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徳島県人権教育・啓発に関する基本計画
情報の種類 地方公共団体関係資料
タイトル 徳島県人権教育・啓発に関する基本計画
時期 2004/12/01
主体名 徳島県
【 内容 】

徳島県人権教育・啓発に関する基本計画

第1章 はじめに
1 計画策定の趣旨
 我が国では,すべての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の下で,人権に関
する国内諸制度の整備や人権に関する国際条約への加入など,これまで人権に関する諸施
策が講じられてきました。
 しかしながら,今日においても,依然として,家庭,学校,地域社会,職場など,社会
生活の様々な局面において,生命・身体の安全にかかわる事象や,社会的身分,門地,人
種,民族,信条,性別,障害などによる不当な差別その他の人権侵害がなお存在していま
す。また,国際化,情報化,高齢化等の進展に伴って,人権に関する新たな問題も生じて
きています。
 このような様々な人権問題が存在する要因には,人々の中に見られる同質性・均一性を
重視しがちな性向や非合理な因習的意識の存在,人間関係の希薄化の傾向等が挙げられて
いますが,要因の基には,一人ひとりに人権尊重の理念についての正しい理解が未だ十分
に定着していないことが指摘されています。
 県としては,県民一人ひとりに人権尊重の理念についての理解が定着するよう,人権教
育・啓発に関する施策を積極的に推進することにより,様々な人権問題の解決に努める必
要があります。
 人権問題をめぐる状況は,今後ますます複雑化,多様化することが予想されますが,県
はもとより県民一人ひとりの努力によって,人権が尊重される社会を創っていくことが重
要です。
 このため,人権教育・啓発に関する施策の総合的かつ計画的な取組を推進するための「徳
島県人権教育・啓発に関する基本計画」(以下,「基本計画」という。)を中長期的な展望
の下に,策定することとしました。

2 計画の基本理念
 人権とは,人間の尊厳に基づいて各人が持っている固有の権利であり,社会を構成する
すべての人々が個人としての生存と自由を確保し,社会において幸福な生活を営むために
欠かすことのできない権利です。
 それはまた,国や地方公共団体などの公権力の主体との関係においてだけでなく,国民
相互の関係においても尊重されるべきものであることはいうまでもありません。
人権尊重の理念は,自分の人権のみならず他人の人権についても正しく理解し,その権
利の行使に伴う責任を自覚して,人権を相互に尊重し合うこと,すなわち人権の共存の考
え方と理解されています。
 本県では,「すべての人々の人権が尊重され,相互に共存し得る平和で豊かな社会」の
実現をめざして,この基本計画を策定するものです。

3 人権教育・啓発の基本的在り方
 人権は何より大切なものであり,人権の尊重が行政の行動基準とされなければなりませ
ん。職員一人ひとりが人権を尊重した行政の担い手としての自覚を持ち,県行政のあらゆ
る分野で人権尊重を基本とした行政を推進します。
人権教育・啓発は,日本国憲法や教育基本法などの国内法,人権関係の国際条約等に即
し,次の点を踏まえながら推進していきます。

(1) 県民が主体となる人権教育・啓発の推進
 人権尊重の理念が人々の思考や行動の基準として日常生活に根づくためには,県民一人
ひとりの主体的,自発的な人権学習が重要です。県は県民の主体的,自発的な学習を促す
ような人権教育・啓発の推進に努めます。
(2) 理解と共感を得られる人権教育・啓発の推進
 人権教育・啓発がその効果を十分に発揮するためには,その内容はもとより,実施の方
法等においても,県民から幅広く理解と共感が得られるよう,行政の主体性や中立性の確
保に努めます。
(3) あらゆる場を通じた人権教育・啓発の推進
 生涯学習の理念に基づき,子どもから大人まで各年齢層に応じて,家庭,学校,地域社
会,職場などあらゆる場と機会を通じた多様な人権教育・啓発を推進します。
(4) 同和教育及び同和問題啓発の成果等を踏まえた人権教育・啓発の推進
 これまでの同和教育・同和問題啓発は,同和問題解決への取組を通じてあらゆる人権問
題に対する理解を深めることにも大きな役割を果たしてきました。こうした同和教育・同
和問題啓発によって積み上げられてきた成果や取組の手法への評価を踏まえ,人権教育・
啓発の充実を図っていきます。
(5) 実施主体間の連携による人権教育・啓発の推進
 人権教育・啓発を効率的・効果的に進めるため,国,市町村などの行政機関,県内の企
業や民間団体等と,それぞれの担うべき役割を踏まえた上で,連携と協力を図ります。
(6) 普遍的な視点と個別的な視点からの人権教育・啓発の推進
 人権教育・啓発の手法については,「生命の尊重」,「法の下の平等」,「個人の尊重」と
いった人権一般の普遍的な視点からのアプローチと,具体的な人権課題に即した個別的な
視点からのアプローチとがあり,この両者があいまって人権尊重についての理解が深まっ
ていくものと考えられます。双方の視点を踏まえた人権教育・啓発の推進に努めます。

4 計画の性格
(1)「※人権教育のための国連10年」徳島県行動計画を引き継ぎ,今後の人権教育・啓
発を総合的かつ計画的に推進するために策定します。
(2)「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」に基づき策定された国の「人権教育・
啓発に関する基本計画」の趣旨を踏まえたものです。
(3)「※オンリーワン徳島行動計画」においては,基本目標「ユニバーサルとくしまの実
現」の重点施策「人権が尊重される社会づくり」に位置づけています。

第2章 人権を取り巻く状況
1 国際的潮流
 20世紀前半の二度にわたる世界大戦の教訓から,世界における平和と安全の維持を実
現するため,昭和20年(1945年)10月,国際連合が創設されました。
 昭和23年(1948年)12月10日の国際連合の第3回総会において,人権及び自由を尊重し確
保するために,すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として「世界人権宣
言」が採択されました。
 この第1条では,「すべての人間は,生れながらにして自由であり,かつ,尊厳と権利
とについて平等である。」と明記されています。
世界人権宣言は,法的な拘束力を持つものではありませんが様々な国際会議の決議など
にも用いられ,世界各国に強い影響を及ぼしています。また,この宣言で規定された権利
に法的な拘束力を持たせるため,「※国際人権規約」(昭和41年(1966年))が採択されました。
 このほかに,国際連合では,「難民の地位に関する条約」(昭和26年(1951年),「※人種差
別撤廃条約」(昭和40年(1965年)),「※女子差別撤廃条約」(昭和54年(1979年)),「※児童の権
利に関する条約」(平成元年(1989年))など多くの人権に関する条約が採択されています。
 また,こうした条約等の採択だけでなく,「国際婦人年」,「国際児童年」,「国際障害者
年」,「国際識字年」や「国連婦人の10年」,「国連障害者の10年」といったテーマ別の
国際年を定めるなど,重要な人権課題についての集中的な取組が行われてきました。
 これらの様々な取組にかかわらず,世界各地において人種や民族,宗教などの違い,あ
るいは政治的対立や経済的利害に起因する地域紛争,飢餓,難民,テロなどの深刻な人権
問題が跡を絶たない状態が続いています。
 このような国際社会の深刻な状況を前にして,世界人権宣言45周年となる平成5年(1
993年)に,ウィーンにおいて世界人権会議が開催され,この会議において,すべての者の
人権及び基本的自由が普遍的であることを確認し,人権教育の重要性を強調した「ウィー
ン宣言及び行動計画」が採択されました。
 これを受けて,平成6年(1994年)の第49回の国連総会では,平成7年(1995年)から平成
16年(2004年)の10年間を「人権教育のための国連10年」と宣言する決議と,人権尊重の
文化が普遍的に確立されることを求めて,世界各国において「人権教育」を積極的に推進
するよう「人権教育のための国連10年行動計画」を採択しました。

2 国における取組
 我が国では,すべての国民の基本的人権の享有を保障する日本国憲法の下で,「国際人
権規約」をはじめとする人権関係諸条約に加入し,人権が尊重される社会の形成に向けた
取組を進めてきました。
 「人権教育のための国連10年」が決議されたことを受けて,平成7年(1995年)12月に
は内閣総理大臣を本部長とする「人権教育のための国連10年推進本部」を設置し,平成
9年(1997年)7月に「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画を策定しまし
た。
 また,我が国固有の人権問題である同和問題に関しては,昭和40年(1965年)の※同和対策
審議会答申を受けて,約33年間特別措置法に基づく各種施策が推進されてきましたが,平
成8年(1996年)5月の地域改善対策協議会の意見具申において,今後の主要な課題は,教
育,就労,産業等の面でなお存在している格差の是正等のほか,「依然として存在してい
る差別意識の解消」と「人権侵害による被害の救済等の対応」であるとの指摘がなされま
した。
 この指摘事項に関して,今後の具体的な方策を検討するために,平成9年(1997年)3月
に「人権擁護施策推進法」に基づく人権擁護推進審議会が設置され,平成11年(1999年)
7月に,「人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する
施策の総合的な推進に関する基本的事項について」の答申が取りまとめられました。
 この答申を受けて,平成12年(2000年)12月に「人権教育及び人権啓発の推進に関する法
律」が施行され,その中で人権教育・啓発の理念,人権教育・啓発の推進についての国及
び地方公共団体の責務並びに国民の責務が明記されました。
 同法に基づき,平成14年(2002年)3月に「人権教育・啓発に関する基本計画」が策定さ
れ,政府はこの基本計画により,人権が共存する人権尊重社会の早期実現に向け,人権教
育・啓発に関する施策を総合的かつ計画的に推進することとなりました。

3 本県における取組
 本県においても,これまで同和問題をはじめ,女性,子ども,高齢者,障害者等様々な
人権問題の解決に向けて,各個別の計画等に基づきそれぞれの課題に対応して各種施策に
取り組んできましたが,依然多くの課題を抱えています。
 「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画が策定されたことを踏まえ,本
県の実状にあった人権教育・啓発を推進するために,平成9年(1997年)12月に知事を本部
長とする「徳島県人権教育のための国連10年推進本部」を設置し,平成11年(1999年)3
月には,本県における人権教育の基本方針と施策の方向を示す「人権教育のための国連1
0年」徳島県行動計画を策定しました。
 現在,この県行動計画の理念である人権という普遍的な文化を構築するために,人権教
育・啓発の取組を進めています。
 また,平成16年(2004年)3月に策定した,「オンリーワン徳島行動計画」においては,
重点施策として「人権が尊重される社会づくり」を掲げ,すべての人の人権が尊重される
社会の確立を目指した取組をしています。

第3章 人権教育・啓発の推進
 生涯学習の理念に基づき,家庭,学校,地域社会,職場などあらゆる場や機会を通じて
人権教育及び人権啓発を推進します。

1 人権教育
 「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」第2条には,「人権教育とは,人権尊重
の精神の涵養を目的とする教育活動」であると規定されています。人権教育は,人権尊重
社会の実現をめざして,「国民が,その発達段階に応じ,人権尊重の理念に対する理解を
深め,これを体得することができるよう」(同法第3条)にすることを旨としており,日本
国憲法及び教育基本法,国際人権規約,児童の権利に関する条約等の精神に則り,基本的
人権の尊重の精神が正しく身につけられるよう,地域の実情を踏まえつつ,学校教育及び
社会教育を通じて推進されるべきものです。
 本県では,平成14年(2002年)4月に,「※同和問題の解決に向けて(基本方針)」(平成1
4年〈2002年〉3月策定)に示された方向性を受け,これまでの差別意識の解消をめざし
た教育を,すべての人の人権を尊重していくための人権教育として発展的に再構築しまし
た。併せて,平成16年(2004年)2月に策定した「※徳島県人権教育推進方針」に基づき,
すべての人の基本的人権が真に尊重される社会づくりをめざして,より一層総合的な視野
に立った人権教育を推進しています。

(1) 学校教育(保育)における人権教育
ア 現状と課題
学校(園・所)においては,乳幼児・※児童・生徒の発達段階に応じながら,教育(保育)活
動全体を通じて人権尊重の意識を高め,一人ひとりを大切にした教育(保育)の充実を図っ
てきました。また,保育所保育指針や教育内容の基準である幼稚園教育要領,小・中・高
等学校及び盲・聾・養護学校の学習指導要領等に基づき,自ら学び,自ら考える力や豊か
な人間性等の「生きる力」の育成をめざし,それぞれの教育(保育)の一層の充実を図って
きました。
 しかしながら,学校教育(保育)活動全体を通じて人権教育の推進に努めているものの,
学習が知的理解にとどまり,人権感覚が十分身についていないなどの問題点や教職員(保
育所職員を含む。以下同じ。)に人権尊重の理念についての十分な認識が必ずしもいきわ
たっていないなどの問題点が認められます。これらは,日常の生活に即して学習を捉えよ
うとする視点や態度化・行動化に結びつけようとする視点の不十分さ,さらには教職員の
研修の不十分さなどに起因するものと考えられます。

イ 施策の基本的方向
(ア)人権尊重を基盤とする学校教育(保育)活動の展開
 学校(園・所)を運営するにあたっては,様々な教育(保育)活動の中で,乳幼児や児童生
徒の人権がおろそかにされる状況がないかどうかを見直し,それぞれが人格を持った一人
の人間として尊重されるよう,一人ひとりを大切にする教育(保育)方針のもとで,これに
ふさわしい学習環境をつくるよう努めます。
 さらに,ボランティア活動などの社会奉仕体験活動や自然体験活動をはじめ,乳幼児や
高齢者,障害者等との交流活動など,豊かな体験活動の充実を図ります。

a 就学前における人権教育の推進
 乳幼児期にあっては,人間形成の基礎が培われる極めて大切な時期であることから,乳
幼児の発達の特性を踏まえ,身近な動植物に親しみ,生命の大切さに気づかせ,豊かな心
情を育てるなど,人権尊重の精神の芽生えが感性として育まれるよう努めます。また,遊
びなどの生活全体を通して基本的な生活習慣の育成を図るとともに,人とかかわる力を身
につけ,乳幼児期の発達に合わせた仲間づくりを進めます。

b 小・中・高等学校における人権教育の推進
 小・中・高等学校においては,児童生徒の発達段階に即しながら,各教科,道徳,特別
活動等の特質に応じ,学校の教育活動全体を通じて人権尊重の理念についての理解を促し,
一人ひとりを大切にする教育を推進します。
 また,盲・聾・養護学校においては,子どもたちの社会性や豊かな人間性を育むととも
に,社会における障害者に対する正しい理解や認識を深めるために,児童生徒間の交流や
地域社会の人々と共に活動を行う交流教育の一層の推進を図ります。

c 専門学校等における人権教育の推進
 県立の専門学校においては,人権に関する講義を充実するなど,人権教育の推進を図る
とともに,その他の専門学校や大学等においても,自主的な取組が期待されるところであ
り,その主体性を十分尊重しながら,人権教育に関する取組を促すよう努めます。

(イ)指導内容・指導方法の改善
 教職員一人ひとりが指導内容・方法の工夫・改善を図ることができるよう,研修機会の
充実や校内研修の充実に努めます。併せて,指導資料や教材が人権に配慮され,かつ人権
尊重の視点に立った適切な内容となっているかを点検し,改善を加えます。
 また,効果的な教育実践を創造し,学習教材などを開発するため,それぞれの校種間の
連携を図る中でより一層の情報交換等を進めるとともに,モデルとなる地域や学校の先駆
的な取組をすべての学校に周知・普及できるよう努めます。

(ウ)学校・家庭・地域の連携の推進
 地域の子どもは地域で育てるといった視点に立って,より効果的な人権教育が推進でき
る協力体制を築くため,家庭や地域に対して,保育所・幼稚園・学校の教育(保育)活動に
ついての情報提供を行うとともに,意見や要望を把握し,相互の信頼関係を築く中で学校
(園・所)運営を行います。
 また,社会の変化や人権問題の様々な広がりに対応する意味で,幅広い知識や経験,能
力を持った社会人講師等を学校に招き,時代の変化に対応した人権教育を推進します。

(エ)教職員の資質の向上
 教職員が自らの使命を自覚し,日常生活における人権上の問題点を見抜き,人権問題を
自分自身の問題と捉え,自らの意識改革を図ることが大切であることから,豊かな人権意
識を身につけ人権感覚を磨くための研修や,指導方法の工夫・改善をめざした研修の充実
を図ります。

(2)社会教育における人権教育
ア 現状と課題
 社会教育においては,生涯の各時期に応じて,公民館等の社会教育施設を中心に人権に
関する学級・講座等を開設し,交流活動を展開するなど,人権に関する学習機会を提供し
てきました。また,社会教育主事等の社会教育指導者を対象に,様々な形で研修が行われ,
指導者の資質の向上が図られてきました。
 しかしながら,体験的参加型学習など,学習者が主体的に参画できる学習スタイルが広
まりつつあるものの,学習が受け身的となったり,参加者や指導者,学習内容が固定化し
たりするなどの問題点が認められます。これらの背景には,人権についての正しい理解及
び問題解決に向けた実践力がいまだ不十分である点や学習を主体的に捉えるのではなく,
受動的に捉えようとする風潮などが存在するものと考えられます。

イ 施策の基本的方向
(ア)家庭での人権教育の充実
 家庭においては,保護者自身が偏見を持たず差別をしないことを日常生活を通じて子ど
もに示していくことが重要であることから,親と子が共に人権感覚を身につけられるよう
な家庭教育に関する学習機会の充実や情報の提供を図るとともに,男性の家庭教育への参
画の促進,子育てに不安や悩みを抱える保護者等への相談体制の整備等を図ります。

(イ)多様な学習機会の充実
 乳幼児から高齢者に至るそれぞれのライフサイクルにおける人権に関する多様な学習機
会を提供するよう努めます。また,公民館・図書館・博物館等の社会教育施設を中心とし
て,地域の実情に応じた人権に関する多様な学習機会の充実を図ります。併せて,人権に
関する学習機会の提供や交流事業の実施,教材の作成等を促進します。
 さらに,学校教育との連携を図りつつ,ボランティア活動などの社会奉仕体験活動・自
然体験活動をはじめとする多様な体験活動や高齢者,障害者等との交流機会の充実を図り
ます。

(ウ)学習意欲を高める学習プログラムの開発・提供
 体験的参加型学習などを取り入れ,学習意欲を高める効果的な学習プログラムの開発を
図り,広く関係機関にその成果を普及するよう努めます。
 また,身近な課題を取り上げたり,様々な人々とのふれあい体験を通して自然に人権感
覚が身につけられるような活動を取り入れたりして,学習意欲を高める手法を工夫するな
ど,指導方法に関する研究開発を進めます。併せて,インターネットなどのIT関連技術
や情報手段の効果的な活用を図ります。

(エ)指導者養成や資質の向上
 社会教育における指導体制の充実に向け,社会教育指導者研修会に体験的・実践的学習
プログラムを取り入れるとともに,指導者自身が自らの使命を自覚し,日常生活における
人権上の問題点を見抜き,人権問題を自分自身の問題として受け止め,自らの意識改革に
迫るような研修内容・方法の工夫・改善を図ります。
 また,県民の多様な学習ニーズに応えるため,社会における人権教育指導員の充実に努
めます。

2 人権啓発
 「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」第2条には,「人権啓発とは,国民の間
に人権尊重の理念を普及させ,及びそれに対する国民の理解を深めることを目的とする広
報その他の啓発活動(人権教育を除く。)」であると規定され,「国民が,その発達段階に
応じ,人権尊重の理念に対する理解を深め,これを体得することができるよう」(同法第
3条)にすることを旨としています。すなわち,人権啓発とは,広く国民の間に人権尊重
思想の普及高揚を図ることを目的として行われる研修や情報提供,広報活動等で,人権教
育を除いたものです。

(1)県民に対する人権啓発
ア 現状と課題
 県においては,従来から,広く県民を対象に,人権尊重の意識の高揚を目指して,人権
に関する正しい理解と認識を深め,人権感覚が身に付くように,様々な啓発活動を推進し
てきました。
 人権啓発資料の整備,新聞やテレビなどのマスメディア広報の実施,講演会・シンポジ
ウムの開催,人権フェスティバルなどの啓発イベントの開催,県のホームページでの広報
など,県民に対する積極的な啓発活動を行い,総合的,計画的な取組を行ってきました。
 しかしながら,その内容や手法が,県民の十分な興味や関心,共感を呼び起こすものに
なっていない点や,啓発活動の実施に当たってのマスメディアやインターネットなどの効
果的な活用が十分といえない点などの課題もあげられています。

イ 施策の基本的方向
(ア) 県民に対する啓発活動の充実
 広く県民が,啓発の内容や手法に興味・関心等を抱き,人権尊重の理念を深めるととも
に,これを体得することができるよう,啓発活動に創意工夫を凝らし,なお一層の充実に
努めます。
 特に,啓発の内容については,人権尊重の理念などとともに,具体的な人権課題に即し
た,県民に親しみやすく,わかりやすいテーマや表現を用いるなど,共感が得られる啓発
となるよう努めます。
 さらに,県民の自主的な取組を促進するため,県が行う啓発活動の企画や実施の各段階
において,県民の幅広い参加を求め,県民と一体となった啓発活動を推進します。
 また,明るく楽しい雰囲気の中でより多くの人が人権について考える総合的なイベント
は,無関心層も含めた幅広い参加が期待できることから,継続的に開催していきます。
人権に関する啓発用の資料や文献は,効果的な人権啓発を実施していく上で不可欠であ
り,その整備や収集に努めます。
 なお,人権啓発を総合的かつ効果的に推進していくためには,啓発実施主体間の連携が
重要であり,市町村等の既存の組織との連携の強化のみならず,新たな連携についても構
築を進めます。

(イ) マスメディア等の活用
 マスメディアについては,多くの県民に効果的に人権尊重の理念を伝えることができる
ことから,また,インターネットについては,多くの県民が容易に多種多様な人権関係の
情報にアプローチすることができることから,それぞれ積極的な活用を図っていきます。

(2)家庭・地域に対する人権啓発
ア 現状と課題
 家庭や地域は,家族や日常出会う人とのふれあいにより,他者への思いやりや豊かな情
操,善悪の判断など,人権意識を育む上で重要な場であり,このため,地域の実情に即し
た内容や手法となることが大切です。
 これまで家庭や地域に対する啓発は,主として住民に身近な存在である市町村が,講演
会や研修会,各種のイベントなどの開催や,チラシやパンフレットをはじめとする情報の
提供,さらには,住民の自主的な活動に対する支援など,様々な取組をしてきました。
 また,県においても,市町村等の実施する啓発活動に対する支援を中心に,広報誌の発
行などの情報提供,人権に関する各種の相談事業,さらには地域で活動するリーダーの養
成など,幅広く取り組んできました。
 これらの取組により,県内各地で多彩な啓発活動が実施されていますが,一方では参加
者の偏りや啓発内容の画一性等が課題とされています。
 さらには,少子化や核家族化,地域への帰属意識の希薄化等により,家庭や地域が本来
持っていた包容力や教育力の低下についても指摘されています。

イ施策の基本的方向
(ア) 市町村等との連携・支援
 地域の実情に即した効果的な啓発活動が展開できるよう,市町村等の行う各種事業を積
極的に支援していきます。
 また,広報誌等による情報の提供にあたっては,住民のニーズにあった,わかりやすい
内容となるよう努めるとともに,相談事業についても,事前の十分な広報やきめ細かい開
催に努めていきます。
 なお,各種事業の実施にあたっては,市町村や関係団体等と密接な連携を図っていきま
す。

(イ) 地域での指導者の養成
 人権意識の高揚を図るには,地域に密着した,自主的で継続的な活動が重要であり,そ
のためには,地域で中核となる人材が必要です。
 このため,地域で中心的に活動するリーダーの養成や資質の向上を図るとともに,各人
権課題別の専門家に関する情報の収集や提供等を図っていきます。

(3)企業に対する人権啓発
ア 現状と課題
 企業は,地域社会の一員として,社会的責任も強く求められており,就職の機会均等を
保障するとともに,そこで働くすべての人々の人権に配慮した職場づくりを進める必要が
あります。
 このため,企業において,同和問題をはじめとする人権問題に対する正しい理解と認識
が深められ,公正な採用選考システムの確立が図られるよう,事業主や※公正採用選考人権
啓発推進員等を対象とした研修会を実施するとともに,職場内での研修会・人権啓発活動
等が円滑に実施できるよう支援に努めています。
 しかしながら,依然として職場内での人権侵害の事象や不適正な採用選考が見受けられ
ることから,企業における一層の人権啓発の取組が必要となっています。

イ 施策の基本的方向
 企業や経済団体等に対し,様々な広報媒体の活用や講演会・講習会の開催など,多様な
手段によって,人権に関する企業の社会的責任の理解と認識を喚起するともに,企業自ら
が人権が尊重される職場環境づくりを主体的に推進するよう,啓発に努めます。
 特に,公正採用選考人権啓発推進員が効果的に社内研修に取り組むことができるよう,
国や市町村等の関係機関と連携しながら,研修内容や方法等への情報提供,講師の紹介,
研修教材等としての啓発冊子の作成・配付など,様々な支援を行います。

第4章 人権に関わりの深い特定職業従事者への取組の推進
 公務員や教職員等,特定の職業に従事する者は,その職務の性格上,人権に深く関わる
立場にあり,これらの職業に従事する者に対しては,特に積極的に研修等の取組を推進し
ます。
 また,それ以外の人権に関わりの深い分野の業務に従事する者に対しては,それぞれの
職場で行われる研修が充実したものとなるよう情報提供等に努めます。

1 公務員
 公務員は,全体の奉仕者としての使命感を持ち,常に日本国憲法の定める基本的人権の
尊重の理念を行政施策を通して具体化していく職責を担っています。
 このため,行政に携わるすべての職員が,人権を尊重した行政の担い手としての自覚を
持ち,人権が尊重される社会の実現に向け,それぞれの分野において,人権尊重の視点に
立った業務を遂行することができるよう,人権に関する職員研修の効果的な実施に努める
必要があります。
 県が実施する職員研修については,人権問題研修を県職員の資質向上研修の重点事項の
ひとつに位置づけるとともに,職員一人ひとりが自ら人権感覚を磨き,人権問題について
の理解と認識をより一層深めることができるよう,内容の工夫・改善を図るなど,人権問
題の解決に主体的かつ積極的に取り組むことができる職員の育成に努めます。

2 教職員
 教職員は,子どもの人権を守ることはもとより,子どもの人権意識を育む教育を推進す
る使命を持っています。
 特に,学校(園・所)における人権教育の推進にあたっては,指導者である教職員自身が
人権及び人権問題に関する深い理解と認識を持つことが必要であり,教職員のたゆまぬ自
己研鑽が求められると同時に,学校(園・所)の教育活動全体を通じ,子どもの人権尊重の
意識を高める教育を行う実践力を身につける必要があります。
 さらに,確かな人権教育を推進するためには,教職員が自らの使命を自覚し,日常生活
における人権上の問題点を見抜き,人権問題を自分自身の問題と捉え,自らの意識改革を
図ることが大切です。
 このため,教職員一人ひとりが豊かな人権意識を身につけ,人権感覚を磨くための研修
や指導方法の工夫・改善をめざした研修の充実を図り,教職員の資質の向上に努めるとと
もに,学校(園・所)における人権教育を積極的に推進していきます。

3 医療関係者
 医師・歯科医師・薬剤師・看護師・理学療法士・作業療法士等の医療関係者は,疾病の
予防,治療,リハビリテーションを通じて県民と常に接する職種であり,患者のプライバ
シーにかかわることも多く,その職務の性質上,人権に対する配慮が特に求められていま
す。
 さらに,今日の医療においては,患者の自己決定の視点から,患者が自らの病状や治療
内容等について知る権利が重要視されており,※インフォームドコンセントを前提とした医
療が求められています。
 すべての医療関係者が人権の重要性についてさらに認識を深め,患者の立場に立った適
切な処遇が図られるよう,医療関係者の養成学校・施設等に対しても,人権研修の充実を
促すとともに,医師会,歯科医師会などの医療関係団体に対しても,インフォームドコン
セントの徹底,患者のプライバシーの尊重など,患者の人権を尊重するための研修会等の
開催を働きかけ,人権意識の高揚を図っていきます。

4 福祉関係者
 福祉事務所職員や民生委員・児童委員,社会福祉施設職員,社会福祉協議会職員,ホー
ムヘルパーその他社会福祉関係事業に従事する者は,高齢者,障害者や子どもなどの生活
相談や身体介護などに直接携わっています。そのため,その職務の遂行に当たっては,人
としての尊厳と個人のプライバシーの尊重など,人権意識に立脚した判断力と行動力が求
められます。
 こうした認識に立ち,今後,人権尊重の視点から,社会福祉関係職員を対象とした人権
研修をさらに充実させるとともに,社会福祉業務にかかわる者すべての人権意識の高揚を
図るため,市町村,社会福祉協議会,社会福祉法人等に対し,人権研修を実施するよう助
言・指導に努めていきます。

5 警察職員
 警察は,公共の安全と秩序の維持という責務を遂行するため,犯罪捜査という県民の権
利・自由に大きくかかわる活動を行っています。このような職務の特殊性から,警察活動
は,特に人権への配慮が必要とされ,法律に定められた範囲内で,かつ,必要な限度を越
えないように行われる必要があります。
 こうしたことから,今後とも,人権に関する知識の涵養を図り,基本的人権を尊重した
警察活動を徹底させるため,警察学校や各警察署におけるあらゆる教育訓練の機会を通じ
て,人権に関する教育・研修の一層の充実を図っていきます。

6 消防職員
 消防職員は,県民の生命,身体及び財産を火災や地震等の災害から守るという役割を担
っており,その職務を遂行するにあたっては,人命の尊重はもちろん,被災者や患者の人
権の尊重,プライバシーの保護に十分配慮する必要があります。
 このような認識のもと,今後とも,県消防学校での人権にかかわる教育を一層充実させ
るとともに,各市町村等で実施されている消防職員に対する様々な人権課題に関する研修
についても,その取組の充実を促していきます。

7 マスメディア関係者
 今日の高度情報化社会において,新聞,テレビ,ラジオ,雑誌等のマスメディアは,国
民の価値判断や意識の形成に大きな影響力を持っています。
 このため,様々な人権問題に関する報道により,国民の人権意識の高揚に大きな役割を
果たす一方,個人の名誉やプライバシーを侵害するなどの危険性も有しています。
 マスメディアには,今後とも正確な情報を国民に提供するという公共的使命を踏まえ,
人権尊重の視点に立った取材活動や紙面・番組づくりに向け,より一層充実した人権研修
を行うための自主的な取組が期待されています。このため,県としてもマスメディアに対
し,情報の提供に努めます。

第5章 各人権課題に対する取組の推進
 人権教育・啓発に当たっては,普遍的な視点からの取組と具体的な人権課題に即した個
別的な視点からの取組が必要です。
各人権課題について,個別計画や分野別の施策等に基づきこれまで進められてきた取組
を踏まえながら,人権教育・啓発の積極的な推進を図ります。

1 女性
(1)現状と課題
 国際社会においては,国際連合は昭和50年(1975年)を「国際婦人年」と定め,これに続
く10年間を「国連婦人の10年」と位置づけ,女性の地位向上のための様々な運動に取り組
みました。特に,昭和54年(1979年)国連総会で採択された「女子差別撤廃条約」は,「固
定化された性別役割分担」を見直し,事実上の男女平等を達成しようとするものでありま
す。また,平成7年(1995年)の第4回世界女性会議で採択された「北京宣言及び行動綱領」
では,「女性に対する暴力」,「女性の人権」,「意思決定過程への女性の参画」など,男女
平等の達成に向け各国政府が取り組むべき重要課題を定めています。
 このような国際社会の取組や法の下の平等を定めた日本国憲法の理念を受けて,日本で
は,昭和52年(1977年)の「国内行動計画」の策定以来,男女平等の実現に向け積極的に取
り組んでいます。平成11年(1999年)6月から施行された「男女共同参画社会基本法」では,
男女が性別にかかわりなく,その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画
社会の実現を最重要課題と位置づけています。この基本法に基づき,※男女共同参画社会を
形成するための具体的な道筋を示す「※男女共同参画基本計画」が平成12年(2000年)12月に
決定されています。
 また,配偶者等からの暴力や職場等における※セクシュアル・ハラスメントなどの女性に
対する暴力も,多くの人々にかかわる社会的問題であり,重大な人権問題であるとの認識
が深まり,「ストーカー行為等の規制等に関する法律」や「配偶者からの暴力の防止及び
被害者の保護に関する法律」などが施行されています。
 こうした中,本県においても,国際的な取組や国の施策に連動し,これまで男女平等の
達成や女性の地位向上に向けた施策を積極的に展開してきました。平成9年(1997年)3月
に「※徳島県女性総合計画」を策定したほか,男女共同参画プラザ「はばたき」を設置し,
各種講座や女性総合相談事業を実施するなど,男女共同参画を推進してきました。
 さらに,平成14年(2002年)4月から「※徳島県男女共同参画推進条例」を施行するととも
に,平成15年(2003年)11月には,今後3年間で早急に取り組むべき主要課題とその推進方
策を取りまとめた「※とくしま男女共同参画実行プラン」を策定し,積極的に男女共同参画
を推進しています。また,本県における男女共同参画を推進するための核となる本格的な
拠点施設についても,早期実現を図ることとしています。
 しかしながら,性別による固定的な役割分担意識やこれに基づく慣習・慣行が依然とし
て残されていることや男女平等及び人権尊重の意識が十分に根づいていないことなどか
ら,政策方針決定過程への女性の参画,家庭・職場・地域などにおける男女の役割や活動
など,多くの分野で事実上の男女平等が実現していない状況があります。
 今後とも,「男女共同参画社会基本法」や「徳島県男女共同参画推進条例」に基づき,
男女共同参画社会の早期形成を目指す必要があります。

(2)施策の基本的方向
ア 政策・方針の決定過程への男女共同参画
 県の審議会等委員への女性の参画拡大を一層推進するとともに,県職員の男女共同参画
を促進するため,女性職員の管理職への登用,職員研修の実施及び女性の職域の拡大を推
進します。
 また,講座・セミナー等を開催することにより,女性の※エンパワーメントを促進し,リ
ーダーとなる人材を養成します。

イ 個人の尊厳と男女平等の確立
 男女平等及び人権尊重の意識が定着すること並びに男女共同参画に関する認識が深まる
ことを目指して,学校・家庭・地域など社会のあらゆる分野において,教育・啓発活動の
充実を図ります。
 ※夫・パートナーからの暴力,セクシュアル・ハラスメントなど女性に対するあらゆる暴
力の根絶に向けて,幅広い取組を総合的に推進します。特に,配偶者からの暴力の防止や
被害者の救済と自立支援を図るため,配偶者暴力相談支援センター機能の充実や広報啓発
活動を推進します。

ウ 男女の役割分担に関する社会の制度又は慣行の見直し
社会における制度や慣行の中には,「男は仕事,女は家庭」といったような性別に基づ
く固定的な役割分担意識等を反映して,結果として男女の活動の選択を妨げているものが
あります。このため,性別に基づく固定的な役割分担意識と社会制度・慣行の見直しを男
女共同参画の視点に立って行うよう,教育・啓発活動を行います。

エ 男女共同参画と健康・医療の視点
 思春期,妊娠・出産期,更年期等多様な※ライフステージに応じた女性の健康や医療を巡
る様々な問題に関する相談体制を充実するほか,生涯にわたる男女の健康づくりを推進す
るための啓発活動や学習機会の充実に努めます。

オ 就業の分野における男女共同参画
 雇用の分野における男女共同参画を推進するため,「雇用の分野における男女の均等な
機会及び待遇の確保等に関する法律」(男女雇用機会均等法)等の周知など啓発活動を行い
ます。働く女性,共働き世帯を支援する保育サービスの実施や育児休業取得促進など,仕
事と子育て等が両立するための環境整備を図ります。
 また,農山漁村における女性の自立支援のため,※家族経営協定の締結を促進するなど,
自営業者等における男女共同参画を推進します。

カ 国際社会における男女共同参画
 国際的視野と国際協力の精神を持って,男女共同参画を推進する人材の養成に努めると
ともに,国際理解を深めるための情報や場の提供を図ります。

2 子ども
(1)現状と課題
 21世紀を担う子どもが心身ともに健やかに育つことは,県民すべての願いです。
我が国では,日本国憲法の精神に則り,昭和22年(1947年)に「児童福祉法」が,昭和26
年(1951年)に「児童憲章」が制定され,子どもの人権尊重とその心身にわたる福祉の保障
及び増進に関する関係諸施策が進められてきました。
 さらに,平成6年(1994年)に「児童の権利に関する条約」を批准し,子どもの最善の利
益を優先させるという条約の精神に沿って,平成11年(1999年)に「児童買春,児童ポルノ
に係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」を,平成12年(2000年)に「児童虐待
の防止等に関する法律」を制定しました。さらに,我が国における急速な少子化の進行等
を踏まえ,次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ,かつ,育成される環境の整備を図
るため,平成15年(2003年)に「※次世代育成支援対策推進法」を制定するなど,個別立法に
よる対応も進められています。
 本県においても,平成13年(2001年)に「※とくしま子ども未来21プラン」を,平成14年(2
002年)に「※とくしま青少年プラン21」を策定し,「児童の権利に関する条約」の具現化や
※児童虐待の防止,人権教育の推進など,子どもたちの人権が尊重され,保障される環境づ
くりを進めています。
 また,県及び市町村等において,「次世代育成支援対策推進法」に基づく平成17年(2005
年)4月からの具体的な行動計画の策定作業が進められています。
 しかしながら,少子化の進行,都市化や核家族化,高度情報化の進展など,社会情勢の
急激な変化を受け,家庭や地域社会における子育て機能が低下する中で,有害情報の氾濫
や性の商品化など,子どもを取り巻く環境は益々悪化しており,本県においても,いじめ
や不登校などの問題に加え,近年,児童虐待や子どもの性被害などが新たな社会問題とし
て現れています。
 こうした状況を踏まえ,子どもへのあらゆる暴力の根絶やいじめ問題の早期解決等に向
けた推進体制の充実,関係機関の連携強化等に努めるとともに,子どもの人権についての
正しい理解と認識を促進するための社会全体の意識改革を図っていく必要があります。

(2)施策の基本的方向
ア 子どもの権利の尊重
 「児童憲章」や「児童の権利に関する条約」の趣旨を踏まえ,すべての子どもが差別や
権利の侵害を受けることなく,一人の人間として人権が最大限に尊重され,自己実現を図
ることのできる「子どもの人権が保障される社会」の実現に向け,あらゆる機会と媒体を
活用した啓発活動を推進するとともに,その具現化に努めます。
 学校においては,「児童の権利に関する条約」の存在を子どもに周知するとともに,そ
の理念や内容についての理解を深める教育を推進し,子ども一人ひとりの人権を尊重した
教育や学校運営を行います。
 また,子どもから見た目線を大切にする中で,子どもたちが主体的に取り組む活動を地
域全体で支え,地域における仲間づくりを推進します。さらに,社会教育においても,子
どもの人権の重要性についての正しい理解と認識を深めるために,公民館等の社会教育施
設における学習機会の充実に努めます。
 家庭においては,保護者がその責任を自覚して親権を正しく行使し,子どもの権利が尊
重され,互いに支え合う豊かな家族生活が送れるよう啓発に努めるとともに,地域社会や
職場に対しても,子どもの人権と子育て家庭に対する理解と支援が得られるよう啓発に努
めます。

イ 児童虐待防止の取組
 児童虐待は子どもの人権の著しい侵害であることから,「児童虐待の防止等に関する法
律」の周知とともに,児童虐待の発生予防,早期発見,早期援助及び再発防止を行うため
の体制づくりに努めます。
 このため,児童相談所や福祉事務所,市町村等の相談支援体制を強化するとともに,学
校,警察,保健所,児童福祉施設等との連携による※地域支援ネットワークの形成を図って
いきます。
 また,子どもへの援助に当たっては,人権の尊重を基本とした取組を一層進めるため,
研修等を通じ関係者の資質の向上に努めます。

ウ いじめ問題等への取組
 いじめや不登校等は,子どもの人権にかかわる重大な問題であり,早急に解決しなけれ
ばならない人権課題の一つです。学校は,子どもたちが楽しく生き生きと活動できる場所
であり,かつ一人ひとりが大切にされなければならない場所です。
 このため,学校教育においては,子どもの立場に立った学校運営という視点に立ち,体
験的な学習を取り入れ,子どもたちが学ぶ喜びや成就感を味わい,生きる力を育めるよう
な教育内容を創造するなど,一人ひとりが生き生きと活動できる学校づくりに努めます。
 また,教職員の資質の向上と生徒指導体制の充実を図るとともに,学校・家庭間の連携
はもとより,地域社会や関係諸機関との連携を深め,それぞれが一体となっていじめや校
内暴力,不登校等の問題に対応できるような体制づくりを進めます。

エ 健全育成の取組
 子どもたちを取り巻く環境は,少年非行の凶悪化や粗暴化の傾向が指摘されている一方
で,犯罪による被害を受ける少年の数が増加しているほか,いわゆる出会い系サイトを介
した犯罪や児童買春・児童ポルノなど子どもの健康や福祉を害する犯罪も多発していま
す。
 このため,「※徳島県青少年保護育成条例」の効果的な運用を図り,家庭,学校,地域や
関係機関,団体等との連携の下,子どもたちを取り巻く社会環境の浄化活動の促進等の取
組を進めます。
 また,21世紀を担う子どもたちがその個性や能力をいかんなく発揮し,人権思想や豊
かな国際性を身につけ活躍できる環境や条件を整備していくことが重要です。
 このような認識に立ち,家庭や学校,地域社会や職場,行政の各領域が緊密な連携を図
り,何が子どもの立場に立った健全育成なのかという視点から,環境や福祉等のボランテ
ィア活動,自然とのふれあい等自主的,主体的な活動を促進し,「共に育む豊かな心と
生きぬく力」を目指すべき方向として,県民挙げて子どもの健全育成に努めます。

オ 教育相談体制の充実
 子どもたちの悩みや要望を積極的に受容できるよう,学校における教育相談体制の一層
の充実を図ります。
 また,各種の研修により教職員の資質の向上を図るとともに,※臨床心理士等の専門家を
派遣し,関係機関と密接な連携を図るなど,総合的な取組を推進します。
 さらに,家庭教育に関する保護者を対象とした学習機会や情報の提供,子育てに関する
相談体制の整備など,家庭教育を支援するための取組を充実します。

3 高齢者
(1)現状と課題
 我が国は,平均寿命の延びと出生率の低下により,急速に高齢化が進んでいます。こう
した高齢化の進展に伴い,寝たきり等の介護を必要とする高齢者の増加が見込まれていま
す。また,少子化や核家族化などの社会環境の変化に伴い,ひとり暮らしや高齢者夫婦の
みの世帯が増加してきています。
 国においては,平成7年に社会全体として高齢社会対策を推進していくため,国及び地
方公共団体の責務等を明らかにした「高齢社会対策基本法」が制定されました。また,家
庭における扶助や介護の機能の低下等を背景に,高齢期における最も大きな不安要素とな
っていた高齢者介護については,社会全体で介護を支える新たな仕組みとして,※介護保険
制度が平成12年(2000年)4月から施行されています。
 一方,本県では,全国平均より約10年早く高齢化が進んでおり,今後,人口に占める65
歳以上人口の割合である高齢化率は,平成22年(2010年)に25.5%,平成32年(2020年)に
は31.0%に達すると予測されています。
 現在,本県では,介護保険サービスをはじめ,高齢者の保健・福祉サービスの具体的な
目標や生きがいづくり等の方針をまとめた「※徳島県高齢者保健福祉計画」,いわゆる「と
くしま長寿プラン」を平成15年(2003年)3月に改訂し,広く県民の参加と協力を得ながら,
市町村等とも連携して必要な保健・福祉サービスの体制整備に努めています。
 しかしながら,一方では高齢者の人権に関する問題として高齢者に対する身体的・精神
的な虐待や財産権の侵害のほか,敬老理念の希薄化や社会参加の困難性などが指摘されて
います。また,職業生活からの引退や配偶者との死別などにより,孤独感に陥ったり,生
きがいを失うなどの問題もあります。
 こうした状況を踏まえ,高齢者が住み慣れた地域や家庭で人間としての尊厳を保ちなが
ら,安心して生活できるよう,高齢者個人の状況や多様なニーズに対応した保健・福祉サ
ービスの提供をはじめ,社会参加の促進や相談体制の強化など,地域社会全体で高齢者の
人権に配慮し,高齢者やその家族を支援していく体制づくりや高齢者の権利を擁護する仕
組みの普及・充実が重要な課題となっています。
 そして,県民すべてが健康で生きがいを持って過ごすことのできる地域社会を築くため
にも,高齢者に対する尊敬や感謝の心を育て,ともに高齢社会を支え合う県民意識の醸成
を図っていく必要があります。

(2)施策の基本的な方向
ア 高齢者の人権を尊重する長寿社会づくり
 高齢化がもたらす様々な課題は,現在の働き盛りの世代や将来の担い手である子どもた
ちを含めた県民すべての課題でもあります。
 このため,関係機関等と十分に連携を進める中で,すべての県民が豊かな長寿社会づく
りへの理解と関心を深めることができるよう,敬老県民の集いや徳島県健康福祉祭の開催
をはじめ,敬老理念の普及を推進する様々な事業を積極的に推進します。
 また,高齢者がこれまで果たしてきた役割や功績を踏まえ,高齢者に対する尊敬や感謝
の心と高齢者個人の尊厳を守る心を育てるとともに,高齢社会に関する基礎的理解や介護
・福祉の問題などに関する理解を深める教育を推進します。

イ 社会参加活動の促進
 生涯学習やスポーツ,ボランティア活動をはじめ短期的・臨時的な就労など,高齢者の
積極的な社会参加は,高齢者自身の生きがいづくりや健康の保持・増進ばかりでなく,地
域社会の活性化や相互理解,さらには世代間の交流を促進します。
 このため,とくしまシルバーカレッジ事業やシルバー人材センターの充実を図るほか,
関係機関と連携しながら高齢者の様々な社会参加活動等を支援することにより,高齢者が
社会の重要な構成員として敬愛されるような環境づくりや意識の醸成に努めます。

ウ 高齢者支援体制の充実
 高齢者虐待や孤独死等が指摘されている中で,虐待その他高齢者に対する人権侵害の発
生を予防するためには,地域におけるきめ細かな支援体制が必要です。
 このため,ひとり暮らし高齢者等の安否確認や孤独感の解消をはじめ,高齢者の権利擁
護に関する支援を強化するとともに,高齢者総合相談センターや在宅介護支援センター等
の相談機能を充実するなど,市町村や関係機関等と十分連携し,地域の高齢者の人権擁護
に関する支援体制の強化に努めます。

エ 保健福祉サービスの充実
 介護サービスをはじめ,要介護状態にならないよう予防するサービスや個々の高齢者の
状況に応じた生活支援サービスなど,高齢者の生活をとりまく保健福祉サービス全般の中
においては,高齢者自らの希望と選択を踏まえるとともに,高齢者一人ひとりの人格を尊
重したサービスを提供していくことが重要です。
 このため,各種の保健福祉サービスの質の向上を図る中で,介護従事者や家族介護者等
に対し,処遇や介護に関する技術・知識の普及とともに人権尊重の意識づくりを推進しま
す。

4 障害者
(1)現状と課題
 我が国が目指すべき社会は,※リハビリテーション及び※ノーマライゼーションの理念のも
と,障害の有無にかかわらず国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支えあう「共生社会」
とする必要があります。
 このような社会を実現するため,国際連合では昭和50年(1975年)に「※障害者の権利宣言」
を決議し,昭和56年(1981年)は「国際障害者年」として世界各国において様々な活動が実
施されたほか,「国連・障害者の十年」(昭和58年(1983年)~平成4年(1992年)),「アジア
・太平洋障害者の十年」(平成5年(1993年)~平成14年(2002年))の取組が行われました。
 このように,障害者を取り巻く国際的な情勢が大きく変化する中,我が国においても,
国際障害者年に対応して「国際障害者年推進本部」を設置し,障害者の「※完全参加と平等」
を実現するための社会づくりを目指して障害者施策の推進に当たることとなりました。
 さらに障害者の自立と社会参加をより一層推進するため,平成5年(1993年)12月に「障
害者基本法」が施行され,平成14年(2002年)12月に,生活支援,保健・医療など8つの分
野について施策の基本的方向を定めた「障害者基本計画」を策定し,現在,関係省庁一体
となって横断的,総合的な施策推進を図っているところです。
 また,平成16年(2004年)6月には障害者基本法が一部改正され,基本的理念として「何
人も,障害者に対して,障害を理由として,差別することその他の権利利益を侵害する行
為をしてはならない」ことが加えられ,法律上も障害者に対する差別の禁止が明確にされ
ました。
 本県においてもこのような国の動きに合わせ,平成15年(2003年)3月に,社会状況の変
化及び新たな時代のニーズ等に対応するための重点施策の実施計画を盛り込んだ「※徳島県
障害者施策新長期計画」を策定し,現在,行政,民間事業者,関係団体等のすべての県民
の連携の下,各種の施策を推進することとしています。
 また,平成8年(1996年)3月には「※徳島県ひとにやさしいまちづくり条例」を公布し,
建物や道路,公園等のバリアフリー化を推進し,障害者や高齢者をはじめとしたすべての
県民にとって安全かつ快適な「ひとにやさしいまちづくり」にも取り組んできました。
 こうした取組により,障害者に対する理解や,偏見といった心の※バリア(障壁)も解消さ
れつつあり,障害者自らの力で,その人らしく生きがいをもって暮らせるよう支援する体
制も徐々に整いつつあるなど,障害者自身の自立や社会参加への意識も高まってきていま
す。
 しかしながら,障害があることによる差別や偏見など,障害者を取り巻く社会環境面に
おいては,ハード,ソフトの両面にわたる障壁があることも事実であり,依然として課題
も残されています。
 このため,障害者の活動を制限し,社会への参加を制約している諸要因を除去するとと
もに,障害者が自らの能力を最大限発揮し自己実現できるよう支援することが重要であり,
そのためのより一層の取組が求められています。

(2)施策の基本的方向
ア 障害者の人権についての理解の促進
 障害者の人権について理解を深めるためには,広報・啓発を通して心のバリアをなくし,
お互いの人権を認めあうことが大切であり,ノーマライゼーションの考え方についても一
層普及する必要があります。
 このため,これまでも各種の啓発・広報活動を行ってきましたが,今後も,「障害者週
間」(12月3日~9日)を中心に,なお一層の充実を図り,「心のバリアフリー」の実現を
目指します。
 また,学校教育や社会教育において,障害や障害者に対する理解及び社会的支援や介助
・福祉のあり方などに関する理解を深める教育を推進します。

イ 交流・ふれあいの促進
 真のノーマライゼーションを実現するためには,スポーツや文化活動,各種の交流イベ
ントにおいて実際に障害者と交流し,お互いに理解し合うことが大切です。
 このため,現在,障害者の活動と交流の拠点となる「障害者交流プラザ(仮称)」の整備
を進めているところであり,各種のスポーツ大会や交流イベントを開催し,障害者はもち
ろん幅広い県民の参加を求め,交流・ふれあいを促進します。
 また,障害者に対する理解と認識を促進するため,幼・小・中・高等学校や地域におけ
る交流教育の充実を図ります。

ウ 特別支援教育(障害児教育)の充実
 「障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて,その一人ひとりの教育的ニーズを把
握して,適切な教育や指導を通じて必要な支援を行う」という特別支援教育を推進するこ
とがこれからの課題であり,その支援のあり方を検討します。
 最も適切な教育を考えるための就学指導・就学相談のあり方を支援するためには,就学
指導・就学相談にかかわる専門家の養成が必要であり,特別支援教育に係る教職員の資質
と専門性の向上を図るため,専門的で実践的な研修会や研究会等を開催します。
 また,個別の教育支援計画を作成し,福祉・医療・労働等の関係機関と連携・協力しな
がら,多様な障害のニーズに対応した教育支援の充実を図ります。

エ 雇用対策の推進
 障害者の地位の向上を図るため,労働,福祉,教育等の関係機関が連携して,きめ細か
な就業支援と生活支援を総合的に実施し,就業の促進と雇用の安定を図ることにより,障
害者の自立を促進します。
 また,雇用機会の確保と拡大を図るため,個々の能力や適性に応じた職業能力開発を促
進するとともに,※法定雇用率の達成が重要であるとの認識のもと,事業主に対して,障害
者雇用に関する啓発活動を推進します。

オ 社会参加の促進
 共生社会とは,障害者も社会の対等な構成員として人権を尊重される社会であり,その
ためには,障害者の活動を制限したり,社会への参加を制約する要因を除去する必要があ
ります。
 このため,「徳島県ひとにやさしいまちづくり条例」に基づき,バリアフリー社会の実
現に向けた各種施策の総合的な推進を図ります。

5 同和問題
(1)現状と課題
 同和問題は,昭和40年(1965年)の同和対策審議会答申において,「人類普遍の原理であ
る人間の自由と平等に関する問題であり,日本国憲法によって保障された基本的人権にか
かわる課題」とされ,そして「その早急な解決こそ国の責務であり,国民的課題である。」
と指摘されています。
 このことを踏まえ,国においては,同和問題の早期解決を図るため,昭和44年(1969年)
の「同和対策事業特別措置法」(同対法)の施行以来33年間,3度にわたり制定された特別
措置法に基づく特別対策を中心に,関係諸施策を推進してきました。
 その結果,特別対策については,概ねその目的を達成できる状況になったことから,「地
域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(地対財特法)は経過措置
を含めて,平成13年(2001年)度末をもって終了しました。
 県においても,同和問題の解決は行政の責務であるとの認識のもとに,同和問題の解決
を県政の重点施策と位置付け,国,市町村,関係機関等と連携しながら,各分野において
積極的に施策を推進してきました。
 こうした取組により,生活環境の整備については大きく改善されてきましたが,教育や
就労の問題など格差がなお存在しているとともに,差別意識についても結婚に対する意識
や悪質な差別落書きなどに見られるように依然として根深いものがあり,同和問題が解決
したという状況には至っていません。近年ではインターネットを使った差別表現などの新
たな問題も生じてきています。
 また,同和問題の解決を妨げている「※えせ同和行為」の問題も残されています。
 このような状況の中,「地対財特法」失効後の同和問題の早期解決を図るため,平成14
年(2002年)3月に「同和問題の解決に向けて(基本方針)」を策定し,計画的に諸施策を推
進しています。今後とも,同和対策審議会答申の精神を踏まえながら,この基本方針に基
づき,同和問題を早期に解決し,人権が尊重された社会の実現を目指す必要があります。

(2) 施策の基本的方向
ア 差別意識の解消に向けた教育・啓発の推進
 同和問題に関する差別意識の解消に向けた教育・啓発については,これまでの同和教育
や啓発活動の中で積み上げられてきた成果・手法を活かしながら,同和問題を人権問題の
重要な柱として捉え,積極的に推進します。
 県民一人ひとりが,同和問題についての正しい理解と認識を深め,差別のない社会の実
現に主体的に取り組むことができるよう,指導者の育成に努めるとともに,体験的参加型
学習やフィールドワーク等の手法を活用した研修会や講演会の開催,さらに,マスメディ
ア等を活用した効果的な教育・啓発を推進します。
 また,各種啓発資料の整備や情報提供の充実に努め,地域に密着したきめ細かな啓発活
動の継続的な取組ができるよう,市町村等の行う講習会や研修会,地域懇談会等への支援
に努めます。
 さらに,結婚及び就職に際しての部落差別事象の発生を防止し,県民の基本的人権の擁
護に寄与することを目的とした「※徳島県部落差別事象の発生の防止に関する条例(平成8
年(1996年)12月施行)」の周知に努めます。
 また,同和問題解決の大きな阻害要因となっている「えせ同和行為」に対処するため,
法務局等関係機関と連携し,排除に向けた取組に努めます。

イ 自立と自己実現を支援するための取組
 同和問題の解決を図るため,同和関係者の自主的な努力を支援し,自立と自己実現を阻
害している諸要因の解消に努めます。
 教育については,基本的生活習慣を確立し,主体的に学習する態度を身につけ,学力の
向上を図るとともに,一人ひとりの希望や適性に応じ,自己実現をめざすための進路指導
の充実を図ります。
 就労については,本人の適性と能力に応じた雇用の促進,職業の安定を引き続き図って
行く必要があるため,地域の実情に応じたきめ細かな職業相談や職業能力の開発を行いま
す。
 また,企業に対しては,公正な採用による就職の機会均等と人権問題についての正しい
理解と認識が必要であることから,就職差別解消のための啓発を行うとともに,公正な採
用システムや人事管理体制が確立されるよう適切な対応に努めます。
 生活環境や福祉・保健及び産業等の分野において,残された課題の解決に向けては,一
般施策を工夫し,有効に活用してその解決を図ります。

ウ 地域交流を促進するための取組
 同和問題の解決を図るためには,広域的な地域の住民が,交流を図ることを通じて相互
理解を促進し,その地域が一体となったコミュニティを形成することが有効です。
 社会福祉施設である隣保館については,広域的な地域社会全体の中で,福祉の向上や人
権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとしての役割が担えるよ
う,関係機関と連携して取り組むとともに,関係職員の資質向上のための研修や広報活動
等への支援に努めます。
 また,社会教育施設である公民館等においても,学校・家庭・地域・関係機関等との一
層の連携を図りながら,同和問題の解決に向けた系統的で持続的な取組を推進します。

6 外国人
(1)現状と課題
 近年の著しいグローバル化,ボーダレス化の進展に伴い,県内に在留する外国人が急速
な勢いで増えつつあります。本県の外国人登録者数は,平成5年(1993年)からの10年間で
約3.6倍に増加し,平成15年(2003年)末で約5,400人に達しています。その多くは,中国
をはじめとするアジア諸国の人々で占められています。また,留学・就労等による一時滞
在者のみならず,結婚等により県内に永住する人々も増加しています。
 本県では,市町村や(財)徳島県国際交流協会等の民間団体と連携しながら,国際化の進
展に対応した教育啓発活動の推進や,外国語による情報提供,相談支援体制の整備といっ
た外国人が暮らしやすい環境づくりに努めてきました。
 しかしながら,現実には,外国人に対する理解不足から差別や偏見が見受けられるとと
もに,言語,習慣,制度,文化等の違いから,住居,労働,福祉,医療,教育等の様々な
分野で問題が生じています。
 また,我が国の歴史的経緯に由来する在日韓国・朝鮮人等に対する偏見や差別意識が依
然として残っています。
 今後,外国人であるがゆえの偏見や差別の解消に向けて,異なる国籍・文化的背景をも
った人々が,さまざまな文化や多様性を認め合いながら,地域の同じ一員として尊重しあ
い,安心して暮らせる地域社会を形成する必要があります。

(2)施策の基本的方向
ア 多文化共生・多文化理解の促進
 共生社会の理念のもとで,多様な価値観との出会いや相互のふれあいのなかから,新し
い文化や活力を生み出すことができる環境の整備を図るため,県民と外国人との一層の交
流の促進を図ります。
 また,県民が外国語やそれぞれの国の文化を学び,外国人が日本語や日本の生活文化を
学ぶ機会の提供を促進します。

イ 外国人が暮らしやすい環境づくり
 保健,医療,福祉,教育など様々な面で,外国人が利用しやすい環境づくりを促進し,
国籍や文化等の違いを超えて,誰もが県民の一員として尊重され,快適で生き生きとした
生活を送れる社会づくりを推進します。
 特に,言葉による障壁を解消し,暮らしやすく活動しやすい環境をつくるため,多言語
による情報提供や相談体制の充実,日本語学習機会の提供等の支援を行います。
 また,標識や案内板などについて,外国語や絵による表示の併記を進めていくなど,わ
かりやすく,親しみやすいまちづくりの促進に努めます。

ウ 国際理解教育の推進
 学校教育においては,外国の文化や伝統を尊重し,外国籍の児童生徒と共に生きていく
資質や態度の育成に努めます。併せて,在日韓国・朝鮮人の人たちが,日本で暮らすこと
になった歴史的な経緯や社会的な背景が正しく理解されるように努めます。
 また,外国籍の児童生徒に対して,日本語・文化の習得に配慮するとともに,民族性な
どを尊重した教育を推進します。

エ ※外国人研修生・技能実習生への対応
 外国人研修・技能実習制度は,民間の企業等が外国人を受け入れて,我が国の技術等
を開発途上国に移転することにより,開発途上国の経済発展に寄与することを目的とした
制度です。
 しかし,本制度の趣旨が企業等に十分理解されていないことから,研修手当や賃金を巡
るトラブル,失踪などの問題等が発生しています。
 このため,企業をはじめ広く県民に対して,本制度の目的や内容についての啓発や広報
を進めるとともに,関係機関等を中心とした支援ネットワークの構築,トラブルにあたっ
ての労働相談窓口での対応など,外国人研修生・実習生の人権が守られる体制を整備して
いきます。

7 HIV感染者・ハンセン病患者等
(1)現状と課題
 HIV感染症,結核,ハンセン病,※SARS(重症急性呼吸器症候群)等をはじめとする
感染症については,医学的・科学的認識が十分でないことから,誤った認識や偏見が生ま
れ,このことから感染者や患者等に対する様々な人権問題が生じています。
 HIV感染症は,血液等体液に含まれるHIVというウィルスが傷や粘膜から侵入して
おこる感染症で,HIVによって引き起こされる免疫不全症候群のことをエイズ(AID
S)と呼んでいます。エイズ患者やHIV感染者に対しては,正しい知識や理解の不足か
ら,これまでにも多くの偏見や差別意識が生まれ,そのことが原因となって就職拒否や職
場解雇,アパートへの入居拒否,立ち退き要求など社会生活の様々な場面での人権問題と
なって表れています。
 しかし,HIV感染症は,感染経路が特定されている上,感染力もそれほど強いもので
ないことから,通常の日常生活を送る限り,いたずらに感染を恐れる必要はなく,近年に
おいては医学の進歩により,薬でエイズの発症を遅らせたり,症状を緩和させたりするこ
とが可能となってきています。
 次に,ハンセン病は,らい菌による感染症です。らい菌は感染力が弱いため感染しても
発病する可能性は極めて低く,発病しても現在では治療薬があるため完全に治る病気です。
また治療して治った人からは感染しませんし,遺伝病でないことも判明しています。
 それにもかかわらず,平成8年(1996年)4月に「らい予防法」が廃止されるまでは,国
による強制隔離政策がとられ続けたこと,発病した患者の外見上の特徴から特殊な病気と
して扱われたことなどから「うつりやすく恐ろしい病気」という間違ったイメージが定着
したものです。
 こうしたことにより,ハンセン病療養所入所者の多くは,家族や親族,社会との関係が
絶たれ,また高齢の方が多いことなどから,病気が完治していても地域社会へ帰りにくく,
療養所に残らざるを得ないなど,社会復帰が困難な状況にあり,自然体での交流ができる
ような地域社会づくりを,早期に進めていく必要があります。
 このような感染症に関する人権侵害をなくすため,正しい知識の普及啓発に努めるとと
もに,感染症患者等が,地域において安心して普通に生活できる社会を実現していく取組
が必要です。
 なお,平成10年(1998年)10月に公布された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医
療に関する法律」においては,こうした過去の苦い事実を重く受け止め,これを教訓とし
て感染症の患者等の人権に十分な配慮を払うこととされています。

(2)施策の基本的方向
ア 感染症等に対する正しい知識の普及啓発
 感染症患者やその家族等に対する偏見や差別意識を払拭し,人間としての尊厳と自由を
認めあい,ともに生きる社会をつくるためには,何よりも感染症に対する正しい知識の普
及啓発が大切であり,着実な普及啓発活動を推進します。
 エイズに関しては,若年層に対する知識の普及啓発に努めるとともに,「世界エイズデ
ー」に合わせた普及啓発活動などを実施します。
 ハンセン病に関しては,「ハンセン病を正しく理解する週間」に合わせた普及啓発活動
やハンセン病療養所入所者との交流会の実施,市町村における啓発活動の支援に努めます。

イ 感染症関係者の研修
 感染症患者やその家族等のプライバシーの保護,人権尊重のため,保健所等の相談・検
査担当者をはじめ,感染症関係者の研修を実施します。

ウ 学校教育の充実
 学校教育において,HIV感染症をはじめとする感染症についての正しい知識の普及を
図るとともに,感染者,患者,元患者に対する理解を深め,人間尊重の精神の高揚を図り,
偏見や差別をなくす教育を推進します。
 また,そのための教材の開発や教職員・社会教育指導者の研修を推進します。

エ 自立・社会参加の支援
 HIV感染者等に関しては,保健所等における相談・検査体制の充実に努めるとともに,
感染症患者やその家族等への精神的な援助を行うため※エイズカウンセラーの派遣事業を実
施します。
 ハンセン病回復者に関しては,ハンセン病療養所入所者の里帰り事業や療養所訪問事業
等を実施し,社会復帰への支援に努めます。

8 犯罪被害者等
(1)現状と課題
 犯罪被害者やその家族は,犯罪行為により,生命や身体,財産に対して直接的な被害を
受けるだけでなく,事件に遭ったことにより精神的ショックを受け,その後の日常生活に
支障を来したり,医療費の負担や失業・転職等によって経済的に困窮する場合もあります。
 また,捜査や裁判の過程で精神的負担や時間的負担を感じたり,近隣のうわさ話やマス
メディアの取材・報道等により,被害後に新たに生ずる様々な問題に苦しめられるケース
も認められます。
 このような実態を踏まえ,平成8年(1996年)2月に警察庁から「被害者対策要綱」が示
され,全国の警察では総合的な犯罪被害者等への支援対策に取り組んでいます。
 また,犯罪被害者等に対する支援を求める社会的な気運の高まりを受けて,「犯罪捜査
規範」の改正,「ストーカー行為等の規制等に関する法律」の制定,「犯罪被害者等給付金
の支給等に関する法律」の20年ぶりの全面的改正や「犯罪被害者等基本法(平成16年(20
04年)12月成立)」の制定など,次々と犯罪被害者等の権利や利益を保護するための制度
の整備がなされてきました。
 県内においても,平成11年(1999年)6月に副知事を長とする県犯罪被害者支援連絡協議
会を立ち上げ,支援の輪を広げるとともに,警察本部内に犯罪被害者相談所を設けて被害
者等からの相談に応じたり,必要によりカウンセリングを実施するなど,犯罪被害者等の
立場に立った諸施策を推進しています。
 しかしながら,犯罪被害者等のニーズは実に多様であり,犯罪被害者等が安全で安心な
生活を送ることができるようにするためには,社会全体で犯罪被害者等を支えていく気運
を醸成するとともに,支援体制の整備や充実を図る必要があります。

(2)施策の基本的方向
ア 犯罪被害者等の人権の配慮に向けた教育・啓発の推進
 県民一人ひとりが犯罪被害者等の人権に配慮した社会の実現をめざし,犯罪被害者等へ
の理解を深めるための教育・啓発を推進していきます。
イ 犯罪被害者等に対する支援の充実
 「指定被害者支援員制度」等に基づき,犯罪被害者等のニーズに応じた支援活動や事件
に関する情報提供を更に推進するとともに,相談やカウンセリング体制の充実を図るため,
カウンセリング等の専門家との連携に努めていきます。
 また,県犯罪被害者支援連絡協議会や各警察署単位の犯罪被害者支援連絡協議会を柱と
した関係機関・団体,個人との連携強化による支援の輪を広げていきます。

9 刑を終えて出所した人等

(1)現状と課題
 刑を終えて出所した人,執行猶予の判決を受けた人,非行を犯し保護観察処分を受けた
人などが社会の一員として立ち直ろうとしていても,地域社会において根強い偏見や差別
意識があることから,就職に際しての差別や住居等の確保が困難であるなど,更生への妨
げや人権が損なわれるおそれがあります。
 また,それらの人の家族の人権が侵害されることもあります。

(2)施策の基本的方向
 犯罪や非行を犯した人が更生するには,本人の強い意志や行政機関の働きかけのみなら
ず,家族や職場,学校,地域社会など周囲の人たちの正しい理解と協力により,その立ち
直りを支えることが大切です。
 このため,犯罪や非行を犯した人への差別や偏見の解消をめざし,関係機関や保護司会
などの更生保護を目的とする関係団体と連携・協力して,教育・啓発の推進に努めます。

10 インターネットによる人権侵害
(1)現状と課題
 インターネットは,情報通信技術の飛躍的な進展により急速に普及し,今や県民生活の
利便性の向上にとって必要不可欠なものとなっています。
 しかしながら,インターネットには,発信者に匿名性があり,情報発信が容易にできる
うえ,不特定多数の者が受信できるという側面があることから,人権侵害にかかわる情報,
あるいは暴力や卑わい情報などのいわゆる有害情報が発信されていることも事実です。
 このため,国において,平成14年(2002年)5月,インターネット等において権利の侵害
が発生した場合における,※プロバイダー等による迅速かつ適切な対応を目的に,「特定電
気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(プロバイ
ダー責任法)が施行されました。
 インターネットによる人権侵害を防止するためには,プロバイダー等が適切な対応を講
じるとともに,利用者がその責任等を十分に自覚することが必要です。

(2)施策の基本的方向
ア 情報モラルの向上に向けた取組
 「プロバイダー責任法」の趣旨等を踏まえ,国等と連携しながら,プロバイダー等に対
し,有害情報への適切な対応を促すとともに,利用者一人ひとりが,情報の収集・発信に
おける個人の責任や情報モラルについて理解が深められるよう啓発に努めます。

イ 学校における情報教育の推進
 インターネットによる人権侵害の発生を未然に防ぐため,情報に関する教科をはじめ,
総合的な学習の時間など,様々な学習機会をとらえ,インターネット上の違法・有害情報
やネットワーク犯罪への対応方法,知的所有権やプライバシー保護の在り方等についての
学習を推進します。
 また,情報教育を通じて,溢れる情報の中から正しい情報を主体的に判断できる能力の
育成や,情報化の影の部分についての理解を深め,確かな人権感覚に基づく情報モラルを
身につけさせるよう努めます。

11 アイヌの人々
(1)現状と課題
 アイヌの人々は,北海道を中心に先住していた民族であり,固有の言語であるアイヌ語
や,自然との共生を基本とした信仰や風俗習慣,ユーカラなどの口承文芸など独自の文化
や伝統を発展させてきました。
 しかし,アイヌの人々の民族としての誇りの源泉であるその文化や伝統は,江戸時代の
松前藩による支配や,明治維新後の北海道開拓の過程における同化政策などにより,今日
では十分な保存や伝承が図られているとはいいがたい状況にあります。
 また,アイヌの人々の経済状況や生活環境,教育水準等は,これまでの北海道ウタリ福
祉対策の実施等により着実に向上してきているものの,アイヌの人々が居住する地域にお
いては,他の人々との格差がなお認められるほか,結婚・就職等における偏見や差別の問
題が根強く存在している状況にあります。
 平成9年(1997年)5月,アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現を図
るとともに,我が国の多様な文化の発展に寄与することを目的とした「アイヌ文化の振興
並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」(アイヌ新法)が制定さ
れ,現在,アイヌに関する総合的かつ実践的な研究,アイヌ語を含むアイヌ文化の振興及
びアイヌの伝統等に関する知識の普及・啓発を図る施策が推進されているところです。

(2)施策の基本的方向
 アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現を図るため,その独自の文化
や伝統に対し,正しい理解と認識を深める教育・啓発を推進します。

12 様々な人権課題
 以上のほかにも,私たちの社会には,※性同一性障害者や※ホームレスになることを余儀なくされた人々の人権問題,※日本人拉致問題など,人権に関する様々な課題が存在しています。
 今後,国際化や高度情報化,少子高齢化の進展等,社会の急激な変化の中で,ますます
新たな人権問題が発生してくる可能性があります。
 これら様々な人権課題や新たな人権課題に対しても理解と認識を深め,それぞれの問題
の状況に応じた取組を進めます。

第6章 効果的な計画の推進
1 県の推進体制
(1)徳島県人権施策推進本部
 人権教育・啓発を総合的かつ計画的に推進するため,知事を本部長とする「徳島県人権
施策推進本部」を中心として,関係部局の緊密な連携のもとに,この基本計画を推進しま
す。
 関係部局は,この基本計画の趣旨を十分に踏まえ,その所掌する施策に関し,体制の整
備や充実を図りながら,着実かつ効果的に推進していきます。

(2)徳島県人権教育啓発推進拠点(仮称)の整備
 広く県民が気軽に利用し,学習が行える人権教育・啓発推進の中心的役割を果たす拠点
として,教育・啓発・研修機能や相談機能,情報収集・提供機能などを備えた徳島県人権
教育啓発推進拠点(仮称)を整備していきます。

2 国・市町村・関係団体等との連携
 この基本計画に基づき,人権教育・啓発を効果的に推進するためには,社会全体の取組
が必要であり,国や市町村,企業,※NPOをはじめとする民間団体等が,それぞれの役割
と分担をふまえつつ,緊密な連携や協力を図っていくことが重要です。

(1)国・市町村等との連携
 各種の人権教育・啓発を総合的かつ効果的に推進するため,徳島地方法務局,徳島県人
権擁護委員連合会,徳島県人権啓発活動ネットワーク協議会などと,なお一層連携を図っ
ていきます。
 また,市町村は,より県民の生活の場に密着し,地域の実情に応じたきめ細かな取組を
行うことが期待されていることから,啓発情報の提供や啓発事業の支援等,今後とも連携
協力を推進していきます。

(2)関係団体等との連携
 企業やNPOをはじめとする民間団体等は,多種多様な活動を行っており,今後とも人
権教育・啓発の実施主体として重要な一翼を担っていくことが期待されていることから,
連携協力を強化していきます。

3 推進方策
(1)人材の育成
 人権教育・啓発を総合的かつ計画的に推進し,県民一人ひとりが人権尊重の理念につい
て理解を深めるため,様々な人権問題について,職場や地域など県民に身近なところで,
中心的に活動できる指導者の養成を進めていきます。

(2)教育・啓発手法の調査・研究
 県や市町村,民間団体等は,これまで様々な人権教育・啓発に取り組んできており,そ
の手法等に関する調査や研究には多くの実績があります。
 県では,これらの実績をふまえるともに,国の(財)人権教育啓発推進センターや民間の
専門機関との連携・協力を進める中で,より効果的な教育や啓発の手法等について調査・
研究を進めます。

(3)教材,教育・啓発資料の整備・充実
 文献やビデオをはじめとする人権に関する教材,教育・啓発資料は,効果的な人権教育
・啓発を推進していく上で不可欠であり,その整備・充実を進めていきます。
 また,各人権教育・啓発の実施主体が保有する資料等については,相互に有効活用が図
れるよう情報のネットワーク化を進めます。

(4)マスメディアの活用等
 人権啓発の推進にあたり,マスメディアの果たす役割は極めて大きく,県民に対し効果
的に人権尊重の理念の重要性を伝えるためには,マスメディアの積極的な活用が不可欠で
す。
 このため,テレビやラジオ,新聞等のマスメディアを積極的に活用した啓発を行うとと
もに,県の広報誌等についてもその充実を図っていきます。

(5)インターネットなどのIT(情報通信技術)の活用
 情報伝達媒体としてのインターネットは,近年,急速な発展を遂げています。
このため,人権教育・啓発に関する情報に対して,多くの人々が容易に接し,活用する
ことが出来るよう,ホームページの内容の充実や情報端末の効果的な利用を進めていきま
す。

(6)国際交流の推進
 国際交流を通して多様な文化,さまざまな価値観にふれることで,人権意識を高め,豊
かな国際感覚を持つことが重要であり,このため,外国人との交流機会の充実などを通じ,
県民の国際的な人権感覚や人権意識の醸成を図るとともに,学校教育における国際理解教
育の推進などを図ります。

4 進行管理
 この基本計画の推進にあたっては,毎年その実施状況を公表し,点検を行う中で適正な
進行管理を図るとともに,県民の人権意識の把握に努め,その結果を以後の人権教育・啓
発に反映させていきます。

5 計画の見直し
 今後の人権問題を取り巻く国際的な動向やわが国の状況,本県における社会環境の変化
等に的確に対応し,必要に応じた計画の見直しを行います。

用語解説

あ行

インフォームドコンセント
 患者が医療内容について十分な説明を受け,理解・納得して同意すること。

エイズカウンセラー
 エイズカウンセラーは,患者・感染者自身が自分の心の問題や生活上の悩みなどを整理したり,
その解決法を探っていくのを,対話を通じて,ともに手伝う専門家。
 エイズカウンセラー派遣事業は,自治体がエイズカウンセラーを雇い,HIVの医療を行う医
療機関や患者・感染者本人の求めに応じて派遣する制度。

えせ同和行為
 「同和問題はこわい問題である。」という人々の誤った意識に乗じ,同和問題を口実に会社・個
人や官公署などに対し,物品の購入等,不当な利益や義務のないことを求める行為。
 これまで同和問題の解決に真摯に取り組んできた人々や同和関係者に対するイメージを損ねる
ばかりでなく,これまで培われてきた教育や啓発の効果を覆し,同和問題に対する誤った意識を
植え付けるという悪影響を生じさせるなど,問題解決の大きな阻害要因となっている。

NPO
 Non-Profit Organizationの略。民間の非営利活動団体のこと。営利を目的とせず,社会性の高
い事業を行う組織で,特定非営利活動促進法により認証されたNPO法人と任意の活動団体を指
す。

エンパワーメント
 力をつけること。女性のエンパワーメントとは,女性が自らの意識と能力を高め,政治・経済
・社会・文化など社会のあらゆる分野で,自ら意思決定をし,行動できる能力を身につけること。

夫・パートナーからの暴力
 ドメスティック・バイオレンス(DV)とも言われる。
 徳島県男女共同参画推進条例では,この言葉を「配偶者(婚姻の届出をしていないが,事実上
婚姻関係と同様の事情にある者を含む)及び配偶者であった者に対する暴力的行為(身体的又は
精神的に著しい苦痛を与える行為をいう)」と捉えている。
 なお,DVには,身体的暴力,精神的暴力,経済的暴力,性的暴力,子どもを利用した暴力な
どがある。

オンリーワン徳島行動計画
 「全国に誇りうる『オンリーワン徳島』の実現」に向け,平成16 年(2004 年)3月に策定した
本県の行動計画。計画期間を平成18 年(2006 年)度末までの約3年間とし,「ユニバーサルとく
しま」の実現など7つの基本目標を掲げ,これを達成するため重点的に施策や事業を実施するも
の。

か行

外国人研修生・技能実習生
 出入国管理及び難民認定法による研修生の在留資格は「研修」,技能実習生は「特定活動」で,
研修と技能実習の合計期間は3年以内であり,研修1年,技能実習2年が大半となっている。技
能実習生は「労働者」であり,労働基準法をはじめとした労働関係法令が全面適用される。

介護保険制度
 要介護の高齢者等が,自らの選択に基づき必要な介護サービスを受けられるよう,基本的に市
町村が保険者となり,40歳以上のすべての国民を被保険者として運営される制度。

家族経営協定
 農林水産業を営む家族が,経営や家庭生活のル-ルについて話し合い,経営の役割分担や収益
配分,休日などの就業条件等を取り決め,それを家族間の契約として文書にしたもの。

完全参加と平等
 昭和51年(1976年)12月の国連総会で障害者問題解決のために掲げたテーマで,「国際障害者年」
もこれをテーマとしている。障害種別を問わず,すべての障害者が対等な関係において社会に参
加し,自立していこうとする考え方。

公正採用選考人権啓発推進員
 同和問題をはじめとする人権問題の正しい理解と認識のもと,就職面接試験に際して「就職差
別につながるとされる14項目」に抵触する質問等を行わないなど,公正な採用選考を図ること
により,就職の機会均等を確保するため,一定規模以上等の事業所の人事責任者等から選任され
る者。その役割としては,①公正な採用選考システムの確立を図ること②職業安定行政機関と
の連絡に関すること③その他当該事業所において必要とする対策の樹立及び推進に関すること
等がある。

国際人権規約
 昭和41年(1966年)の第21回国連総会で採択された「経済的,社会的及び文化的権利に関する国
際規約」(A規約),「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(B規約),「市民的及び政治的権
利に関する国際規約の選択議定書」及び平成元年(1989年)の第44回国連総会で採択された「市
民的及び政治的権利に関する国際規約の第2選択議定書」の4つからなる規約の総称。世界人権
宣言の精神に基づき,法的拘束力を持つよう条約化したもの。日本は,A規約及びB規約につい
て,昭和54年(1979年)に批准。

さ行

SARS(重症急性呼吸器症候群)
 Severe Acute Respiratory Syndrome の略。新しく発見された感染症で,主な症状は38度
以上の発熱やせき,息切れ等の呼吸器症状である。中国広東省に端を発し,平成15年(2003年)に
香港,北京など中国の他の地域にも拡大し,また,台湾,カナダ,ベトナムなど世界中のいくつ
かの国や地域で流行した。流行の終息後も少数ではあるが症例が確認されている。

次世代育成支援対策推進法
 我が国における急速な少子化の進行等を背景として,次世代の社会を担う子どもが健やかに生
まれ,かつ,育成される環境の整備を図るため,平成15年(2003年)7月に公布。国,地方公共団
体,事業主等の責務及び行動計画の策定等次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進するため
の必要な措置を規定。

児童
 児童とは,「児童福祉法」及び「児童虐待の防止等に関する法律」では,満18歳未満の者をい
い,「学校教育法」では,小学生を指し,生徒とは中学・高校生を指すこととしている。

児童虐待
 親または親に代わる保護者が,18歳未満の子どもの心や身体を傷つけたり,健全な成長や発
達を損なう行為で,身体的虐待,性的虐待,ネグレクト(養育の拒否・保護の怠慢),心理的虐待
の4つに類型される。

児童の権利に関する条約
 平成元年(1989年)に国連総会で採択され,平成2年(1990年)に発効した条約。子どもの意見
表明権,思想・表現の自由,子どもに関する差別の禁止,生命・教育に関する権利,経済的搾取
からの保護など,子どもの権利に関して包括的に規定。日本は平成6年(1994年)に批准。

障害者の権利宣言
 昭和50年(1975年)12月に国連総会で採択された国際的な宣言。障害者が,多様な活動分野に
おいて最大限に能力を発揮し,可能な限り通常の生活を送ることができるよう,この宣言を,障
害者の権利を保護するための共通の基礎及び指針として使用することを要請している。

女子差別撤廃条約
(女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約)
 昭和54年(1979年)に国連総会で採択され,昭和56年(1981年)に発効した条約。女性の権利を包
括的に規定するもので「世界女性の憲法」とも言われている。日本は,国籍法の改正,男女雇用
機会均等法の制定,家庭科の男女共修化など,国内法を整備し,昭和60年(1985年)に批准。

「人権教育のための国連10年」徳島行動計画
 平成7年(1995年)から国際連合が提唱する「人権教育のための国連10年」がスタートし,「『人
権教育のための国連10年』に関する国内行動計画」が策定された。この国内行動計画に沿った
本県としての自主的な取組を展開するため,目標年次を平成16年とし,平成11年(1999年)3月に
策定した。

人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)
 昭和40年(1965年)に国連総会で採択され,昭和44年(1969年)に発効した条約。締結国が
人権及び基本的自由の十分かつ平等な共有を確保するために,あらゆる形態の人種差別を撤廃す
る政策及びあらゆる人種間の理解を促進する政策をすべての適当な方法により遅滞なくとること
等を内容とする。日本は平成7年(1995年)に加入。

性同一性障害
 身体的な性別と精神的な性別の自覚が一致せず,現在おかれた性別とそれに伴う社会的な性役
割に強い違和感を抱く症候。性同一性障害者の戸籍上の性別の取扱いの特例について,「性同一性
障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が平成16年(2004年)7月から施行。

セクシュアル・ハラスメント
 相手の意に反する性的な言動。一般に「性的いやがらせ」と訳されている。

た行

男女共同参画基本計画
 男女共同参画社会基本法第13条に基づく国の基本計画。
 政策・方針決定過程への女性の参画の拡大や,男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の
見直し,意識の改革など,11の重点目標からなり,平成22年(2010年)までを見通した長期的な政
策の方向性と,平成17年度(2005年度)末までに実施する具体的施策を示している。

男女共同参画社会
 男女が,社会の対等な構成員として,自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に
参画する機会が確保され,もって男女が均等に政治的,経済的,社会的及び文化的利益を享受す
ることができ,かつ,共に責任を担うべき社会。

地域支援ネットワーク
 住民に身近な市町村域において関係機関等が一堂に会し,児童虐待に関する情報交換,通報体
制の整備,処遇検討などを行うための「市町村児童虐待防止ネットワーク会議」の設置を,平成1
3年度(2001年度)から推進している。

同和対策審議会答申
 「同和地区に関する社会的及び経済的諸問題を解決するための基本的方策」について諮問を受
けた同和対策審議会が,昭和40年(1965年)8月11日,政府に提出した答申。
 このなかで同和問題は,人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であるとともに,
日本国憲法によってすべての国民に等しく保障された基本的人権が,完全に保障されていないと
いう最も深刻にして重大な社会問題であり,その早急な解決こそ国の責務であり,同時に国民的
課題であるとの認識が示され,その後の同和行政の基本的指針となっている。

同和問題の解決に向けて(基本方針)
 平成13年(2001年)12月の徳島県同和問題懇話会答申「徳島県における今後の同和行政のあり方
について」を受け,本県が同和問題の解決に向け,平成14年(2002年)3月に策定した基本方針。

徳島県高齢者保健福祉計画
 老人福祉法及び老人保健法の規定に基づき,本県における高齢者保健福祉に関する総合的な計
画として策定する計画。介護保険法に基づく介護保険事業支援計画と一体的に策定するため3年
ごとに改訂する計画で,各市町村においても同様に作成されている。

徳島県障害者施策新長期計画
 旧計画の計画期間が平成14年度(2002年度)で終了したこと及び国の障害者基本計画の策定を受
け,障害者基本法に基づき策定した。リハビリテーションとノーマライゼーションを基本理念と
し,本県の障害者施策を総合的かつ計画的に推進するための基本計画。

徳島県女性総合計画
 男女共同参画社会を実現するための5つの基本目標と18の主要課題及び具体的施策等を明ら
かにした計画。平成9年(1997年)3月に策定,計画期間は10年間。
徳島県男女共同参画推進条例施行後は,同条例第8条に定める基本計画として位置づけている。

徳島県人権教育推進方針
 平成16年(2004年)2月に県教育委員会が策定した本県人権教育を推進するための方針。人権
尊重の理念として,一人ひとりの人権が調和的に行使される「人権の共存」を掲げ,人権教育の
推進に際して,普遍的な視点からのアプローチと個別的な視点からのアプローチの双方を加味す
ることの重要性を述べている。

徳島県青少年保護育成条例
 青少年の健全な育成を図るとともに,非行を誘発するような行為や環境から青少年を守ること
を目的として制定した条例。昭和40年(1965年)11月1日施行。

徳島県男女共同参画推進条例
 本県の特色(仕事を持つ女性の割合が高く,経済分野での女性の進出が進んでいる)を生かし
つつ,県,市町村,事業者,県民が協働して男女共同参画を総合的かつ計画的に推進するため,
基本理念や責務,性別による権利侵害の禁止等を定めた条例。平成14年(2002年)4月施行。

徳島県ひとにやさしいまちづくり条例
 バリアフリー理念の進展にあわせ,不特定かつ多数の者が利用する施設の新築の際に,整備基
準への適合を指導し,障害者や高齢者をはじめとするすべての県民にとって,安全かつ快適な生
活環境の整備を総合的に推進するための条例。平成8年(1996年)3月に公布し,平成9年(1997年)
4月から全面施行。

徳島県部落差別事象の発生の防止に関する条例
 部落差別の解消を図る見地から,同和地区に居住していること又は居住していたことを理由と
してなされる結婚及び就職に際しての差別事象の発生の防止に関し,県,市町村,県民及び事業
者の責務を明らかにするとともに,同和地区での居住に係る調査の防止に関し必要な事項を定め
た条例。平成9年(1997年)4月1日施行。

とくしま子ども未来21プラン
 子育て家庭の支援,就労と子育ての両立,子どもの育成の3つの視点に立った施策の基本的方
向とその実現に向けての具体的方策を定めた本県における総合的な少子化対策計画。徳島県少子
化対応県民会議での意見等を踏まえ,平成16年度(2004年度)までを計画期間として,従来の子育
て支援計画を拡充するためのもので,平成13年
(2001年)3月に策定。

とくしま青少年プラン21
 本県における青少年健全育成の基本方針とそれを実現するための推進方策を示したプランで,
平成14年(2002年)7月に策定。

とくしま男女共同参画実行プラン
 徳島県女性総合計画策定後に整備された各種の法律等,様々な環境変化を踏まえ,「個人の尊厳
と男女平等の確立」をはじめとする6つの基本理念と7つの主要課題及び推進方策について取り
まとめた3カ年計画。平成15年(2003年)11月に策定。

な行

日本人拉致問題
 北朝鮮当局により拉致された被害者及びその家族の人権問題
被害者及びその家族の支援に関する国及び地方公共団体の責務を明らかにした「北朝鮮当局に
よって拉致された被害者等の支援に関する法律」が平成15年(2003年)1月から施行。

ノーマライゼーション
 障害のある人も,家庭や地域の中で普通の生活が送ることができるような社会をつくるという
考え方。

は行

バリア(障壁)
 障害者が日常の生活を普通に行っていく上での「妨げ」となるもので,目に見えやすいものと
して「物理的」,「制度的」,「文化・情報」のバリア,見えにくいものとして「心」のバリアがあ
る。
 なお,「心」のバリアとは,障害や障害者に対する誤解や偏見などの心の問題であり,その解消
のためには地道な広報・啓発活動のほか,教育・研修の実施が必要である。

プロバイダー
 一般に,インターネットサービスプロバイダーのことで,インターネット接続サービスを提供
する通信事業者のこと。

法定雇用率
 障害者雇用促進法に基づき,民間企業,国及び地方公共団体は一定割合(法定雇用率)に相当
する数以上の身体障害者又は知的障害者を雇用しなければならないとされており,一般の民間企
業では1.8パーセント,国及び地方公共団体では2.1パーセントなどとなっている。

ホームレス
 都市公園や河川,道路,駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし,日常生活を営んでいる者
をいい,平成15年(2003年)1月・2月に全国調査が実施された。ホームレスの自立支援やホーム
レスになることを防止するため,「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が平成14年(2
002年)8月から施行。

ら行

ライフステージ
 人間の一生をいくつかに分けて考えた段階のこと。
 この基本計画では,女性の一生を,健康や医療の視点から,年齢や生理的現象に基づいて分類
した各段階のことを指している。

リハビリテーション
 障害のある人がトータルな人間として,生活の主体者としてあらゆる社会面において障害のな
い人と同等な権利の回復を目指すという考え方。

臨床心理士
 財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する公的な資格で,臨床心理学の知識や技術を用
いて,心理的な問題を取り扱う「心の専門家」。資格の取得には,その高い専門性から,認定協会
が指定する大学院の修士課程修了に加え,一定期間以上の実習期間を経て,認定試験に合格する
必要がある。資格認定された人は,平成16年(2004年)現在,全国で1万人を超えている。