多くは、第二次世界大戦以前から日本で暮らし始め、その後も引き続き日本に在留している人及びその子孫である韓国・朝鮮籍の人々ですが、最近では、アジア近隣諸国等から留学・研修等を目的に来岡する外国人が著しく増加しています。
 こうした中、現在、地域社会において、外国人市民と日本人市民との間で言語、文化、生活習慣、価値観等の相違に起因した日常生活にかかわるさまざまな問題が生じており、外国人市民に対する誤解に基づく偏見等が認められます。
 また、外国人市民の権利に関しても、納税等の義務を日本人市民と同様に課せられているにもかかわらず、地方参政権を通じて、意見を反映する場がありません。
 さらには、毎年ほぼ一万人の外国籍の人が、帰化によって日本国籍を取得していますが、日本人からは、帰化してもなお日本人ではなく外国人として見られたり、元国籍の人々からは民族的信義に反する行為者として見られたりするなど、差別的な意識を向けられるといった問題もあります。

〈施策の方向性〉
 外国人市民も日本人市民も、地域社会の一員として、お互いに多様な考え方や価値観を尊重しながら、異なる歴史、文化などを理解し、暮らしやすい共生社会を築いていくことが必要なことから、外国人市民と日本人市民との相互理解を進めるため、交流促進、情報提供等に取り組むとともに、外国人が抱える問題の解決を支援するための取り組みを行います。
 そのためには、外国人市民と日本人市民の相互理解の促進を人権の視点をもって支援していくことが必要であり、国際友好交流都市をはじめ、外国人市民との市民交流を進める取り組みを行います。また、地域社会の一員として、価値観の違いや歴史・文化・習慣の違いについてお互いに認識し、理解しあえるよう、市民団体等と連携しながら取り組みを進めていきます。

(7) ハンセン病患者・回復者及びHIV感染者に関する問題
 特定の感染症について、病気に関する医学的な知識の不足等から、その患者・回復者及び家族等に対する偏見や差別意識が生まれ、人権問題となっています。感染症は、まず治療及び予防といった医学的対応が必要ですが、人権擁護の観点から、こうした偏見や差別意識の解消に向けた取り組みも、それとともに重要な課題になっています。

ア ハンセン病患者及び回復者
〈現状と課題〉
 ハンセン病患者・回復者に対する差別意識や偏見は、我が国の歴史の中で古くからありますが、現在におけるハンセン病患者・回復者の問題は、こうした民衆の意識に加え、国策としての無らい県運動(注釈1)をはじめとする昭和初期以降の徹底した隔離政策やそれを支えてきたらい予防法等により生み出されてきました。
 平成8年にらい予防法が廃止され、平成13年には国の強制隔離政策に関する違憲判決、また、国会においては隔離政策を反省し謝罪する決議がなされ、名誉回復と福祉の増進を図るため「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」が施行されました。
 しかしながら、入所者の故郷への復帰がほとんど進んでいない現状をみると、患者・回復者に対する偏見は未だに社会に根強く残っていると考えられ、90年余りに及ぶ差別的な政策によって深く浸透した偏見を完全に払拭するためには、ねばり強い取り組みが必要です。

〈施策の方向性〉
 病気に関する正しい知識を持つことは非常に大切なことであり、これが欠如すると、憶測や偏見が生まれ、差別につながります。
 病気に対する偏見を未然に防止し、または抱いている差別意識等をなくすためには、非合理で誤った考え方にとらわれることなく、ごく自然なつきあいを通じて、お互いを理解し合える社会を共に築いていくことが重要です。
 ハンセン病の問題に関しては、病気に対する正しい知識の普及を図るとともに、患者・回復者等に対する理解を進めるための交流活動等を行うことによって、患者・回復者等の社会参加を支援・促進します。

(注釈1)無らい県運動 : ハンセン病患者の隔離収容を進め、患者ゼロの県を目指そうという運動。昭和4年、愛知県の民間運動に端を発し、昭和15年には、当時の厚生省が各県に運動の徹底を要請、全国的な運動となった。


イ HIV感染者
〈現状と課題〉
 HIV感染者等の問題については、我が国において、平成14年(2002年)末現在で、HIV感染者5,121人、エイズ患者2,549人が確認されています。その感染原因の多くは性交渉によるものであり、特に異性間での性交渉による感染が半数近くを占め、若年層の感染の増加傾向が指摘されています。
 このことは、感染予防に関する意識が十分でないことの現れです。同時に、治療方法が確立していない感染症の患者としてHIV感染者を忌避する意識も依然として存在しています。

〈施策の方向性〉
 HIV感染・エイズの問題に関しては、現在もなお新規感染者が出ていることから、感染予防についての教育を推進するとともに、病気に対する正しい知識の普及に努めることで、偏見や差別意識の払拭を図ります。

(8) その他の人権問題
 多様化する現代社会においては、これらの他にもさまざまな人権問題が存在します。
 アイヌの人々に対する差別は、独自の言語・文化に対する理解が十分ではないこととともに、民族の誇りに対する認識の不足が根底にあるとものと考えられます。
 また、刑を終えて出所した人についても、世間の厳しい目によって仕事や生活の場から疎外され、社会復帰がより困難なものになっている現状があります。
 情報化が進む昨今、インターネット等を利用して行われる他人への誹謗・中傷や差別的書き込みも大きな問題となっています。
 さらには、職業に関する差別意識、制度上の婚姻によらない夫婦の間に生まれた婚外子への差別、路上生活者等への暴行なども深刻な人権問題です。
 地球温暖化等の地球規模での環境問題や、騒音、水質汚染、廃棄物処理等の都市環境の問題も、人間の生命や健康に関わる重要な人権問題です。
 また、犯罪被害者に対する取材、報道のあり方等に関する問題、インフォームド・コンセント(注釈1)や尊厳死等医療現場における患者の人権の問題、インターネットの普及に伴うプライバシーの侵害や著作権侵害の問題等についても、やはり人間の尊厳を中心に置いて問題を正しく捉え、自ら考え、対処できるような力を養う必要があります。

(注釈1)インフォームド・コンセント:ヘルス・ケアの提供者が単に患者の同意を求めるだけではなく、医療を行う側と患者との間で、医療の内容を明らかにした上で、十分な討議をするプロセスを通じて、十分な説明を受け理解した上で患者の同意を得るようにすること。(米大統領委員会生命倫理総括レポートより)

 差別意識や偏見に基づく人権侵害は、多くの場合、相手を「自分とは異なる人」として捉え、排除したり、軽視したりする意識によって引き起こされます。
 しかし、自分以外の人間が自分とは異なっているのは、当然のことです。
 その当然のことを特別なこととして捉え、「単なる違い」に過ぎないことを「優劣の差」と錯覚してしまうことで、相手の人権を侵してしまうのです。
 また、現実の日常生活においては、これらの人権課題が重複し、絡み合って問題化する事例が多く見られます。
 子どもに対する児童虐待と女性へのDVのように、それぞれ別々の個別課題として触れていても原因や構造が酷似している事例もあります。
 このように、複雑に問題が絡み合う人権侵害に対しては、総合的な視点により関係機関・関係部署間での横断的な調整を図ったうえで施策を講じる必要があります。


5 人権教育及び人権啓発の推進に関する基本的方針

(1) あらゆる場における人権教育・人権啓発
ア 全市的取り組み(一人ひとりが自ら気付き考え行動するために)
 人権尊重の意識が社会全体に自然に存在している状況を創り出すための取り組みを推進します。そのためには、あらゆる年齢・性別・職業の市民を対象とした教育・啓発が重要と考え、すべての市民が参加しやすい講演会や研修会、イベントを実施するとともに、これらへの参加が市民自らの意志により自主的に行われるよう努めます。
 また、人権問題への関心を喚起するための「気付き」を促す啓発に続き、関心に応じて主体的に学習する「学び」を奨励するため、テーマや学習度合いに応じた段階的な学習機会を提供していきます。
 さまざまな人権問題に関する講座を開設するとともに、企業、学校、地域での自主的な学習を支援するための講師派遣、教材提供等を積極的に行います。

イ 学校園での取り組み(子どもたちに豊かな人間性を育むために)
  すべての学校で、開かれた学校運営の推進とともに、人権教育推進体制を確立し、幼児・児童・生徒の発達段階に即し、人権尊重の理念が正しく身に付くよう人権教育を積極的に推進します。
 就学前においては、乳幼児期が豊かな人間性を育てる重要な時期であるとの認識に立ち、人権尊重の精神の芽生えを促し、これを感性として育みます。
 小・中学校及び高等学校においては、教科等のねらいや特質に応じ、学校での教育活動全体を通して、児童・生徒が人権問題の解決を自らの課題とし、主体的に解決に向けて取り組む実践的態度を育成します。
 また、豊かな人間性を育むために、ボランティア活動などの社会体験や自然体験、障害者・高齢者・在住外国人等との交流活動を重視します。

ウ 地域社会での取り組み(地域社会全体に人権意識を満たすために)
  現代社会においては、「人と人とのつながりが希薄になっている」と言われていますが、人と人との交流は互いに相手を理解し認め合う心を育み、先入観や偏見を取り除くために最も効果的です。
 また、地域に暮らす人たちの生き方や姿勢は、少なからず互いに影響し合い、とりわけ、子どもたちの人権意識の形成に大きな影響を与えることから、地域社会全体として人権尊重の意識を高め、日常生活において実践をともなう人権感覚を培うことが大切です。
 そのために、公民館、隣保館等地域に密着した施設を活用し、さまざまな市民が参加できる交流促進のための機会づくりを展開するとともに、地域の実情やニーズに応じた人権に関する学習機会の提供に努めます。

エ 家庭への取り組み(家族みんなで考えるために)
 家庭での日常生活においては、時として誤った認識が家族全員に浸透したり、親の差別意識が子どもに影響をあたえたりといったケースもあることから、人権に関する教育・啓発の重要な場と考えています。
 そこで、家族みんなで参加できるイベントや、各種メディアを通じての広報並びに学習機会の提供等家庭教育に対する支援の充実に努めます。
 また、人間の人格形成過程において、幼児期は極めて重要な時期であるとの認識に立ち、家庭内での養育者等に対する人権教育を進めます。

オ 職場での取り組み(公正な採用選考と働きやすい職場づくりのために)
 人権が尊重された明るい職場づくりのためには、就職に際しての機会均等の確保、セクシュアル・ハラスメント等の人権侵害を許さない就業環境の実現、えせ同和行為の排除などをさらに徹底していく必要があり、事業主や公正採用選考人権啓発推進員などに対して、職場におけるリーダーとしての自覚を促すとともに、公正な採用選考システムの確立等人権擁護のための取り組みを要請し、これを積極的に支援していきます。


(2) 効果的な推進のために
ア 市民との協働(市民は教育・啓発の担い手です)
 教育・啓発は、人の内心に対する働き掛けであるため、その内容や手法には十分配慮する必要があります。しかし、従来のような行政による一方的な事業展開には限界があることも明らかです。
 そうしたことから、人権が尊重される街づくりを進めるにあたり、市民を教育・啓発の対象として一面的に捉えるのではなく、市民自身が行政や周囲の人々を教育・啓発するという教育・啓発の主体としての側面を重視しなければなりません。
 そのため、市民一人ひとりに、重要な人権啓発の担い手としての自覚を促し、機会を提供することで、さまざまな場面での市と市民との協働を進めていきます。

イ 幅広い連携・協力(市民と一緒に創る人権尊重社会)
 人権行政の推進にあたっては、国、県などと連携を図りながらできるだけ広範な取り組みとなるよう工夫するとともに、岡山市域内だけでなく市民の日常的な生活圏全域での統一的な取り組みが重要であることから、周辺都市との連携による「岡山県都市人権推進事業連絡協議会」等を通して、地域的な広がりをもった事業を実施します。
 また、人権問題の解決を目指す研究機関、民間運動団体、NPO、さらには地域における各種団体、民間企業等との間で、それぞれの役割を踏まえつつ幅広い連携・協力を図っていきます。

ウ 人材の育成(社会生活のあらゆる場面に人権尊重の指導者を)
 人権教育・啓発に当たる指導者・教職員等の資質と指導力の向上を図るとともに、地域や企業等、社会の各方面において指導的な役割を果たせるよう、人材の育成を積極的に推進します。そのため、学習意欲のある市民を対象として人権問題について総合的に学習できる場を設定することで自主的に人権学習ができる機会を提供します。
 企業内においては、人権尊重への取り組みを進めていくうえで、中心的役割を果たすべき事業主や公正採用選考人権啓発推進員(注釈1)などを対象に研修を行うとともに、こうした取り組みに対する支援を行います。
 また、市政に携わる職員は、市民の信託を受けた公務員として人権文化の構築に積極的に取り組むべき責務を負うことから、実践的な人権感覚を身に付けることができるよう、効果的な職員研修を行います。

(注釈1)公正採用選考人権啓発推進員:企業における適正な採用選考システムの確立と人権が尊重される職場環境づくりを目的とする制度であり、岡山県では10人以上の事業所に推進員の設置が求められている。

エ 地域ネットワークづくり(地域社会が一体となって)
 一人ひとりが人権を尊重し、尊重される明るい社会を実現するために、地域のネットワークづくりを進め、すべての市民が人権尊重の精神を正しく身に付け、日常生活で生かしていくことができるよう、家庭、地域社会、学校などのあらゆる場で、対象者の年齢や経験、発達段階に応じて段階的に人権教育・啓発を進めます。また、地域の保育園や福祉施設、幼稚園、小学校・中学校等の学校教育機関と公民館等の社会教育機関との連携を図ります。

オ メディアの活用(「人権」を日常の話題の中に)
 メディアについては、日ごろ人権問題にあまり関心を持っていない層の意識の掘り起こしに効果的であるとともに、市民の意識形成に大きな影響を及ぼすことから、積極的に活用していきます。
 その際、「押しつけ」のスローガンの繰り返しや視聴者に嫌悪感を抱かせるような「決めつけ」になってはならず、問題意識を喚起するような訴えかけが重要であると考えます。


(3)基本計画の目標達成と見直しについて
 この基本計画は岡山市が目指す人権教育及び人権啓発の在り方について、基本的な考え方をまとめたものです。
 岡山市は、この計画の積極的な推進を図るため、「人権尊重」を市政の柱として位置付け、関係部局の緊密な連携と協力により、本市が行うすべての事業を人権の視点をもって実施します。
 そのためには、平成14年に設置した「岡山市人権施策推進本部」を中心に、市組織を挙げて取り組む必要があり、今後この基本計画に沿って行う本市の事業について、これを体系的に、より具体化するものとして「岡山市人権教育・啓発実施計画(仮称)」を策定します。
 また、人権教育及び人権啓発は長期的展望に立った継続的取り組みとする必要がありますが、人権の状況は時の流れとともに変化します。したがって、将来、この基本計画が社会情勢の変化や国際的な動向に照らして、社会の実態にそぐわないものになってしまう可能性もあります。そのため、常にそうした視点で、この基本計画と現実の社会とを注視し続けるとともに、必要な修正、見直しを行います。


6 資料
「日本国憲法」
「世界人権宣言」
「『人権教育のための国連10年』に関する国内行動計画」
「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)」
「岡山市男女共同参画社会の形成の促進に関する条例(さんかく条例)」
「岡山市男女共同参画社会の形成の促進に関する基本計画(さんかくプラン)」
「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」
「今後における同和問題解決の基本方針」
「同和教育基本方針」
「岡山市人権施策推進本部設置要綱」