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主要な人権関係条約

「人権教育及び研修に関する国連宣言」採択
情報の種類 主要な人権関係条約
タイトル 「人権教育及び研修に関する国連宣言」採択
時期 2011/12/19
主体名 国際連合
【 内容 】

11.人権教育・研修に関する国連宣言( 2011 年)
2011 年 12 月 19 日、総会決議 66/137 A/RES/66/137)にて採択
総会は、
人権理事会が
2011 年 3 月 23 日の決議 16/1 [1]において、「人権教育と研修に関する国連宣言」を採択したこと
を歓迎する。
1.本決議に附属文書として添付されている「人権教育・研修に関する国連宣言」を採択する。
2.各国政府、国際連合システムの機関および組織、ならびに政府間組織および非政府組織に対し、
この宣言を普及させ、その普遍的な尊重と理解を促進するための努力を強化するよう要請し、事
務総長に対し、『人権』の次の版にこの宣言の本文を含めるよう要請する。また、事務総長に対し、
宣言文を『人権:国際文書集』の次の版に掲載することを要請する。
附属文書
人権教育・研修に関する国連宣言
人種、性別、言語、宗教の区別なく、すべての人の人権と基本的自由の尊重を促進・奨励する
ことに関して、国際連合憲章の目的と原則を再確認する。
また、すべての個人および社会のすべての組織が、教育によって、人権および基本的自由の尊
重を促進するよう努めなければならないことを再確認する。
すべての人が教育を受ける権利を有し、教育は、人間の人格およびその尊厳の感覚の完全な発
展に向けられ、すべての人が自由な社会に効果的に参加することを可能にし、すべての国および
すべての人種的、民族的または宗教的集団の間の理解、寛容および友好を促進し、平和、安全の
維持ならびに開発お よび人権の促進のための国際連合の活動を促進するものであることを再確
認する。
世界人権宣言[2]、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約 [3]及びその他の人権文書に
規定されているように、国家は、教育が人権及び基本的自由の尊重を強化することを目的として
いることを確保する義務を負っていることを再確認する。
すべての人権の促進、保護、効果的な実現に貢献する上で、人権教育・研修が基本的に重要で
あることを認識している。
1993 年にウィーンで開催された世界人権会議が、すべての国と機関に対し、人権、人道法、民
主年にウィーンで開催された世界人権会議が、すべての国と機関に対し、人権、人道法、民主主
義、法の支配をすべての学習機関のカリキュラムに含めるよう呼びかけたこと、また、人権教育
は、人権に対する普遍的なコミットメントを強化するために、共通の理解と認識を得るために、
国際的および地域的な人権文書に定められている平和、民主主義、開発、社会正義をはじめべき
であるとの声明を再確認し、あるとの声明を再確認する。[4]
各国首脳が「人権教育のための世界プログラム」の実施をはじめあらゆるレベルでの人権教育
および学習の促進を支持し、すべての国にこの点でのイニシアティブを開発するよう奨励した
2005 年年の世界サミットの成果を想起する。 [5]
すべての関係者が一丸となって人権教育・研修の取り組みを強化するために、国際社会に強い
シグナルを送りたいという思いが動機となっている。
以上のことを踏まえ、国連総会は、次のことを宣言する。
第 1 条条
1.すべての人は、あらゆる人権および基本的自由に関する情報を知り、求め、受け取る権利を有し、
人権教育および研修を受ける権利を有する。
2.人権教育・研修は、人権の普遍性、不可分性、相互依存性の原則に則り、すべての人権と基本的
自由の普遍的な尊重と遵守を促進するために不可欠である。
3.すべての人権、特に教育を受ける権利と情報へのアクセスを効果的に享受することで、人権教
育・研修へのアクセスを可能にする。
第 2 条
1.人権教育・研修とは、すべての人権および基本的自由の普遍的な尊重と遵守を促進することを目
的とした教育・研修・情報提供・啓発・学習などあらゆる活動であり、とりわけ、人権の侵害や不
正使用を防止しようとするものである。この目的のために、人々に知識・技能・理解を提供して、
その態度と行動を発展させ、人々が普遍的な人権文化の構築と促進に貢献できるようにエンパワ
ーするのが人権教育である。
2.人権教育・研修は次の事柄により構成されている。
(a) 人権に関する教育。これは、人権に関する規範と原則、それらを支える価値観、およびそれら
を保護するためのメカニズムに関する知識と理解の提供を意味している。
(b)人権を通じた教育。これは、教育者と学習者の両方の権利を尊重した形での学習と指導をさし
ている。
(c)人権をめざす教育。これには、人が自分の権利を享受・行使し、他者の権利を尊重・支持する
力を育むことが含まれる。
第 3 条
1.人権教育・研修は、すべての年齢層に関わる生涯にわたるプロセスである。
2.人権教育および研修は、社会のすべての部分、すべてのレベルに関わるものであり、就学前教育、
初等教育、中等教育、高等教育を含み、適用可能な場合には学問の自由を考慮し、また、公的ま
たは私的、定型的、非定型的または不定形的な環境であるかを問わず、あらゆる形態の教育、研
修および学習に関わるものである。これには特に、職業研修、特にトレーナー、教師、国家公務
員の研修、継続教育、大衆教育、広報・啓発活動が含まれる。
3.人権教育・研修は、対象となるグループの特定のニーズや状況を考慮して、そのグループに適し
た言語や方法を用いるべきである。
第 4 条
人権教育・研修は、世界人権宣言や関連する条約・文書の原則に基づき、以下の点に留意して行
われるべきである。
(a)普遍的な人権基準と原則、および人権と基本的自由の保護のための国際的、地域的、国家的レ
ベルでの保障についての認識、理解、受け入れを高めること。
(b)すべての人が自己の権利と他者の権利を尊重する責任を自覚する普遍的な人権文化を発展さ
せ、自由で平和で多元的かつ包括的な社会の責任ある構成員としての個人の成長を促進すること。
(c)すべての人権の効果的な実現を追求し、寛容、無差別、平等を促進すること。
(d)いかなる差別もなく、質の高い人権教育・研修へのアクセスを通じて、すべての人に平等な機
会を確保すること。
(e)人権の侵害や不正使用の防止、あらゆる形態の差別、レイシズム、ステレオタイプ、憎悪の扇
動、およびそれらの根底にある有害な態度や偏見の根絶に貢献すること。
第 5 条
1.人権教育・研修は、公的機関、民間企業を問わず、平等、特に女児と男児、女性と男性の間の平
等、人間の尊厳、包容力、非差別の原則に基づいて行われるべきである。
2.人権教育・研修は、すべての人がアクセスでき、利用できるものでなければならず、エンパワメ
ントおよび人間開発を促進し、排除または周縁化の原因の除去に貢献するために、障害者をはじ
め脆弱で不利な状況にある人およびグループが直面する特定の課題および障壁、ならびにそのニ
ーズおよび期待を考慮し、すべての人がすべての権利を行使できるようにすべきである。
3.人権教育・研修は、人権の普遍性に反映されているように、さまざまな国の文明、宗教、文化、
伝統の多様性を受け入れ、豊かにするとともに、そこからインスピレーションを得るべきである。
4.人権教育・研修は、異なる経済的、社会的、文化的状況を考慮するとともに、すべての人のため
にすべての人権を充足するという共通の目標に対するオーナーシップを促すために、地域のイニ
シアティブを促進すべきである。
第 6 条
1.人権教育・研修は、すべての人権と基本的自由を促進するために、メディアだけでなく、新しい
情報通信技術を活用し、利情報通信技術を活用し、利用すべきである。
2.人権分野でのトレーニングや意識向上の手段として、芸術を奨励すべきである。
第 7 条
1.国家、および該当する場合には関連する政府当局は、参加、包含および責任の精神に基づいて開
発および実施される人権教育および研修を促進および確保する第一の責任を有する。
2.国家は、市民社会、民間企業、その他の関連するステークホルダーが人権教育・研修に関与する
ための安全で可能な環境を構築すべきであり、その際、プロセスに関与する者をはじめすべての
者の人権および基本的自由が完全に保護されるべきである。
3.国家は、利用可能な資源を最大限に活用して、立法上及び行政上の措置及び政策の採用をはじめ
適切な手段により、人権教育及び研修の漸進的な実施を確保するために、個別に、また国際的な
援助及び協力を通じて、措置を講じるべきである。
4.国家、および該当する場合には関連する政府当局は、国家公務員、公務員、裁判官、法執行機関
の職員および軍人に対して、人権、および適切な場合には国際人道法および国際刑事法に関する
十分な研修を確保するとともに、国を代表して行動する教師、トレーナー、その他の教育者およ
び民間人に対して、人権に関する十分な研修を促進すべきである。
第 8 条
1.国家は、適切なレベルで、学校や研修カリキュラムへの統合など、人権教育・研修を実施するた
めの戦略・政策、および必要に応じて行動計画・プログラムを策定し、またはその策定を促進す
べきである。その際には、「人権教育のための世界プログラム」や、国や地域の具体的なニーズや
優先事項を考慮に入れるべきである。
2.このような戦略、行動計画、政策、プログラムの構想、実施、評価、フォローアップには、必要
に応じてマルチステークホルダー・イニシアティブを促進することにより、民間企業、市民社会、
国内人権機関をはじめすべての関連するステークホルダーが関与すべきである。
第 9 条
国家は、人権の促進及び保護のための国家機関の地位に関する原則(以下「パリ原則」)に従い、
効果的かつ独立した国家人権機関の設立、発展及び強化を促進すべきであり [6]、国家人権機関は、
特に意識を高め、関連する官民の関係者を動員することにより、人権教育及び研修を促進する上
で、必要に応じて調整役をはじめ重要な役割を果たすことができることを認識する。
第 10 条
1.人権教育・研修の推進・提供には、特に、教育機関、メディア、家庭、地域コミュニティ、NGO
をはじめ市民社会機関、人権擁護者、民間企業など、社会のさまざまな主体が重要な役割を担っ
ている。
2.市民社会機関、民間企業、その他の関連するステークホルダーは、そのスタッフや職員に対する
適切な人権教育・研修を確保するよう奨励さ適切な人権教育・研修を確保するよう奨励される。
第 11 条
国際連合および国際・地域機関は、その文民職員およびその委任を受けて活動する軍人・警察官
に対し、人権に関する教育・研修を行うべきである。
第 12 条
1.すべてのレベルにおける国際協力は、人権教育・研修を実施するための、場合によっては地域レ
ベルを含めた各国の取り組みを支援し、強化すべきである。
2.国際レベル、地域レベル、国レベル、地方レベルでの補完的かつ協調的な取り組みは、人権教育・
研修のより効果的な実施に貢献することができる。
3.人権教育・研修の分野におけるプロジェクトやイニシアティブへの自主的な資金提供を奨励す
べきである。
第 13 条
1.国際的および地域的な人権メカニズムは、それぞれのマンデートの範囲内で、その作業において
人権教育および研修を考慮に入れるべきである。
2.国家、は、適切な場合には、関連する人権メカニズムに対する報告書に、人権教育・研修の分野
で採用した措置に関する情報を含めるよう奨励される。
第 14 条
国家、は、この宣言の効果的な実施とフォローアップを確保するために適切な措置を講じ、この
点において必要な資源を利用できるようにすべきである。
______________________________________
[1] Official Records of the General Assembly, Sixty-six Session, Supplement No.53 (A/66/53)の第の第 1 章
を参章を参照。Ⅰ
[2] Resolution 217 A (III).決議 2200A(XXI)の附属書を参照。の附属書を参照。
4] A/CONF.157/24 (Part I)の第の第 III 章を参照。 sect.II.D、パラグラフ 79 と 80 を参照。
5】決議】決議 60/1、パラグラフ参照。131.
[6] Resolution 48/134, annex.
森 実訳